【第3章 第5話】 密猟者と正義の境界
薬草採取中に、希少種を狙う武装した密猟者たちの現場に遭遇した主人公。父の制止を聞かず、捕縛された家族を守るため、恐怖に震えながらも立ち向かうことを決意する。
密猟者が放った火球が迫るその瞬間、彼の視界には魔法の「術式構造」が見え始めた。
オープニング
森の奥。
依頼は薬草採取。
父とガルムと僕の3人。
「この辺りに生えてるはずだ」
父が地図を確認する。
僕はマナの流れを見る。
(……あれ?)
異様に濃い。
渦を巻いてる。
「父さん」
「どうした?」
「マナの流れが……乱れてる」
「誰かが魔法を使ってる。この先」
ガルムが剣に手をかける。
「……罠か?」
「分からない」
僕は前を見る。
「……何かある」
密猟現場
茂みの影。
3人で覗き込む。
——5人の男たち。
武装してる。
魔法陣が地面に光ってる。
「……密猟者だ」
父が小声で言う。
観察
男たちが何かを捕獲してる。
銀色の毛並み。
四本の角。
傷ついて動けない。
「……シルバーホーン!」
ガルムが呟く。
「希少種だ。保護獣だぞ」
僕の胸が熱くなる。
(悪いことだ)
(止めないと)
判断
「父さん、あれ——」
「分かってる」
父が僕を止める。
「逃げるぞ」
「でも!」
「相手は5人。武装してる」
「ギルドに報告する。それが正しい」
父が僕の肩を掴む。
「行くぞ」
(……本当に?)
(報告してる間に……)
(連れて行かれる)
発見
後ずさりする。
——枝を踏む音。
パキッ。
「……誰だ!」
密猟者の声。
(しまった……!)
「逃げろ!」
父が叫ぶ。
追跡
森を走る。
背後から足音。
「待て!」
「坊ちゃん、こっち!」
ガルムが僕を抱える。
速い。
でも——
「捕縛魔法!」
光の鎖が飛んでくる。
戦闘開始
父に命中。
「うっ……!」
父が倒れる。
鎖が絡みつく。
「父さん!」
「逃げろ、レイ!」
「……嫌だ」
僕は立ち止まる。
(逃げられない)
(父さんを置いていけない)
包囲
密猟者たちが追いつく。
5人。
僕たちを囲む。
「ガキと……獣人か」
「目撃者だ。厄介だな」
「どうする?」
リーダーらしき男が舌打ちする。
「……始末するしかない」
恐怖
膝がガクガクと震えた。
息が、速い。
(怖い……)
(でも……)
僕は前を見る。
(……守らなきゃ)
決意
「坊ちゃん、下がれ」
ガルムが剣を抜く。
「俺が時間を稼ぐ。お前は——」
「嫌だ」
僕は前に出る。
「……僕も、戦う」
「坊ちゃん!」
ガルムの声。
密猟者が笑う。
「ガキが何を……」
魔法発動
密猟者の一人が魔法を放つ。
火球。
僕に向かってくる。
——マナ視覚化。
世界が変わる。
魔法の構造が見える。
エネルギーの流れ。
制御点。
術式の繋がり。
(……ここだ)
結界ハック
手を前に出す。
指先で空中に描く。
魔法陣が浮かぶ。
いや——
既存の術式を上書きする。
制御点をずらす。
軌道を反転させる。
(反射!)
火球が止まる。
——軌道が変わる。
密猟者に戻る。
自爆
「なにぃ!?」
火球が密猟者に命中。
爆発。
「ぐあっ……!」
倒れる。
残り4人。
「……何をした!?」
反撃
「坊ちゃん……」
ガルムが呆然としてる。
「……普通にやっただけ」
僕は答える。
(普通だよね?)
「普通……?」
「まだ来ます!」
連続戦
密猟者が2人、同時に魔法。
風の刃。
氷の槍。
僕は集中する。
両方の術式が見える。
(……書き換える)
手を動かす。
二つの魔法陣が描かれる。
——反射。
同時に。
連鎖
風の刃の軌道が変わる。
氷の槍に命中。
氷が砕ける。
破片が密猟者に飛ぶ。
「うわっ!」
「ぐっ……!」
2人が倒れる。
残り2人。
リーダーと、もう一人。
撤退
「……化け物か!?」
リーダーが叫ぶ。
もう一人が震えてる。
「逃げるぞ!報酬なんてどうでもいい!」
2人が走り去る。
沈黙
森が静かになる。
僕は膝をつく。
手が、震えてる。
指先が小刻みに震える。
息が荒い。
(……怖かった)
(今更……)
遅れてくる恐怖
「レイ……」
父の声。
「大丈夫か?」
「……うん」
嘘だ。
怖い。
手が止まらない。
視界が滲む。
(戦った……僕が……)
(人を……傷つけた)
(でも……)
(守れた)
帰路
ギルドに報告。
密猟者の身柄確保。
シルバーホーンは保護された。
依頼は成功扱い。
でも——
僕は何も覚えてない。
ぼんやりしてた。
帰宅
家。
母が待ってる。
「おかえり」
「……ただいま」
母が僕を見る。
目が合う。
「……どうしたの?」
僕は抱きつく。
「……母さん」
告白
「怖かった」
声が震える。
涙が出る。
「戦った。魔法を使った」
「人を……傷つけた」
母が強く抱きしめる。
「よく頑張ったわね」
「でも……」
「怖くて、当たり前よ」
母の声が優しい。
慰め
「悪いことを止めた」
母が僕を見る。
「あなたは正しかった」
「……本当?」
「ええ」
母が微笑む。
「守りたかったんでしょ?」
「……うん」
「なら、間違ってない」
家族会議
夜。
父、母、僕。
ガルムも呼ばれる。
父が口を開く。
「今日のことだが……」
母の心配
「戦闘は危険よ」
母が震える声で言う。
「やめさせたい」
テーブルに手を置く。
「でも……」
父が反論する。
「レイは守りたかった。その意思を——」
「危険だわ!」
母の声が大きくなる。
涙が零れてる。
「失いたくない……」
主人公の意思
「……僕は」
二人が僕を見る。
「……続けたい」
「レイ……」
母の声。
「でも、家族と一緒なら」
僕は続ける。
「一人じゃ、怖い」
「だから……」
「一緒に、いてほしい」
妥協
父と母が顔を見合わせる。
沈黙。
長い沈黙。
父がゆっくりと口を開く。
「……低危険度の依頼のみ」
「家族同行。これは絶対」
母がため息をつく。
涙を拭う。
「……分かった」
「でも、無理はしないで」
「……うん」
エピローグ
夜。
僕の部屋。
ベッドに入る。
窓の外、星空。
(今日……戦った)
(怖かった。でも、守れた)
(これが、冒険者か)
(もっと、強くならないと)
密猟組織
別の場所。
隠れ家。
リーダーが報告する。
顔に火傷の跡。
「……6歳のガキに、やられた」
「魔法を……反射させやがった」
ボスが興味深そうに聞く。
「反射?」
「ああ。俺の火球が……戻ってきた」
ボスが笑う。
不気味な笑み。
「……面白い」
立ち上がる。
「その子の情報を集めろ」
画面に映る僕の顔。
「天才児……いや」
「化け物……か」
エルフの観察
別の画面。
エルフ領域。
アリエルが報告を読む。
「……戦闘に参加した」
「6歳で。実戦で」
資料を閉じる。
「成長が……早すぎる」
「このペースなら……」
窓の外を見る。
月が昇ってる。
「10歳までに……」
「何ができる?」
「いや……」
「何を、してしまう?」
デモン監視ログが更新される。
『個体ID-7829:戦闘行動確認』
『使用魔法:結界書き換え(Level 2相当)』
『判定:防衛行動、許容範囲』
『戦闘能力:実証済み』
『観察継続、保護検討』
翌朝。
ギルド。
受付嬢が僕を見る。
「……レイ君」
「はい?」
「大丈夫?」
優しい声。
「……はい」
僕は笑う。
「大丈夫です」
(まだ、怖いけど)
(でも……前に、進まないと)
周囲がざわめく。
「本当に6歳が……」
「密猟者を……」
噂が、広がってる。
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第3章 第5話 完
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マナ視覚化で敵の魔法術式を瞬時に書き換え、反射させるという防衛行動で密猟者を撃退した主人公は、人を傷つけた恐怖と家族を守った安堵の間で揺れる。
戦闘経験を経た彼は、家族との「低危険度依頼のみ、家族同行」という新たな約束の下、冒険者の道を続けることを決意する。
最適化された選択は、次にどんな形で世界から返ってくるのか
次回 第3章 第6話 エルフの評価と人間の嫉妬
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