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転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
6歳で冒険者見習い、天才は社会の【嫉妬】で孤立する 〜観測ノードとデモン監視の謎〜
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【第3章 第5話〜第8話:最近のあの子の噂】

酒場の喧騒の中、一人の少年についての噂が加速している。


六歳にして魔法を「反射」し、中級の脅威から生き延びながらも、翌日には何事もなかったかのようにギルドへ現れるという。


その存在は、もはや「人間かどうか」という疑念すら、大人たちの間に抱かせ始めていた。

酒場の片隅


「なぁ、聞いた?」


「何を」


「密猟者が、ガキにボコられたって」


「……また?」


ジョッキを置く音。


「いや、今回ヤバいって」


「どうヤバいんだよ」


「火球が戻ってきたらしい」


「は?」


「火球が、な?」


「ああ」


沈黙。


「……それ、魔法の話?」


「魔法だよ」


「嘘だろ」


「嘘じゃねぇって。受付嬢が青ざめてた」


誰かが咳払い。


「で、そのガキ何歳だ」


「6歳」


「…………」


「俺ら6歳の時、何してた?」


「泣いてた」


「俺も」


ギルド受付(昼下がり)


「ねぇねぇ」


「何?忙しいんだけど」


「レイ君、また来るかな」


「……来るでしょ。毎日来てるし」


ペンを置く音。


「でもさ」


「何?」


「火球反射って、普通できる?」


「できないよ。Level 3の技術だもん」


「6歳で?」


「6歳で」


二人が顔を見合わせる。


「……あの子、人間?」


「人間だと思う。たぶん」


「たぶん?」


「ほら、ちゃんとご飯食べてるし」


「それ基準?」


笑い声。


でも——


すぐ止まる。


「ねぇ」


「何」


「あの子が大きくなったら」


「……うん」


「どうなるんだろ」


沈黙。


長い。


「知りたくない」


「私も」


冒険者の溜まり場


「グレイブウルフから逃げたって?」


「逃げた?」


「いや、生き延びたんだろ」


「6歳が?」


「ああ」


誰かが笑う。


「嘘つけ」


「本当だって」


「依頼書が改竄されてたんだよ。低級って書いてあったのに、中級が出た」


「それ犯罪じゃねぇか」


「犯罪だよ。犯人はもう追放された」


ベテランが腕を組む。


「で、そのガキは?」


「翌日、また来た」


「…………は?」


「ギルドに。依頼受けに」


全員が黙る。


「化け物か」


「いや」


ベテランが首を振る。


「化け物なら怖がらない」


「あのガキは震えてたって聞いた」


「でも来た」


「……それ、もっと怖いだろ」


酒場(夜)


「なぁ」


「ん?」


「あのガキ、エルフに気に入られてるんだろ?」


「らしいな」


「何が凄いんだ?」


「知るか」


ジョッキを傾ける。


「でも、エルフが認めるって相当だぞ」


「エルフって、人間嫌いじゃなかったっけ」


「嫌いっていうか……」


「……何?」


「見下してる」


「ああ、そうだな」


笑い声。


「でも、あのガキは違うんだろ」


「どう違うんだよ」


「知らねぇよ」


「俺も知らねぇ」


沈黙。


「……でもさ」


「何だよ」


「あのガキ、ちゃんと飯食ってるよな?」


「は?」


「いや、人間かどうか確認したくて」


「バカか」


笑い声が広がる。


ルーミナス家の台所


「マルタ」


「はい、奥様」


「レイ、最近どう?」


マルタが手を止める。


野菜を切る音が消える。


「……元気ですよ」


「本当に?」


「本当です」


エリスがマルタを見る。


「嘘ついてない?」


マルタが微笑む。


悲しそうに。


「……少し」


「やっぱり」


エリスがため息をつく。


「何が心配なの?」


「夜、窓の外を見てるんです」


「何を?」


「分かりません」


マルタが首を振る。


「でも……怖い顔してるんです」


「怖い顔?」


「7歳の子がすべきじゃない顔です」


エリスが窓を見る。


息子の部屋の明かり。


「……私たちに、何ができるかしら」


「見守ることだけです」


「それだけで十分?」


「十分じゃなくても」


マルタが野菜を切り始める。


「それしか、できないんです」


エルフ領域の報告室(同時刻)


「リーシャ様」


「何?」


「レイ・ルーミナスの報告です」


羊皮紙を受け取る。


目を通す。


手が、止まる。


「……これ、本当?」


「はい」


「観測ノードに気づいた?」


「はい」


リーシャが立ち上がる。


椅子が倒れる音。


「アリエルは?」


「“干渉させなければ問題ない”と」


「干渉させなければ……」


リーシャが窓を見る。


月が昇ってる。


「あの子の好奇心、知ってるでしょう?」


「……はい」


「止められるわけ、ないじゃない」


沈黙。


「長老会議に報告」


「内容は?」


「“予定より早く動く必要がある”」


密猟組織の隠れ家


「リーダー」


「何だ」


「例のガキ、まだ冒険者やってるって」


「……マジか」


煙草を消す音。


「俺らの罠、突破したんだろ?」


「そうです」


「で、今も?」


「はい」


リーダーが立ち上がる。


「手を引く」


「え?」


「聞こえなかったか?」


「いや、聞こえましたけど」


「なら従え」


仲間が困惑する。


「でも、なんで」


「デモンが監視してる」


「……は?」


「観測ノードが増えてるって情報屋が言ってた」


全員が黙る。


「あのガキは人間じゃねぇ」


「世界の玩具だ」


「触るな」


酒場(深夜)


「で、結局」


「あのガキ、何者なんだ?」


「知るか」


「エルフが気に入ってる」


「デモンが監視してる」


「6歳で魔法を反射する」


誰かがジョッキを置く。


「……でも」


「何?」


「まだガキなんだよな」


「そうだな」


「震えてたって話だし」


「人間だよ、きっと」


「なら……」


ジョッキを掲げる。


「まだ大丈夫だ」


「何が?」


「知らん。とにかく大丈夫だ」


笑い声。


「適当か」


「適当だ」


-----


### ✨ オチ


「でもさ」


「ん?」


「誰か止めないのか?」


「止める?」


「あのガキを」


沈黙。


「……誰が」


「知らん」


「エルフも無理だろ」


「家族も無理だろ」


「本人が——」


言葉が途切れる。


「止まる気、ないもん」


窓の外。


星空。


「……次、何やらかすんだろうな」


「知りたくねぇ」


「俺も」


でも——


誰もが、知っている。


次は、もっと面白いことになる。


「まぁ、酒飲もうぜ」


「そうだな」


ジョッキがぶつかる音。


笑い声が広がる。


でも——


誰も笑ってない。

-----

【サブログ終了】

-----

少年の才能はエルフの長老会議や密猟組織の判断を狂わせ、世界の観測対象としてその価値を上げ続けている。


しかし、その日常を守る者たちは、窓の外をじっと見つめる少年の「七歳児がすべきではない顔」に、言葉にできない不安を感じていた。


止まる気のない才能は、周囲の思惑をよそに次の領域へと踏み出していく。


次回 第4章 第1話 八歳の誕生日と孤独な解析者


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