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転生プログラマーが魔法をデバッグしたら、世界OSから監視される件 ―6歳幼児が異世界の仕様をハックし始めた  作者: プラナ
規格外の【確率深度】がバレた! エルフ教育とデモン監視システムからの最初の警告
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【第2章 第4話】 世界の裏側とコアの謎

訓練の末、目標のマナ効率を達成した主人公は、エルフの学者アリエルに連れられ、危険な冒険者の集うギルドの地下室へ向かう。


そこで初めて目にしたのは、世界のシステムが凝縮された「ダンジョンコア」


誰も気づかない中、彼の視点には、そのコアに存在するマナの奇妙な「ループ」が見え始める。

「血だ」


冒険者の腕が真っ赤だ。


前世なら救急車——この世界にはない。


僕は港で立ち尽くす。


3歳の身体で、成人の思考が軋む。


半年経った。


実験部屋での訓練。


「よし、安定してる」


手のひらの光球。


マナ消費、目標達成。


(でも——まだ無駄がある)


光球の縁に、よどみ。


(これを取り除けば……)


「坊ちゃん! アリエル様が!」


マルタさんの声。


「はーい!」


階段を駆け上がる。


リビング。


アリエルさんがお茶を飲んでる。


「やあ」


「うん!」


隣に座る。


「今日は特別な場所へ」


「どこ?」


「ギルド。コアを見せる」


「コア!?」


目が輝く。


ダンジョンの心臓——前世で言えば、バグったサーバーみたいなものだ。


「条件がある」


アリエルさんが真剣な顔。


「絶対に触らないこと」


「わかった」


(触らなくても……解析できるはず)


「もう一つ」


アリエルさんが付け加える。


「ギルドでは、私の後ろから離れないこと」


「なんで?」


「冒険者たちは荒っぽい人が多い。君みたいな小さな子には危ないの」


「……うん」


(でも、冒険者って……どんな人たちなんだろう)


ギルドは騒がしい。


「報酬はこれでどうだ!」


「もっとくれよ!」


冒険者たちが叫ぶ。


受付のお姉さんが困ってる。


「規定の金額です……」


「規定なんて知るか! こっちは命がけなんだぞ!」


アリエルさんが僕の手を強く握る。


「ほら、行くわよ」


僕は周りを見回す。


剣を背負った男。


弓を持った女性。


魔法の杖を握った老人。


みんな、傷だらけだ。


そして——


一点に視線が止まる。


包帯から血が滲む男。


「痛そう……」


「戦いの傷よ」


アリエルさんが手を引く。


「これが冒険者の現実」


男が気づいて、僕を見た。


「ん? ガキか」


「……」


「こんなとこ連れてくるなよ、エルフ」


「見学よ」


「見学ねえ……」


男が苦笑い。


「まあ、いいか。坊主、冒険者になりたいのか?」


「……わかんない」


僕は正直に答える。


「でも、すごいと思う」


「すごい?」


「うん。こわいのに、たたかってる」


男の表情が変わった。


「……そうか」


彼は立ち去る。


背中に、大きな傷跡が見えた。


(現実……)


前世のオフィスとは違いすぎる。


「こっちよ」


地下へ。


厳重な扉の向こう——


ガラスケースに黒い球体。


「これがコア」


近づくと——部屋の空気が重い。


圧迫感。


「アリエルさん……」


「大丈夫。ケースの中だから」


でも、近づくほどに——


(……おかしい)


視界が変わり始めた。


球体が光る——いや、光ってたのが見え始めた。


周りに、マナが渦巻いてる。


「アリエルさん」


「ん?」


「このコア、バグってる」


「……え?」


「マナの流れが、ここでループしてる」


空中を指す。


「ここと、ここ。渦巻いて、戻ってる」


アリエルさんの目が見開かれた。


「君……何が見えてるの?」


「え? 普通に、マナが流れてるでしょ?」


「普通じゃない!」


別の声。


振り向くと——さっきの血まみれの冒険者。


「ガキがコアの構造を見抜いただと?」


「見抜いたって……ただ、見えただけ」


首を傾げる。


「見えるわけねえだろ!」


男が声を荒げる。


「俺は10年冒険者やってるが、コアの内部なんて見えたことねえぞ!」


「え……」


その瞬間——


コアが光った。


ガラスケースにヒビ。


「クソ! 暴走か!?」


剣を抜く音。


「離れろ!」


アリエルさんが僕を抱える。


でも——


(ここだ)


歪んだマナの流れ。


滞留してる一点。


指を向ける。


「……直せ」


光が収まった。


ヒビも止まった。


「……………………」


沈黙。


男がゆっくりと剣を下ろす。


「おい、エルフ」


男の声が震えてる。


「このガキ……何者だ?」


「私の教え子よ」


「嘘つけ! 教え子がコアを修理するか!?」


修理?


僕はぽかんとした。


(ただ、バグを指摘しただけなのに)


「変な子だな」


別の冒険者が近づいてくる。


「3歳でコアを直すなんて……」


「直したんじゃない」


僕は言った。


「バグがあったから、教えてあげただけ」


「……………………」


また沈黙。


そして、男が笑い出した。


「ハッ! 面白いガキだ!」


「え? 面白い?」


混乱する。


「おい、坊主」


男が僕の頭を撫でる。


「お前、将来すげえ冒険者になるぞ」


「……ぼうけんしゃ?」


「ああ。コアを見抜けるなんて、聞いたことねえ」


男が笑う。


「俺たちは死にかけながらダンジョンに潜るが、お前がいればもっと安全になるかもな」


「……」


(冒険者……か)


初めて、外の世界の人に認められた気がした。


帰り道。


アリエルさんが言った。


「あれは、Level 2の魔法よ」


「れべる2?」


「高度な魔法。普通は10歳にならないと使えない」


「……でも、僕は何もしてない」


「それが問題なの」


深くため息。


「無意識に、高度な魔法を使える。それって……」


言葉が途切れる。


「でも、冒険者の人は喜んでた」


「……そうね」


アリエルさんが僕を見る。


「でも、君の力は——使い方を間違えたら、危険なの」


「あぶない?」


「ええ。世界のシステムに干渉する力だから」


「せかいの……」


「今はまだ分からなくていい」


アリエルさんが微笑む。


「でも、君は特別。だから、私がちゃんと教えるわ」


「……ありがとう」


(危険……か)


特別って、良いことなのか? 悪いことなのか?


まだ、分からない。


夜。


母がベッドサイドに座った。


「ギルド、どうだった?」


「怖かった」


「そうね」


「でも……役に立てたかもしれない」


母が頭を撫でる。


「あなたは特別な子。でも、焦らないで」


「……まま」


「ん?」


「ぼく、ぼうけんしゃになれるかな?」


母の手が止まった。


「……冒険者?」


「うん。ギルドの人が、すごいって言ってくれた」


「……」


母が僕を抱きしめる。


「いつか、なれるわ」


「ほんと?」


「ええ。でも、今はまだ早い」


「……うん」


「まずは、強くなること。それから、世界を知ること」


母が優しく言う。


「冒険者は、強いだけじゃダメなの」


「……どうして?」


「世界を知らないと、何を守るべきか分からないから」


「……」


(守るべきもの)


家族。


友達。


そして——


(まだ見ぬ、誰か)


エピローグ


デモン監視ログ:


```

【異常個体:緊急】

年齢:3歳

事象:コア構造解析

評価:極高

監視:日次

備考:システム干渉能力確認

冒険者との接触確認

将来的脅威度:未測定

```


水晶球が脈動する。


深層で、何かが笑った。


「もっと……見せてみろ」


影が囁く。


「お前の目で、この世界をどこまで壊せるか」


そして——


「冒険者か……面白い選択肢だ」


影が揺れる。


「だが、お前の力は——そんな次元じゃない」


翌日。


ギルドで噂が広がった。


《港町に、コアを見抜くガキがいる》


《10年目の冒険者が認めた天才児》


《次はいつ現れる?》


そして——


《もしかして、次世代の英雄か?》


僕はまだ知らない。


自分の「普通」が、世界を変え始めていることを。


そして、冒険者たちが——僕に期待を寄せ始めていることを。


-----

第4話 完

-----

ギルドの地下でコアのバグを見抜き、無意識に高度な魔法で暴走を鎮めた主人公は、現場の冒険者たちに「次世代の英雄」として認められる。


彼のシステム干渉能力は監視システムのリスク評価を跳ね上げ、影で世界を操る未知の存在にまでその存在を刻みつけた。


最適化された選択は、次にどんな形で世界から返ってくるのか。


次回 第2章 第1話〜第4話 最近のあの子の噂


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