【第4章 第4話】 ダリウスパーティとの共闘、そして繋がり
かつて対立したダリウスから、レイは岩竜討伐への共闘を持ちかけられる。
和解から半年、どこか壁を感じていたレイだったが、自身の「目」を必要とする彼らの真剣な眼差しに、一人の冒険者として応える決意を固める。
オープニング:思いがけない提案
「レイ」
ギルドの扉を開けた瞬間——声が飛んできた。
振り返る。ダリウスだ。
リナ、マルク、ヴィンも一緒。
(まさか——)
和解してから半年。でも、まだどこか壁がある気がしていた。
「……何か?」
ダリウスが真っ直ぐこちらを見る。
「一緒に仕事しないか」
「え?」
リナが笑う。
「驚いた顔。当然よね」
マルクが地図を広げた。
「北の渓谷、岩竜討伐だ」
「俺たちだけじゃ厳しい」
ヴィンが付け加える。
「お前の目——あれば安全に攻略できる」
僕は地図を見る。
北の渓谷。危険度、中。
でも——
「週二回制限が……」
ダリウスが首を振る。
「今週まだ一回だろ? なら問題ない」
父が近づいてくる。
「レイ、どうした?」
ダリウスが頭を下げた。
「息子さんを、貸してもらえませんか」
父が僕を見る。
「どうする?」
ダリウスの顔を見る。
真剣だ。
リナたちも——期待してる。
「……行きます」
ダリウスが笑った。
「明日、朝七時に北門で」
準備:母の不安と決意
帰宅。
母が待っていた。
「ダリウスパーティと……?」
声が震えている。
父が母の肩を抱く。
「大丈夫だ。ダリウスは成長してる」
母が僕を見る。
「レイは——行きたいの?」
「……はい」
正直に。
母が——微笑んだ。
涙を堪えて。
「なら、いいわ。必ず帰ってきてね」
「約束します」
ガルムが武器を磨いている。
「俺も行くか?」
「いえ。母さんを、お願いします」
ガルムが頷く。
「分かった。無理はするなよ」
部屋に戻る。
装備を確認。
観測ノート。予備のインク。水筒。ナイフ。
手が少し震える。
緊張と——期待。
(明日——対等な仲間として)
出発:五人の冒険者
翌朝。北門。
ダリウスたちが待っている。
「おはよう、レイ」
リナが笑顔。
「今日はよろしくね」
マルクが地図を確認。
「渓谷まで三時間くらいか」
ヴィンが荷物を調整。
「岩竜は硬い皮膚と強力な尾。正面は危険だ」
ダリウスが僕を見る。
「お前の目で——弱点を見つけてくれ」
「……分かりました」
出発。
五人で街道を北へ。
僕は一番後ろだが——疎外感はない。
リナが振り返る。
「レイ、大丈夫? 疲れたら言ってね」
「ありがとうございます」
マルクが冗談を言う。
「リナ、優しいな」
「当然でしょ。年下なんだから」
ヴィンが笑う。
「お前も年下扱いされたいのか?」
「違う!」
笑い声。
僕も——少し笑った。
(これが——仲間、なのか)
渓谷:変化するマナ
三時間後。
渓谷の入口。
崖が両側に聳える。狭い道。
マナ密度——1.18。
少し高い。
「気をつけろ」
ダリウスが剣を抜く。
「岩竜は音に敏感だ。静かに進む」
一列になる。
ダリウス、リナ、マルク、僕、ヴィン。
足音を抑えて岩場を進む。
マナ視覚化。
流れが——不規則。
「マナが乱れてます」
ダリウスが立ち止まる。
「どういう意味だ?」
「魔獣が——近くにいます」
全員が緊張する。
リナが杖を握る。
「どの方向?」
マナの流れを追う。
「……右上。崖の中腹」
マルクが弓を構える。
「見えるか?」
「いえ。でも確実にいます」
ダリウスが頷く。
「お前を信じる」
遭遇:岩竜の脅威
突然——岩が崩れる。
轟音。
崖から巨大な影。
「来た!」
岩竜。
全長五メートル。灰色の鱗。太い尾。
咆哮——耳が痛い。
ダリウスが前に出る。
「リナ、魔法! マルク、牽制! ヴィン、側面から! レイは下がってろ!」
でも——僕は動けない。
マナ視覚化。
岩竜の体。
マナが全身に流れている。
でも——一カ所だけ。
「首の付け根!」
叫ぶ。
「マナが薄いです! そこが弱点です!」
ダリウスが振り返る。
「分かった!」
リナの魔法。
「火球!」
岩竜の顔面に直撃。動きが止まる。
マルクの矢が連射。目を狙う。
岩竜が怯む。
ヴィンが側面へ。ナイフで脚を斬る。
「今だ!」
ダリウスが跳ぶ。
首の付け根——剣を突き立てる。
「グアアアアッ!」
岩竜が崩れる。
地面が揺れる。
沈黙。
戦闘後:対等な評価
全員が息を切らしている。
ダリウスが僕を見た。
「レイ。お前の目——本物だな」
リナが笑う。
「すごかったわ。あんな正確に」
マルクが肩を叩く。
「助かった。正面から戦ってたら危なかった」
ヴィンが頷く。
「お前、やるな」
僕は——何も言えない。
でも胸が熱い。
(認められた——対等に)
ダリウスが岩竜を調べる。
「素材、回収するぞ」
全員で作業。鱗。爪。魔石。
僕も手伝う。小さい手だけど。
リナが優しく教えてくれる。
「こうやって剥がすの」
「……ありがとうございます」
マルクが冗談を言う。
「レイ、将来はすごい冒険者になるぞ」
「そうかな」
「絶対だ」
ヴィンが笑う。
「俺たちより強くなるかもな」
ダリウスが立ち上がる。
「休憩するぞ」
休憩:初めての対話
岩陰。
全員が座る。水筒を回す。
ダリウスが地図を広げる。
「報酬は五等分でいいか?」
リナが頷く。
「レイの貢献、大きいし。当然ね」
マルクも同意。
「異論なし」
ヴィンが僕を見る。
「お前、どう思う?」
「……五等分で、いいです」
ダリウスが笑う。
「じゃあ、決まりだ」
沈黙。
でも——心地いい沈黙。
リナが口を開く。
「レイ。前は——ごめんね」
「……え?」
「利用するつもりだった。でも今は違う。今は——仲間だと思ってる」
マルクが頷く。
「俺もだ」
ヴィンも。
「同じく」
ダリウスが僕の頭を撫でた。
「お前、変わったな」
「え?」
「前はもっとよそよそしかった。でも今は——ちゃんと仲間として見てくれる」
僕は下を向く。
「僕も——前は信じられなかった。でも今は、信じてます」
リナが微笑む。
「ありがとう」
帰路:繋がりの実感
渓谷を出る。夕暮れ。
街道を歩く。疲れている。
でも——心は軽い。
ダリウスが僕の荷物を持つ。
「重いだろ」
「大丈夫です」
「遠慮するな」
リナが水筒を渡す。
「飲みなさい」
マルクが肩を貸す。
「疲れたら言えよ」
ヴィンが後ろから。
「帰ったら飯、食いに行くか」
「え?」
ダリウスが笑う。
「いいな。レイも来い」
「でも——母さんが」
リナが提案。
「ギルドから伝言を」
「……ありがとうございます」
街が見えてくる。灯りが暖かい。
(仲間がいる——一人じゃない)
酒場:初めての祝杯
ギルド近くの酒場。
五人で席に着く。
料理が運ばれてくる。肉。パン。スープ。
「乾杯!」
ダリウスが杯を上げる。僕は水。
「今日の成功に!」
全員が笑う。
「乾杯!」
食事。
リナが僕に料理を取り分ける。
「食べなさい」
美味しい。温かい。
マルクが武勇伝を語る。
「昔な——俺、一人で熊と戦ったことある」
ヴィンが笑う。
「嘘だろ」
「本当だ!」
リナが呆れる。
「また始まった」
ダリウスが僕に言う。
「いつもこうだ」
「……楽しいですね」
「そうか?」
「はい」
父が迎えに来る。
「レイ」
「父さん」
ダリウスたちが立ち上がる。
「お疲れ様でした」
父が頭を下げる。
「ありがとう。息子を、よろしく頼む」
ダリウスが笑う。
「こちらこそ。また組みましょう」
帰宅:母の笑顔
家に戻る。
母が待っていた。
「おかえり」
「ただいま」
ガルムが笑う。
「どうだった?」
「楽しかった」
母が抱きしめる。
「無事でよかった」
父が報告。
「ダリウスたちと——うまくやってた」
母が微笑む。
「よかったわね」
夕食。家族で。温かい。
「今日——仲間を感じました」
父が頷く。
「そうか」
母が優しく。
「大切にしなさい」
「はい」
深夜:観測ノートの記録
部屋。月明かり。
観測ノート。
```
日付: 8歳8ヶ月
任務: 岩竜討伐
結果: 成功
観測: 弱点特定(首の付け根、マナ流薄)
感想: 初めて「対等」を感じた
結論: 孤独ではない。繋がりは、ある。
```
ペンを置く。
窓の外。観測ノード。
マナ視覚化。密度——変わらず。
「システムは——今日のことをどう評価してるんだろう」
でも今は、それでいい。
今日は仲間がいた。
それだけで十分。
翌朝:新たな日常
朝。いつもの朝食。
母の笑顔。父の新聞。ガルムが訓練着。
「今日もやるか」
「はい」
でも——少し違う。
昨日——仲間を得た。
「父さん」
「ん?」
「また——ダリウスたちと組んでいいですか」
父が笑う。
「もちろんだ」
母も頷く。
「いい仲間ね」
ガルムが肩を叩く。
「成長したな」
「……ありがとうございます」
窓の外。青い空。
観測ノードが静かに脈動している。
(世界は見てる。でも——僕には仲間がいる)
それが、今の僕の答え。
数日後:ギルドでの再会
ギルド。掲示板を見ている。
「レイ」
振り返る。ダリウスだ。
「また依頼来てる」
「今度は?」
「東の洞窟。盗賊退治だ」
「難しいですか?」
「お前がいれば大丈夫だ」
リナたちも来る。
「レイ、行ける?」
「はい」
マルクが笑う。
「じゃあ決まりだ」
ヴィンが地図を広げる。
「明後日、出発」
僕は頷く。
「お願いします」
ダリウスが肩に手を置く。
「これからも——よろしく頼む」
「……はい」
全員が笑う。
(仲間——これが仲間なんだ)
エピローグ:観察者の記録
木の上。銀髪の少女。
手のひらにデータが浮かぶ。
```
レイ・ルーミナス
社会的関係: 改善
ダリウスパーティ: 信頼構築
孤立度: -35%
精神安定度: +28%
デモン評価: [変化なし]
```
彼女がデータを見つめる。
「繋がりを得たのね」
風が吹く。髪が揺れる。
「でも——」
データが更新される。
```
観測ノード密度: 変化なし
システム評価: [継続監視]
次回行動: 保留
彼の成長: 順調
介入: 不要
```
彼女が微笑む。
「このまま——見守りましょう」
手のひらを閉じる。データが消える。
「あなたは——一人じゃない。それを忘れないで」
風が彼女を包む。
次の瞬間——消える。
月明かりだけが残る。
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『第4章 第4話 完』
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レイの解析能力は実戦で高く評価され、ダリウスたちとの間に「対等な仲間」としての確かな絆が結ばれる。
孤独な観測者であった少年は、世界を紐解くための力によって、皮肉にも人との繋がりを取り戻していく。
最適化された選択は、次にどんな形で世界から返ってくるのか。
次回 第4章 第1話〜第4話 最近のあの子の噂
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