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転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
解析者の孤独と、世界を繋ぐ絆 〜八歳。システムに挑む少年に差した、わずかな光〜
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【第4章 第1話〜第4話:最近のあの子の噂】

八歳になったばかりの少年が、新規ダンジョンの核を破壊したという噂が酒場を駆け巡っている。


ギルドとの交渉を自ら行い、空中に浮かぶ不可解な模様を見つめるその姿は、周囲の大人たちを戦慄させていた。


だが、その異質さの一方で、彼が「誰かと食事を共にする」という当たり前の光景に、人々は小さな安堵を覚える。

酒場の片隅(夕暮れ時)


「なぁ、聞いた?」


「何を」


「あのガキ、八歳になったって」


「……それで?」


ジョッキを置く音。


「ダンジョン攻略だぞ。新規の」


「また?」


「またって言うな。今度はコア壊したらしい」


「…………は?」


沈黙。


「コアって、あの中枢の?」


「そう」


「八歳が?」


「八歳が」


誰かがため息。


「……俺ら八歳の時、何してた?」


「泣いてた」


「俺も」


笑い声。


でも——


すぐ止まる。


「でもさ」


「ん?」


「あいつ、最近ダリウスと飯食ってたって」


「は? あのダリウスが?」


「そのダリウスが」


ジョッキを傾ける。


「……人間じゃん」


「人間だったのか」


「たぶん」


ギルド受付(昼下がり)


「ねぇねぇ」


「何? 忙しいんだけど」


「レイ君、制限解除されたって」


「……あー、聞いた」


ペンを走らせる音。


「でもね」


「何?」


「報告書、自分で内容選ぶって交渉したらしいよ」


「え?」


ペンが止まる。


「ロナンさん相手に」


「八歳が?」


「八歳が」


二人が顔を見合わせる。


「……あの子、子供?」


「見た目は子供」


「中身は?」


「知りたくない」


笑い声。


でも——


笑ってない。


「ねぇ」


「何」


「あの子、変なもの見えてるって噂」


「変なもの?」


「空中に模様みたいなのが浮いてるらしい」


「…………」


沈黙。


長い。


「ヤバいよね」


「ヤバい」


「誰か、止めないの?」


「誰が」


冒険者の溜まり場


「ダリウスがあのガキと組んだって?」


「岩竜討伐で」


「マジか」


誰かが笑う。


「あのダリウスが?」


「そのダリウスが」


ベテランが腕を組む。


「で、どうだった」


「弱点、一瞬で見抜いて、一撃」


「…………は?」


全員が黙る。


「化け物か」


「いや」


ベテランが首を振る。


「化け物なら——ダリウスが笑わない」


「笑ったのか?」


「笑ってた。酒場で飯まで食ってた」


「……それ、もっと怖いだろ」


沈黙。


「なぁ」


「ん?」


「あのガキ、友達できたんだな」


誰かがジョッキを置く。


「……普通の子じゃん」


「普通?」


「いや、やっぱ違うか」


笑い声が広がる。


酒場(夜)


「なぁ」


「ん?」


「あのガキ、ダンジョンで変なこと言われたって」


「変なこと?」


「『なんちゃら行動、確認』みたいな」


「…………何それ」


ジョッキを傾ける。


「知るか」


「俺も知らん」


沈黙。


「でもさ」


「何だよ」


「世界が喋ってるって、どういうこと?」


「知りたくねぇ」


「俺も」


笑い声。


でも——


誰も笑ってない。


「あのガキさ」


「ん?」


「世界と喧嘩してんのか?」


「知るか」


沈黙。


「……でも」


「何?」


「飯、食ってるよな?」


「は?」


「いや、人間かどうか確認したくて」


「バカか」


笑い声が広がる。


ルーミナス家の台所


「マルタ」


「はい、奥様」


「レイ、最近どう?」


マルタが手を止める。


野菜を切る音が消える。


「……笑うようになりました」


「本当に?」


「本当です」


エリスがマルタを見る。


「前は?」


「前は——」


マルタが首を振る。


「笑ってませんでした」


「そう……」


エリスがため息をつく。


「よかった」


「……でも」


「でも?」


マルタが野菜を切り始める。


「まだ窓の外、見てます」


「何を見てるの?」


「分かりません」


「…………」


エリスが窓を見る。


息子の部屋の明かり。


「前より、穏やかな顔?」


「はい」


「なら——」


エリスが微笑む。


「それでいいわ」


マルタも微笑む。


「……本当に?」


「ええ」


「……そうですね」


酒場(深夜、別の席)


「で、結局」


「あのガキ、何者なんだ?」


「知るか」


「エルフが気にかけてる」


「世界が声かけてる」


「八歳で大人と交渉する」


誰かがジョッキを置く。


「……でも」


「何?」


「友達いるんだよな」


「そうだな」


「ダリウスと飯食ってたって話だし」


「じゃあ人間だよ」


「なら……」


ジョッキを掲げる。


「まだ大丈夫だ」


「何が?」


「知らん。とにかく大丈夫だ」


笑い声。


「適当か」


「適当だ」


密猟組織の隠れ家


「リーダー」


「何だ」


「例のガキ、また成功したって」


「……またか」


煙草を消す音。


「ダリウスと組んでるらしいです」


「ダリウス?」


「はい」


リーダーが立ち上がる。


「完全に手を引く」


「なんでです?」


「デモンだけじゃない」


「……は?」


「世界が——」


沈黙。


「何かが、あいつを守ってる」


全員が黙る。


「あのガキは——」


「触るな」


「……了解」


オチ



「でもさ」


「ん?」


「銀髪の女の子、見たって話」


「誰が?」


「あのガキが」


沈黙。


「……誰だよ、それ」


「知らん」


「エルフ?」


「いや、違うって」


「じゃあ何だ」


「知らん」


窓の外。


星空。


「でもさ」


「何だよ」


「あいつも年頃じゃん?」


「は?」


「いや、女の子追いかけてんじゃねぇの」


笑い声。


「それはねぇだろ」


「なんで?」


「だって——」


沈黙。


「……次、何やらかすんだろうな」


「知りたくねぇ」


「俺も」


でも——


誰もが、知っている。


次は、もっと面白いことになる。


「まぁ、酒飲もうぜ」


「そうだな」


ジョッキがぶつかる音。


笑い声が広がる。


でも——


誰も笑ってない。

-----

【サブログ終了】

-----

少年は「世界からの声」を聞きながらも、かつての敵と食卓を囲み、家族の前でようやく笑うようになった。


しかし、その穏やかさの裏側で、彼を監視する組織や人ならざる存在は、少年の周囲に漂う異常な気配を察知して手を引き始めている。


人としての繋がりを得た少年は、どこまで「世界の玩具」としての運命を拒めるのか。


次回 第4章 第5話 魔法協会研究発表会と理解されない天才


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