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木枯らしが運ぶオルゴール

掲載日:2025/12/06

「なろうラジオ大賞」への応募作品です。


〜あらすじ〜

久しぶりに帰省をして、日が暮れ始めた商店街を歩いていると、ふと聞こえてきたオルゴール。

それは、卒業制作で作ったオルゴールのことと、当時初恋で両片思いだった彼のことも思い出させた。

必然か偶然か、同じ曲を選んでいた彼。

そんなことを思い出していると、滅多に鳴らないスマホから、タイミングよくメッセージの通知が届き…。

木枯らしが運んでくる儚いラブストーリー。


〜登場人物〜

橋宮(はしみや) 杏菜(あんな)

丸矢(まるや) 陽汰(ようた)


「…ふぅ。」


実家の最寄り駅に着いて小さく伸びをする。

久しぶりの帰省で、地元の景色に懐かしさを覚えながら実家へと向かう。

人通りがまばらな商店街を歩いていると、ふとオルゴールの音が聴こえた。


「この曲…」


小学校の卒業制作でオルゴールを作る時も、即決したくらい好きな曲。

そういえばその頃好きだった彼も、必然か偶然か同じ曲を選んでいた。


お互いの家がすぐ近くで、笑顔が印象的だった彼、丸矢 陽汰くん。

4年生でより仲良くなり、友達から好きな人を聞かれると、お互いの名前を挙げて両片思いだった。

卒業まで気持ちは変わらなかったけれど、特に進展はなく、中学校が離れてからは、近所とはいえ会わなくなってしまって、気持ちは自然消滅…。

そんな淡い気持ちを思い出していたら、突然スマホの通知が鳴る。

ポケットから取り出すと送信主は母だった。


"杏菜、今日帰ってくるんでしょ?"

"夜ご飯いるの?"

"友達と食べてくるの?"

"どっち?"


圧のあるメッセージに、一旦画面を消して深呼吸をする。

その時、ヒューと風が吹き、目を閉じる。

そういえば今日は木枯らしが吹いているらしい。

風の冷たさに肩をすくめながら、角を曲がる。


「あの…!」


突然後ろから声を掛けられ振り向く。


「ICカード、落としましたよ!…って、はっしー?」


苗字が橋宮だから、はっしー。小学生の頃呼ばれていたあだ名に驚いて顔を上げると、あの彼が面影のある笑顔でICカードを差し出していた。


「陽汰…くん…?」

「あ〜!やっぱりはっしーだ!久しぶりだね!」


変わらない雰囲気に、心の奥底に仕舞っていた気持ちが疼き出す。


「家向かうの?キャリーケース持つよ。この上り坂大変だよね〜!」


彼に言われて先を見ると、ちょうど長い上り坂が続く所だった。


「いいよ。大丈夫。ありがとう。」


昔と変わらない優しい彼に、蓋をしていた気持ちが少しずつ顔を出し始める。それを誤魔化すかのように歩き始めようとしたら、引き止められた。


「俺…が、もっとはっしーと話したいんだ…!あとあの頃より力もついてるから任せて!」


そういって笑顔で強引に進んでいく彼に慌ててついて行く。

10年ぶりの叶うはずもない気持ちが蘇り、チクリと胸が傷んだ。


「タイトルは面白そう」で採用していただき、せっかくの機会なので投稿してみました。

登場人物の名前はもちろんフィクションです。

・小学校4年生頃から両片思いだったこと

・卒業制作のオルゴールで同じ曲だったこと

・家が近所だったこと

・彼の笑顔が印象的で、苗字のあだ名で呼ばれていたこと

は事実です…。

お2人の「通知はお母さんでは!?」も取り入れてみました(笑)

拙いところは大目に見ていただければと思います。

楽しんでいただければ幸いです!

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