【第3章 第4話】 仲間という名の誤解
ギルドでベテラン冒険者ダリウスに誘われ、初めてパーティに迎えられた主人公。
彼の「マナの流れを見る」戦術提案により、魔物討伐は完璧な成果を収める。
しかし、帰路で彼が口にした「マナ消費1/10」という言葉は、仲間たちの間に得体の知れない戸惑いを生み出す。
オープニング
ギルドの掲示板前。
「レイ」
振り返ると、ダリウスだ。
「また一緒に依頼どうだ?」
僕の顔が明るくなる。
「本当ですか!」
(仲間……本当の仲間が……!)
ダリウスが笑う。
「お前の感知能力、頼りになる」
胸が熱くなる。
初めて認められた。
戦力として。仲間として。
「……ありがとうございます」
パーティ結成
酒場の一角。
ダリウスのパーティが待ってる。
「紹介する。レイだ」
僕は頭を下げる。
「よろしくお願いします」
魔法使いの女性が微笑む。リナ。
「よろしくね、天才君」
弓使いの男が手を振る。マルク。
「6歳か。可愛いな」
盗賊の男が肩を竦める。ヴィン。
「足手まといになるなよ」
「……頑張ります」
年齢の壁
リナが話しかけてくる。
「レイ君、何か好きなことある?お人形遊びとか」
僕は固まる。
(お人形……?)
「魔法の最適化とか……」
「……それ、遊びなの?」
マルクが笑う。
「変わった子だな」
(……話が、合わない)
依頼開始
森の魔物討伐。
中級魔物、フォレストウルフの群れ。
「群れで襲ってくる。散開するな」
ダリウスが指示を出す。
僕は後方で観察してる。
マナの流れを見る。
戦術提案
「……ダリウスさん」
「ん?」
「敵の配置……こうなってます」
僕は地面に図を描く。
「群れの中心がここ。リーダーがここ」
ダリウスが図を見る。
「……分かるのか?」
「マナの流れで……」
「なら、先にリーダーを叩くか」
「はい。そうすれば、群れが混乱します」
「……お前、戦術も分かるのか」
「……はい」
(当たり前じゃないの?)
ダリウスが苦笑する。
「当たり前、か」
実行
パーティがリーダーのウルフに奇襲。
——的中。
リーダーが倒れる。
群れが混乱する。
「今です!右から3匹!」
僕が叫ぶ。
「次は左!2匹!」
パーティが指示通りに動く。
リナの火球。
マルクの矢。
ヴィンの短剣。
ウルフたち、撃破。
評価
「……完璧だったな」
ダリウスが僕の頭を撫でる。
「お前のおかげだ」
胸が温かくなる。
「……えへへ」
(認めてもらえた)
マルクが呟く。
「マスコット兼参謀……か」
リナが笑う。
「可愛い天才ね」
帰路
森を抜ける道。
ヴィンが話しかけてくる。
「なぁ、レイ」
「はい?」
「お前、魔法も使えるんだろ?」
「……はい」
「どんな魔法だ?」
「光球とか……結界とか」
「普通じゃねぇか」
「……でも、マナ消費を1/10にしてます」
「……は?」
ヴィンが立ち止まる。
説明の試み
「1/10?」
「はい。無駄を削れば——」
「……お前、何言ってんだ?」
リナが割って入る。
「ヴィン、いじめないの」
「いや、意味が分からねぇ」
ダリウスが笑う。
「レイの魔法は特殊なんだ」
(……また、伝わらない)
僕は黙る。
ギルド帰還
依頼完了報告。
受付嬢が報酬を渡す。
「お疲れ様。完璧な成果ね」
ダリウスが僕を見る。
「報酬、お前の取り分だ」
銀貨3枚。
「……こんなに?」
「お前がいなきゃ、こんなに早く終わらなかった」
僕は笑う。
「……ありがとうございます」
(仲間って……いいな)
酒場での会話
パーティが酒場で祝杯。
僕は果汁。
「乾杯!」
グラスが合わさる音。
マルクが僕を見る。
「なぁ、レイ。お前、本当に6歳か?」
「……6歳ですよ?」
「いや、中身40歳だろ」
「20……」
言いかけて止める。
(危ない……!)
「20歳に見える、ってこと?」
リナがフォローする。
「そうそう。大人びてるわよね」
「……そうですか?」
夜の会議
酒場の隅。
パーティの会議。
僕は席を外してる。トイレに行くふり。
廊下に出る。
声が聞こえる。
聞こえてしまった言葉
「あの子、どう思う?」
ダリウスの声。
足が止まる。
「……天才だな」
ヴィンの声。
「でも、不自然だ」
「6歳であそこまで……」
マルクの声。
「利用すべきか?」
息が詰まる。
「いや、守るべきだ」
リナの声。
「……俺たちには手に負えない」
ダリウスの声。
衝撃
僕は立ち尽くす。
壁に手を押し付ける。
息が、苦しい。
(……利用?)
(……手に負えない?)
胸が、痛い。
(仲間じゃ……)
(……ないの?)
足が、動かない。
翌日
ギルド。
ダリウスが声をかけてくる。
「レイ、次の依頼も——」
「……ごめんなさい」
僕は下を向く。
「今日は、家族と行きます」
「……そうか」
ダリウスが困惑する。
「何かあったか?」
「……いえ」
僕は逃げるように去る。
帰宅
家。
母が気づく。
「どうしたの?元気ないわよ」
「……なんでもない」
「嘘ね」
母が僕を抱きしめる。
「話して」
告白
「……仲間だと思ってたのに」
「仲間?」
「パーティの人たち」
声が震える。
「……利用するって、言ってた」
「手に負えないって」
母が優しく髪を撫でる。
「悪くないわ」
「でも……」
「あなたが特別だから、みんな戸惑ってるの」
「……僕が?」
「あなたの能力が早すぎて、彼らにはまだ受け皿がないの」
慰め
「じゃあ……天才は……」
母が頷く。
「孤独なこともあるわ」
涙が出る。
「……嫌だ」
「ずるい」
母が抱きしめる。
「泣いていいのよ」
「……うん」
数日後・ガルムの言葉
夜。
ガルムが部屋に来る。
「坊ちゃん」
「……ガルム」
ガルムが座る。
「聞いた。パーティのことを」
「……うん」
「あいつらを恨むな」
「……どうして?」
「あいつらも怖いんだ」
「怖い?」
「お前が強すぎて」
獣人の視点
「獣人は、強い者を見れば尊敬する」
ガルムが続ける。
「でも、人間は違う」
「強すぎる牙は、群れを乱す」
「……」
「だから、距離を置く」
「……じゃあ、仲間には……」
「なれる」
ガルムが僕の肩を叩く。
「時間をかければな」
一週間後
ギルド。
ダリウスが声をかけてくる。
「レイ」
「……はい」
僕は目を逸らす。
「あの夜、聞いてたんだろ?」
僕は固まる。
「……すみません」
「謝るな」
ダリウスも目を逸らす。
「俺たちが……悪かった」
和解
「お前を信じてなかった」
ダリウスが頭を下げる。
「怖かったんだ。天才すぎて」
「……」
「でも、お前は仲間だ」
「……本当ですか?」
「ああ」
ダリウスが顔を上げる。
「時間はかかるけどな」
僕は笑う。
「……じゃあ、待ちます」
「おう」
(僕も……彼らを信じよう)
(時間をかけて)
エピローグ
酒場。
パーティが集まってる。
僕は果汁。
「乾杯!」
グラスが合わさる。
(……まだ、距離はある)
(でも……)
(少しずつ、近づける)
エルフの観察
別の場所。
エルフ領域。
アリエルが報告を読む。
「……社会性が育ってきた」
資料を閉じる。
「このまま成長すれば……」
「……使える」
「それとも……」
彼女が立ち上がる。
「……排除すべきか」
窓の外、月光。
「……まだ、判断できない」
その夜。
僕の部屋。
窓の外、星空。
(仲間……か)
(まだ、完璧じゃない)
(でも……)
(いつか……本当の仲間になれるかな)
(そのためには……)
(もっと、彼らを理解しないと)
ベッドに入る。
(……頑張ろう)
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第3章 第4話 完
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仲間として認められた喜びを感じていた主人公だが、偶然耳にした彼らの会話で、自分が「利用の対象」または「手に負えない怪物」と見なされていることを知る。
しかし、獣人ガルムとリーダーのダリウスとの対話を経て、彼は時間をかけて信頼を築く道を選び取る。
次回 第3章 第1話〜第4話:最近のあの子の噂




