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転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
境界線の観測者 ―身分なき少女と、許可深度を超過した少年の2週間―
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7章サブ話⑦: 『調査団到着の日』

主人公は、ギルド本部から派遣された調査団が港町に到着した様子を眺めていた。

街の人々は、自分たちを助けに来たはずの専門家たちが、一人の子供の記録を見て顔色を変えた点にだけ引っかかっている。

観測ログ・ストリーム


港町ギルド支部/一般住民聞き取り


記録記録日:調査団到着当日(朝6時〜正午)


記録者注記:以下は断片的証言の時系列再構成である。証言の信憑性については保証しない。


06:15 — 宿屋「波音亭」 女将の証言


「……ええ、見ましたよ。朝早く」


「五人。黒いローブ着て、ギルドの紋章つけてる人たちが」


「馬車が二台。荷物、すごく多かった」


「測定器? みたいなのも。見たことない道具ばっかり」


「……ああ、やっぱり本当だったんだって」


「何かが、来てるんだって」


「でも」


「あの子も、見てたんですよ」


「窓から」


「【測定器の子】」


「……怖かった」


「何が怖いって、あの子の顔」


「何も、感じてないみたいな」


06:40 — 港 / 漁師たちの会話

「プロが来た」


「ギルド本部から、だろ?」


「じゃあ、助かるのか?」


「……分かんねえよ」


「でも、おかしいだろ」


「プロが来るのに」


「なんで子供が先に調べてたんだ」


「……あの子、誰に頼まれたんだ?」


「誰も、頼んでねえよ」


「勝手に、測ってた」


「勝手に、記録してた」


「勝手に、ギルドに持ってった」


「……」


「気味が悪い」


「あの子が、塔を起こしたんじゃねえか?」


「やめろ、そんなこと言うな」


「でも」


「去年の秋から、おかしくなったんだろ?」


「あの子が来たのも、去年の秋だ」


07:20 — 市場 / 閉まった店の前


店主が、シャッターに手をかけたまま、動かない。


「……開けていいのか、分からない」


「プロが来たって聞いた」


「でも」


「塔は、まだ光ってる」


「海は、まだ温かい」


「魚は、まだいない」


「……何も、変わってない」


「プロが来る前に」


「もう答えが出てるんじゃないか」


「あの子が、何か知ってるんじゃないか」


「でも」


「それを、誰も聞けない」


「……怖くて」


08:00 — ギルド支部 / 受付職員の独白


「調査団の皆さん、今、中で」


「あの子の記録、見てる」


「三冊のノート」


「測定器も」


「……信じられないって、言ってた」


「『九歳で、これを?』って」


「でも、それって」


「褒めてるんじゃない」


「怖がってる」


「私たち、最初信じなかったんだ」


「子供の言うことだからって」


「でも、プロが来て」


「あの記録を見て」


「顔色、変えた」


「……私たち、何を相手にしてたんだろう」


09:30 — 街角 / 母親と子供の会話


「ねえ、お母さん」


「あの人たち、何しに来たの?」


「……お仕事よ」


「塔を、調べるの」


「塔って、怖いんでしょ?」


「怖いわ」


「じゃあ、あの人たち、すごいんだ」


「……ええ、すごい人たちよ」


「あのね」


「僕の友達が言ってた」


「レイくんって子が、塔のこと調べてたって」


「……」


「お母さん?」


「……あの子に、近づいちゃダメ」


「え?」


「近づいたら、ダメ」


「あの子は、普通じゃない」


「どういうこと?」


「……」


「お母さん、泣いてるの?」


10:15 — 港 / 老漁師の呟き


「昔から、言い伝えがあった」


「『東の沖は、流れが変だ』って」


「『引き込まれる』って」


「でも、魚は獲れてた」


「網も、破れなかった」


「……去年の秋から、おかしくなった」


「プロが来たって?」


「……遅いよ」


「もう、海は死んでる」


「でもな」


「あの子は、知ってたんだ」


「ずっと前から」


「なんで、知ってたんだ?」


「普通の子供が、どうやって」


「……」


「あの子、人間か?」


11:00 — 商人ギルド / 情報交換の場


「調査団、動き出すらしい」


「昼過ぎには、塔へ」


「……誰か、一緒に行くのか?」


「あの子を、連れて行くらしい」


「【測定器の子】を?」


「ああ」


「……なんでだ」


「プロが五人もいるのに」


「子供を、何に使うんだ」


「…」


「使える、ってことか」


「あの子、何者なんだ」


「ギルドが、隠してるんじゃないか」


「本当は、あの子が——」


「やめろ」


「憶測で喋るな」


「でも」


「事実は、もう出てるだろ」


「プロより先に、子供が調べてた」


「プロが、その子供を連れて行く」


「これが、普通か?」


11:45 — 街の掲示板 / 立ち話


「見た? ギルドの張り紙」


「『本日より調査開始』って」


「『不要な外出は控えるように』だって」


「……もう、誰も出てないよ」


「街、半分死んでる」


「店も閉まってるし」


「人も減った」


「逃げた人、多いんだろうな」


「でも、あの子は逃げない」


「【測定器の子】は、ずっと測ってる」


「何を、測ってるんだ?」


「私たちを?」


「街を?」


「それとも——」


「やめて」


「考えたくない」


12:00 — ギルド前 / 出発の瞬間


調査団が、外に出てくる。


黒いローブ。


測定器。


ロープ。


そして——


「……あの子だ」


「本当に、一緒に行くんだ」


「九歳だぞ?」


「なんで、あの子なんだ」


「……」


「見た? リーダーの顔」


「あの子を見た瞬間、何か言った」


「聞こえなかったけど」


「██████って」


「……」


「あの子、何者なんだ」


「人間なのか?」


「それとも——」


未記録事項

∙調査団リーダーが【測定器の子】を見た瞬間、何と呟いたのか

∙塔の中に入った後、█時間███分もの間、誰も出てこなかった。その間、何が起きていたのか

∙ギルド本部から届いた指示書には、『███████は絶対に███████』という黒塗り部分があったという証言がある(未確認)

∙【測定器の子】は、なぜ「去年の秋」に港町に現れたのか

∙海の異変が始まったのも「去年の秋」である——この一致は、偶然なのか


記録者後記(非公式・個人的所感)


本記録は、調査団到着当日の住民反応を時系列で記録したものである。


特筆すべきは、住民の間で【測定器の子】に対する恐怖と疑念が急速に拡散している点である。


「プロが来た」という希望は、すぐに「子供が先に調べていた」という矛盾によって崩された。


そして、今。


住民たちは、こう囁き始めている。


「あの子が、何かを知っている」


「あの子が、何かを起こした」


「あの子は、普通じゃない」


調査団のリーダーが、あの子を見た瞬間に呟いた言葉。

私には聞こえなかった。


しかし、リーダーの表情は——


恐怖


畏怖


そして、何か別の感情


それが、何だったのか。


私には、分からない。


ただ一つ、確かなことがある。


この街は、もう戻れない


あの子が来てから、全てが変わった


そして、これから——


何が起きるのか、誰も知らない


(記録終了)

主人公は、調査団に同行を求められるまま、塔へと足を向けた。

結果として、街に残された住民たちの間に広がった疑念が解消されることはなかった。


ただ、その先に何が待ち構えているのかは分からない。


よろしければ、ブックマークで続きを追っていたいただけると嬉しいです。

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