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転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
6歳で冒険者見習い、天才は社会の【嫉妬】で孤立する 〜観測ノードとデモン監視の謎〜
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【第3章 第1話】 初依頼と普通の壁

森の薬草採取という、ただの初依頼。

主人公はまだ知らない。

この「マナの流れが見える」という小さな普通が、世界の常識と、監視システムの静かなる評価を動かし始めていることを。

「薬草採取、依頼受けます」


僕は背伸びしてカウンターに手を置いた。受付嬢が目を丸くする。


「……6歳だよね?」


冒険者ギルド


「はい」


僕は首から下げた金属札を出す。


《準会員:特例認可》


受付嬢が確認して、小さくため息。


「ああ、噂の……保護者は?」


「ここに」父が横に立つ。「同行します」


「では、依頼書にサインを」


父がサインする間、受付嬢が地図を広げた。


「この森の北部に薬草が自生してる。危険度は低。夕方までに戻って」


「はい」


地図を見る。森の入口から3km。地形は平坦。


(薬草はマナを吸収する。だから……)


僕たちはギルドを出た。


森へ


ガルムが先を歩く。


「緊張してるか?」


「……少し」


「初めてだからな」父が笑う。「大丈夫。俺たちがいる」


森の入口。木々が密集してる。


僕はマナ視覚化を発動した。5秒で起動。世界が変わる。


光の粒子。流れの方向。


マナの流れが地図と一致する。北部はマナ密度が高い。


(標準ルートは迂回してる。でも、流れに沿えば1.5kmで到達できる)


「こっち」


「え? 地図と違うぞ」父が首を傾げる。


「……薬草の匂いが、こっちから」


「お前、匂いで分かるのか?」ガルムが驚く。


「……なんとなく」


(本当はマナの流れだけど)


遭遇


森の中を進んでると、声が聞こえた。


「おい、このルート……遠回りだな」


「いつもこうだろ」


ベテラン冒険者たち。3人組。同じ依頼を受けてる。


「あれ? そっちは近道じゃないか?」


一人が僕たちに気づく。


「薬草採取です」僕は答える。


「薬草? そっちにあるのか? 地図と違うぞ」


ベテランが笑う。


「……はい。この流れに沿えば……」


僕は地図を指差した。


「マナの流れです。地形に沿って、薬草が集まります」


「……」


ベテランたちが黙る。


「お前……6歳だよな?」


「はい」


「なんで、そんなこと知ってる?」


「……見えるから」


「見える……?」


ベテランが困惑する。


「まあ、いいや。試してみるか」


「子供の言うこと信じるの?」


「でも……理屈は通ってる」


ベテランたちが僕のルートを選んだ。


到達


30分後。


薬草の群生地に着いた。


「マジかよ……半分の時間で着いた」


ベテランが驚く。


「しかも、こんなに薬草が……」


地面一面。青い薬草が広がってる。


「すげぇ……」ガルムが呟く。


「お前……どうやって?」


「……マナの流れが見えるから」


「まな……?」


「あ、えっと……」


僕は慌てる。(言っちゃった)


「……独自魔法です」


「独自魔法ねぇ……」


ベテランが笑う。


「お前、天才児ってやつか」


「……」


「まあ、いいや。採取しよう」


採取


僕は薬草を丁寧に採る。根を傷つけないように。


マナ視覚化で根に残るマナの濃度を見て、最適な切断位置を探す。


「お前、丁寧だな」


ベテランが言う。


「……はい」


「普通は、引っこ抜くだけなのに」


「え?」


僕は驚く。


「根を残せば、また生えるのに」


「……そうか。確かに」


「でも、面倒だろ」


「……面倒?」


僕は首を傾げる。


「効率悪いじゃないですか」


「効率……?」


「はい。根を残せば、来年も採れます。引っこ抜いたら……また種から」


「……」


ベテランたちが顔を見合わせる。


「お前……6歳には見えねぇな」


「……6歳ですけど」


僕は真面目に答える。


ベテランが爆笑した。


「おもしれぇ!」


帰路


採取完了。僕たちはギルドに戻る。


「お前、また依頼受けるのか?」


ベテランが聞く。


「……はい」


「なら、今度一緒にどうだ?」


「え?」


「お前のルート、試してみたい」


「……いいんですか?」


「ああ。面白そうだし」


ベテランが笑う。


「よろしくな、天才児」


「……よろしく、お願いします」


ギルド報告


カウンター。


僕たちが薬草を提出する。


「これを……全部? 品質も……すごく良い」


受付嬢が驚く。


「根が残ってる……丁寧に採ったのね」


「……はい」


「普通は、引っこ抜くだけなのに」


「……それじゃ、効率悪いです」


「効率……」


受付嬢が笑う。


「6歳の言葉じゃないわね」


「……」


僕は気まずい。


「報酬は……標準の1.5倍。品質が良いから」


受付嬢が銀貨を渡す。


「次も頑張ってね」


「……はい」


ギルドマスター


奥の部屋。


ギルドマスターが僕たちを呼んだ。


「よく来たな」


傷だらけの手が机を叩く。元冒険者の風格。


「座れ」


僕たちは椅子に座る。


「お前が、天才児か。ベテランから聞いた。最短ルートを教えたって」


「……はい」


「どうやって?」


「……マナの流れが見えます」


「まな……」


ギルドマスターが目を細める。


「それ、魔法か?」


「……独自魔法です」


「独自……」


長い沈黙。


「教えてほしい。そのルート選定の方法。他の冒険者にも」


「……」


僕は迷う。(教える……? でも……どうやって?)


「簡単に説明できるか?」


「……やってみます」


説明


僕は紙を出した。簡単な図を描く。


「マナは……こう流れます」矢印を描く。「地形に沿って」


「薬草は……マナを吸収します。だから……ここに集まります」


×印をつける。


「最短ルートは……この流れに沿う」


「……」


ギルドマスターが黙る。


「すごいな……理屈が通ってる」


「……すごい、ですか?」


「ああ。でも……」


困った顔。


「普通の冒険者には、難しいかもな」


「え? なんでですか?」


「マナが見えないから」


「……あ」


僕は気づく。(そっか……見えないのか)


「お前は特別だ。だから……今は教えなくていい」


「でも、お前のルートは記録する。次から、そのルートを推奨する」


「……はい」


帰宅


「疲れた……」


僕は家に着いた。母が出迎える。


「おかえり! どうだった?」


「……がんばった」


僕は笑う。


「薬草、たくさん採れた」


「すごいじゃない!」


母が僕を抱きしめる。


「でも……」


「ふつうじゃ、なかった」


「普通?」


「うん。みんな……驚いてた」


「……」


母が微笑む。


「あなたは、普通じゃないから」


「……そうなのかな」


「そうよ。でも、それで良いの」


母が僕の頭を撫でる。


「あなたは、あなた」


「……うん」



ベッドで。窓から星が見える。


マナの流れが見える。


(これが……ぼくの”普通”)


(でも……みんなには、見えない)


僕は目を閉じる。疲れて——すぐに眠った。


エピローグ


ギルドマスターの部屋。


「あの子の方法……広めるべきか」


呟く。


「いや……まだ早い」


画面に映る僕の顔。マナ視覚化の記録。


「デモンが……見てるかもしれない」


「慎重にいこう」


デモン監視システム。ログ更新。


```

【対象:個体ID-7829】

年齢:6歳

活動:冒険者初依頼

行動:経済効率化(+0.5%局所的)

評価:社会的影響:限定的

判定:監視継続

```


その夜。父と母の会話。


「あの子……大丈夫かしら」


母が心配そう。


「大丈夫だ。俺たちがいる」


父が言う。


「でも……周りと違いすぎる」


「……そうだな」


父が黙る。


「でも……それが、あいつだ。普通じゃない。それで、良いんだ」


母が頷く。


「……そうね。見守りましょう」


-----

第3章 第1話 完

-----

マナの可視化による最短ルートと効率的な採取法が、ベテラン冒険者たちの常識を打ち破った。

だがその裏側で、彼の「普通ではない行動」は、世界を管理する監視システム(デモン)のログに刻み込まれる。


効率化された一歩は、次にどんな形で世界から返ってくるのか。


次回 第3章 第2話 魔法使いの常識、プログラマーの非常識


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