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転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
『森の学舎(まなびや)と古(いにしえ)の遺跡 ——九歳からの留学記、世界設計図の断片——』〜戦争が引き裂く故郷と、エルフ領域に眠る世界の核心〜
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【第5章 第1話】 九歳の準備期間

港を襲った魔物と、その後に残った静けさ。

父の口から告げられたのは、「規制強化」と「適性検査」の義務化。

主人公はまだ知らない。この出来事が、異種族との新しい取引を生むきっかけとなることを。

オープニング:

父も挫折した教本を、三時間で


「これが、エルフ語の基礎教本だ」


父が古びた本を差し出す。朝食後の書斎。九歳と一ヶ月。留学まで、あと十一ヶ月。


ページを開く。


文字が——樹木の形をしている。


「……複雑すぎませんか?」


父が苦笑する。


「俺も三日で投げ出した」


「え?」


「商人には必要ないからな。でも——お前は違う」


父が僕の肩に手を置く。


「アリエルが教材を送ってくれる。週に一度、魔法通信での講義もある」


「頑張ります」


部屋に戻る。


教本を広げ——構造を分解する。


(これは……音素と表意の混合文字?)


(いや、違う。文字そのものが魔力伝導の最適化ルートを描いている)


ノートに走り書き。


```

樹皮に刻む前提の文字体系

→ 森での視認性 + 魔力効率

```


三時間後。


「“Sil’vara ena”——木々よ、祝福を」


挨拶文が、読めた。


窓から海が見える。


(一年後——この海を渡る)


桜が散る。


展開1:三通の手紙——そして、銀色の蝋


午後。郵便配達。


「レイ宛が三通」


父が手紙の束を持ってくる。


一通目——ダリウス。


『レイ、最近ダンジョンが増えてる。お前がいないと解析が進まねぇ。早く戻ってこい』


(僕、まだ行ってないんだけど)


二通目——エドワード。


『君の観測ノード研究、興味深い。留学前に共同研究しないか?』


(行こう)


三通目——


差出人が、ない。


封筒に、銀色の蝋。


手が勝手に震える。


開封。一枚の紙。


```

レイへ


準備は順調?


エルフの領域には、"答え"がある。

でも——全てを信じてはいけない。


観察は続けている。


——観察者

```


紙の端に、うっすらと数式。


```

Ψ(t) = ∫P(x,t)·M(t)dx

```


(マナ状態関数——なぜ、これを?)


ガルムが入ってくる。


「レイ、どうした?」


手紙を見せる。


「観察者……また、か」


「信用していいのか?」


「分かりません」


でも——


(敵じゃない。導こうとしている)


ガルムが警戒する。


「俺が見張る」


展開2:

エドワードとの共同研究——三つのノード


三日後。魔法協会。


研究室のドアをノック。


「よく来てくれた」


エドワードが笑顔で迎える。観測機器が並ぶ部屋。


「君の発見——誰も気づいていなかった」


エドワードが地図を広げる。


「ルミナス港周辺に、三つの観測ノードがある」


「三つ?」


「君が見つけたのは一つ。残り二つは——ここと、ここ」


赤い印。


「密度減少のタイミングが、三つとも同期している」


(同期——ネットワーク?)


「送信先は?」


「分からない。でも——」


エドワードが僕を見る。


「君がエルフの領域で学べば、解明できるかもしれない」


希望が湧く。


「じゃあ——」


「その前に」


エドワードが観測装置を起動する。


「この三つを、正確に記録しておこう」


画面に、三つの点が脈動する。


同じリズム。


(これは——世界が、何かを送信している)


展開3:家族との夕食——戦争の影と決意


夜。家族全員で夕食。


父が暗い表情で口を開く。


「軍事演習が激化している」


母が不安そうに。


「戦争に——」


「分からない。でも——」


父が僕を見る。


「レイの留学は、予定通り進める」


「え?」


「エルフの領域は中立だ。むしろ安全かもしれない」


ガルムが頷く。


母が涙ぐむ。


「でも——」


「大丈夫です、母さん」


僕が手を握る。


「必ず帰ってきます」


父が真剣に。


「レイ。戦争が始まったら、すぐには帰れない」


「分かってます」


「でも——お前には、学ぶ権利がある」


父が拳を握る。


「俺たちは、ここで耐える。だから——お前は成長してこい」


胸が熱くなる。


「はい」


(家族が——支えてくれている)


ガルムが笑う。


「俺がついてるから安心しろ」


「お前の護衛は、俺の仕事だ」


温かい夕食が続く。


窓の外、遠くで雷鳴。


港に、軍艦が入る影が見える。


マナ密度計の数値が——わずかに揺れた。


クライマックス:

観察者の再訪——名前と警告


深夜。


観測ノートを整理していると——


窓ガラスを叩く音。


(!)


カーテンを開ける。


銀髪の少女が、月明かりの中に立っている。


窓を開ける。


「久しぶりね、レイ」


声が——透き通っている。


「誰なんですか?」


「観察者よ」


少女が部屋に入ってくる。実体がある。幻覚じゃない。


「なぜ、僕を——」


「あなたが、特別だから」


少女が観測ノートを見る。


「よく、ここまで調べたわね」


「でも——まだ足りない」


「足りない?」


「エルフの領域には、“核心”がある」


少女が僕を見る。


「古代文明が残した、世界の設計図」


息を呑む。


「設計図——?」


「そう。世界がどう作られたか。なぜ、こうなっているのか」


少女が手を伸ばす。


「それを知れば——あなたは、世界を変えられる」


「でも、危険よ」


少女の表情が曇る。


「知りすぎれば——デモンが介入する」


(デモン——世界の監視AI)


「あなたは——デモンと敵対してるんですか?」


「敵対じゃない。協調よ」


少女が微笑む。


「私は——世界を守る側」


「あなたのような存在が、暴走しないように」


胸が痛む。


「僕が——暴走する?」


「可能性はある」


少女が真剣に。


「でも——あなたには、理性がある。だから、見守っている」


「私の役割は、観察と介入の境界線」


少女が窓へ向かう。


「エルフの領域で、また会いましょう」


「待って——名前は?」


少女が振り返る。


「セラフィナ」


「それが——私の名前」


風が吹く。


次の瞬間、少女が消える。


窓ガラスが——うっすらと結晶化している。


マナの干渉痕。


(実在した——)


エンディング:

決意の朝——そして、遠くの視線


翌朝。


父に報告する。


「観察者——セラフィナと名乗った」


父が真剣に。


「信用していいのか?」


「分かりません。でも——敵じゃない気がします」


ガルムが腕を組む。


「俺も、昨夜の気配を感じた。でも——追えなかった」


母が不安そうに。


「レイ、危なくない?」


「大丈夫です」


僕が笑う。


「むしろ——導いてくれてる気がします」


父が頷く。


「なら、エルフの領域で真実を知れ」


「はい」


窓から、青い空。


桜が散り続ける。


(あと十一ヶ月——)


観測ノートを開く。


次のページに、大きく書く。


```

目標:

エルフの領域で、"世界の設計図"を見つける。

セラフィナの正体を知る。

```


ペンを置く。


海風が吹く。


観測ノードが、静かに脈動している。


遠く。


樹上都市、シルヴァン・イーヴンリース。


アリエルが、水晶球を見つめている。


「セラフィナ——また、接触したのか」


緑の瞳が鋭く光る。


「レイを、どこまで導くつもりだ?」


水晶球に、レイの姿が映る。


「あの子は——確かに特別だ」


「でも——知りすぎれば、危険だ」


窓の外、森が広がる。


「一年後——彼がここに来る」


「その時——私は、何を教えるべきか」


風が吹く。


葉が揺れる。


遠く、月が昇る。

-----

第5章 第1話 完

-----

九歳の春、留学への準備が始まった。

観察者セラフィナは告げた——「エルフの領域には、世界の設計図がある」と。

残り十一ヶ月。戦争の影が迫る中、少年の探求は止まらない。


次回予告


第5章 第2話「エルフ語と古代魔法の予習」

アリエルからの遠隔講義が始まる。

古代魔法理論の一端に触れるレイ。

そして、エドワードとの共同研究が、予期せぬ発見をもたらす——。


よろしければ、

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