7章サブ話①⑧: 『港町住民・神格化の萌芽』
主人公は、塔から放たれる三色の光が街の人々に「神」や「魔物」として解釈されている点にだけ引っかかっていた。
それは、技術的な事象として捉える者がいない以上、この場では特に問題視されていない。
港町住民・神格化の萌芽
【観測ログ・ストリーム】
港町・第33日 / ██完了後
【証言者:不明 / 信頼度:中】
光の柱が、太くなった。
空に向かって。
青と緑と黄色が、混ざって。
眩しくて、目を細めた。
でも、見ちゃうんだよ。
怖いのに。
一秒ごとに、脈打ってる。
機械みたいで。
生きてるみたいで。
「……██が、何かしたのか?」
誰かが、呟いた。
みんな、黙ってた。
答えを、知らないから。
いや、知りたくないのかも。
【証言者:漁師 / 信頼度:高】
海が、静かになった。
温度も、下がった。
魚が、戻ってきてる。
東の沖に。
「……助かったのか?」
分からない。
でも、網を、入れたくない。
また、裂ける気がする。
「あの██が……塔に入ったって聞いたぞ」
「調査団と一緒に?」
「██歳の██が?」
誰も、何も言わなかった。
ただ、塔を見てた。
怖くて。
【証言者:商人 / 信頼度:中】
街の半分が、閉まってた店を開けた。
荷物が、動き始めた。
でも、誰も理由を言わない。
みんな、塔を見てる。
気味が悪い。
「……世界が、変わったのか?」
分からない。
でも、確かに、何かが変わった。
「あの██、何者なんだ?」
「測定器、持ってた██だろ?」
「██歳だぞ?」
「……人間じゃない」
誰も、答えなかった。
答えを、知らないから。
いや、答えが、怖いから。
【証言者:母親 / 信頼度:低】
子供が、聞いてきた。
「あの光、なに?」
答えられなかった。
「……神様、かもしれない」
そう言うしかなかった。
「でも、怖い?」
子供が、また聞いた。
「……分からない」
でも、神様なら、なぜ██なの?
間違ってる。
何かが、間違ってる。
夜、眠れなかった。
【噂・断片 / 出典不明】
「光の██」って呼ばれてるらしい
塔の██って言ってる人もいる
世界を██した██、だって
でも、██歳だぞ?
見たことあるぞ、測定器持って歩いてた
……普通じゃない
神様?
魔物?
分からない
でも、確かに、何かが変わった
上からの指示で、██については話すな、と言われた
誰が?
ギルドだよ
なんで?
知らない
教えてくれない
【証言者:老人 / 信頼度:???】
昔、聞いたことがある。
「塔が光る時、世界が変わる」
そう、言い伝えがあった。
でも、誰も信じてなかった。
ただの、おとぎ話だと。
今、目の前で、光ってる。
一秒ごとに。
太い柱で。
RGB、混ざって。
「……本当だったのか」
怖い。
「……世界が、終わるのか」
誰にも、聞こえないように、呟いた。
【証言者:子供(██歳)/ 信頼度:低】
友達が、言ってた。
「あの██、すごいんだって」
「何がすごいの?」
「塔を、██したんだって」
「……嘘でしょ?」
「本当だよ、大人が言ってた」
怖くなった。
でも、すごいと思った。
「会ったことある?」
「ない」
「……会いたい?」
「……怖い」
塔を、見上げた。
光が、眩しかった。
【夜の街・観測記録 / 記録者:██】
人が、外に出てる。
塔を、見てる。
誰も、何も言わない。
ただ、光を、見てる。
一秒ごとの、脈動を。
「……これから、どうなるんだろう」
誰かが、呟いた。
誰も、答えなかった。
答えを、知らないから。
いや、知りたくないから。
【街の掲示板・落書き / 翌朝発見】
「光の██」は神様だ
違う、魔物だ
どっちでもいい、怖い
名前は?
知らない
教えてくれない
ギルドが隠してる
なんで?
分からない
でも、確かに、何かが変わった
世界が、変わった
██が、変えた
【未解決事項】
∙██の本名(一切公開されず)
∙「光の██」「塔の██」という呼称の発生源
∙ギルドからの情報統制の理由
∙北の塔で██が██しているという未確認情報
∙神格化と恐怖の比率(現時点で拮抗)
【記録者補足 / ██】
住民は、まだ「理解」していない。
ただ、「畏怖」している。
神格化。
恐怖。
両方が、混ざってる。
これが、██の、始まりだ。
そして、終わりの、始まりかもしれない。
主人公は、自身の名前を伏せようとするギルドの情報統制をそのまま流した。
結果として、街には正体不明の存在への畏怖だけが残された。
ただ、そのままで良いのかは分からない。
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