7章サブ話①⑦: 『緊急報告:大陸循環システム再起動について』
主人公は、全十二基の施設が螺旋状に配置されており、それが意図的に設計されたものである点にだけ引っかかっていた。
それは一部の調査団報告で指摘されているが、この場では特に問題視されていない。
緊急報告
大陸循環システム再起動について
【極秘文書】
発信元:ギルド中央本部 → 各国政府中枢
分類:最高機密
閲覧資格:Lv8以上
発信日時:第3サイクル1500年 2月11日 22:47
発信者:ギルド中央本部 緊急対策室
件名:大陸全土における古代施設群の同期起動に関する緊急報告
【状況概要】
本日21:03、
大陸全土に散在する古代施設
(通称:沈黙の塔)12基が、
同時刻に起動。
我々は、
何が起きたのかを理解していない。
【観測データ】
■ 事象発生タイムライン
21:03:00
— 港町東方施設にて、光柱の急激な肥大化を観測
21:03:12
— 大陸南部・西部・北部の各観測拠点より
「同時刻の発光」報告
21:03:45
— 全12基の施設が青色光柱を放射していることを確認
21:04:20
— 各地の測定器が限界値を超過、物理的破損
21:05:00
— ギルド本部、緊急対策本部を設置
21:06:██
— ████████████████(記録削除)
■ 物理的変化(全施設共通)
•発光色:
青 → 緑 → 黄 の三色同時表示(前例なし)
•脈動周期:
従来6秒 → 1秒へ短縮(加速率600%)
•光柱の太さ:
従来比 推定8倍以上
•マナ濃度:
測定器限界超過(数値取得不能)
•音響:
低周波の規則的振動音
(半径5km圏内で確認)
→ 注記:
一部観測拠点にて、測定員が失神。
理由は不明。
■ 地理的配置の特異性
調査団エルネスト報告より抜粋:
「12基の施設は、大陸全土に螺旋状に配置されている。
これは偶然ではない。
意図的に設計された配置である。」
→ 疑問:誰が、いつ、何のために設計したのか。
→ 回答:不明。
【推定される因果関係】
■ 港町事例との時系列的一致
•2月9日:
港町東方施設にて、内部構造の変化を確認
•2月10日:
同施設のマナ濃度が急上昇
脈動が3秒周期へ変化
•2月11日 21:03:
全施設が同期起動
時系列的整合性:
港町施設の変化から48時間以内に、全施設が反応。
→ 暫定推論:
港町における何らかの事象が、
大陸規模の連鎖反応のトリガーとなった可能性。
→ ただし:
直接的因果関係は証明不能。
確認できるのは相関関係のみ。
偶然の一致である可能性も排除できない。
【情報統制に関する勧告】
■ 一般市民への影響
各地より、以下の報告が殺到している:
•「神が降臨した」
•「世界の終わりが来た」
•「塔が怒っている」
•「光の柱が空を貫いている」
→ 現状:
商業活動の停止、避難行動、宗教的儀式の開始を確認。
→ 懸念:
このまま放置すれば、
社会秩序の崩壊に至る可能性。
■ 推奨措置
1.詳細情報の即時公開を避ける
(「古代施設の定期的メンテナンス現象」等で時間を稼ぐ)
2.港町事例に関する情報を伏せる
(████████████████ を機密指定)
3.各国政府との情報共有を最小限に
(段階的開示。パニック防止を最優先)
→ 注記:
一部評議員より
「本事象を外交的に利用すべき」との意見あり。
本部は、
現時点では情報管理を最優先とする。
【未解明事項】
以下、緊急性の高い未解決の疑問を列挙する。
■ 北方施設の異常挙動
港町調査団より、以下の報告あり:
「北方の施設から、不規則な信号を観測。
他11基とは異なる挙動を示しており、
何かがそこで始まっている可能性がある。」
→ 懸念:
北方施設が次段階事象の起点となる可能性。
→ 追記:
北方施設周辺で住民の失踪報告あり(未確認)。
信号は、他11基とは異なる
『意図』を持つ可能性。
■ システムの最終目的
•なぜ、このシステムは存在するのか?
•なぜ、第2サイクル崩壊後も稼働し続けているのか?
•再起動された今、次に何が起こるのか?
→ 現時点では、すべて回答不能。
【最終勧告】
本事象は、
第2サイクル以来の世界規模変動である可能性が極めて高い。
ギルド中央本部は、以下を勧告する:
1.全古代施設への継続的観測体制の確立
2.港町事例の徹底調査
(変化の主体・手法・影響範囲の特定)
3.北方施設への緊急調査団派遣(最優先)
しかし、
我々は認めなければならない。
我々は、何が起きたのかを理解していない。
我々は、次に何が起こるのかを予測できない。
我々は、これを止める手段を持っていない。
唯一確かなことは、
世界が、動き始めたという事実だ。
我々の意図とは、無関係に。
【文書終了】
次回報告予定:2月12日 06:00
緊急連絡先:ギルド中央本部 緊急対策室(直通)
— 我々は、観測を続ける。
— それ以外に、できることはない。
【追記】
2月11日 23:15
北方施設より、新たな信号。
詳細は次回報告にて。
2月11日 23:47
北方施設周辺で地鳴りを確認。
住民の避難を開始。
2月12日 00:12
北方施設の光が、消失。
他11基は、依然として稼働中。
なぜ、北方だけが?
文書分類:最高機密
保管期限:無期限
破棄:禁止
複製:承認者のみ
【この報告書を読んだあなたへ】
何も、終わっていない。
むしろ、始まったばかりだ。
そして、我々は——
——何も、知らない。
主人公は、北方施設だけが突如として光を消失させたという最新の報告を確認した。
結果として、各地の施設が同期を続ける中で北方だけが例外的な挙動を示すという事実だけが残された。
ただ、その消失が何を意味しているのかは分からない。
よろしければ、ブックマークで続きを追っていたいただけると嬉しいです。




