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トートの精霊とパスワーキングで始める魂の錬金術探訪  作者: ごぼう星人のまさか


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<Episode.06 恋人> 父母からの卒業

「 じゃあ、有難う。明日またよろしくね 」


教会を出たあと、一旦現実世界へ帰ることにした。

トートタロットのシンクロニシティの凄さを思い知ることになったのは、ここからだった。


タイミングよく夫と息子の3人で出かける予定が入っていたのだが、帰り道、せっかく遠出をしたのだからと1箇所だけどこかへ寄り道しようという話になった。

私は地図を見ながらあれこれ考えていたが、結局「 何も考えていない人の直感 」に頼ってみようと思い、夫の提案する知名度のある神社へよってみることにした。


休日でも夕方だったからか割と人は空いていた。

実はその神社は私が幼い頃に、事業を営んでいた祖父の毎年の恒例行事として、家族皆で初詣に来ていた神社だった。


「 懐かしいなぁ。あの頃はいつも真夜中に来ていたから、今初めてこんな場所だったんだってわかったよ」


駐車場から境内までの参道のお店、境内から海まで続く参道の景色。


真っ暗で見えていなかったものが今になってこんな場所だったんだなぁと知ることになり、やはり何も考えていない人の直感は頼りになるものだと一人で納得する。


「 フクロウがいる......! 」

先に境内に入り、夫と長男が嬉しそうに格子で囲まれた木のそばで、中を覗き込んでいる。


格子の中では昔はここにいなかったはずのペアのフクロウが、澄ました顔でこちらを向いていた。

足はそれぞれに、紐で止まり木に括り付けられている。


「フクロウなんて、生で見るのは初めてだね」

嬉しそうに写真を撮っている2人の横で、私はこんにちは、と心の中で挨拶をした。

紐で繋がれているのは、なんだか不自由そうで不憫に思えた。


商売繁盛がメインのご利益の神社なだけに、おおよそ「不苦労」とかいう縁起担ぎで連れてこられたのかと邪推していると、元々ここで神の使いとして崇められていたフクロウを、のちに奉納されたと書いてある。

なんでもこの地には、山で道に迷った正直者がフクロウの声を頼りに金の玉を授かったという『モマ伝説』と呼ばれる言い伝えがあるとのことで、なんだそれはとケータイで調べてみる。


フクロウについて詳しい情報に触れてみると、古代エジプトの遺跡の中にも描かれていたようで、人も動物も全て横向きに描かれている中、唯一正面を向いて描かれた生き物なのだと知る。

その時代に使われていた象形文字の一種であるヒエログリフをアルファベット表記に翻訳すると、フクロウは ” M ” を表すのだそうだ。


「 私の「みず」という名前の音の中にも、フクロウがいたのね 」

昔から知恵の象徴と言われるフクロウを見ていると、メーガスから現実世界にまで宿題を用意されたような、トートの世界との繋がりを感じる。


懐かしい神社に行ったらフクロウがいた、と帰宅後久しぶりに、両親に連絡し、ひとしきり世間話に花を咲かせる。

2人と話していて、改めて自分の女性性だけでなく、男性性も自分の親を引き継いでいることに気がついた。


あのおばさんシンデレラのように、母は父親に言われるがままが当たり前で、弱々しく意見を言うくらいでメソメソしていた。

そしてあの物静かな青年は、心配性でヒステリックだった祖母を前にした「高学歴で気の利いた好青年」という父親のペルソナそっくりだったのだ。どんなにおかしな事態でも、我が家では誰も祖母に物申すことのできる存在はいなかった。優しすぎる祖父は、いつも祖母をイライラさせて怒鳴られていた。


「つまりは、私の中では男性性、父性というものがよくわからないんだ」


祖母の前で賢く優しい父親は、私たち子どもを大切にしてくれる聡明で優しい存在だったが、母がどんなに姑や小姑に意地悪をされても、一切助け舟を出さなかった。

まるであの頑丈な城壁に囲まれた要塞の中で、静かに自分に与えられた職務だけをきちんとこなす、あの青年のように。


ここに夫婦がいるのだから、明日のシンデレラと青年の結婚式は大丈夫そうだ。

大好きな両親だが、人間だもの。完璧な存在などいないのは当たり前だが、過去の環境の中で頑張っていた幼い自分を、今の私がしっかり認めてあげよう。明日はあくまで私の内面世界の結婚式なのだから、これから私が彼らを幸せに、成長させてあげれば良い。





翌日フールチャイルド、メーガスを伴って、礼拝堂を訪れた。


そこでは白のクイーンと黒のキングが、まさに結婚式を始めるところだった。

ふたりのそばに、あのシンデレラおばさんと青年がいる。


私たちも着席し、いよいよ、というタイミング。


突然おばさんの裾から、水色のドレスを着た小さな女の子が登場した。

今までどこに隠れていたのかという、何かのサプライズのようでもあった。


「え......?」


思ってもない流れに、皆が静かに釘付けになった。可愛らしい花嫁に、皆の顔が綻ぶ。

私は何が起きたのか理解できず、フールチャイルドたちの顔を見た。


女の子はおばさんに、ピッタリとくっついている。

女の子の頭を我が子を諭すように撫で、抱きしめたシンデレラは、最後に青年に向かって深々と長くお辞儀をして、そのまま姿を消した。


「どういうこと......?」

隣のフールチャイルドの顔を見ると、ほーう、と面白がりながら疑問に答えてくれた。


「君の中にあった二面性の一つが消えたんだ。あの疲れたシンデレラは、人前に殆ど姿を現すことの出来なかったあの子をずっと守っていたようだよ」


「えぇ、ずっと二人いたってこと? 最初に自分で幼いと感じていた女性性は、気のせいではなかったのね。自分でずっと、取り繕っていたのね......」


突然幼い花嫁に変わり、どちらにしてもチグハグなカップルの結婚式となった。

無事式が進み、最後に神父が2人に向かって、というより青年に向かって、優しい笑みと共に語り始めた。


「幼いパートナーの話をちゃんと聞くのです。何事も一人で勝手に決めないこと。彼女の声はとても小さいが、君が優しく共に進めば、彼女はみるみる成熟した美しい女性になる。くれぐれも彼女を大切に、一緒に進みなさい。

そして最後に。小さな花嫁、あなたは誠実な彼に、いつも感謝を忘れずにいなさい」


青年はペコリと神父に挨拶をした。その青年を見て、幼い花嫁もお辞儀をした。


「 私が人の顔色を見るのをやめれば、だんだんと釣り合ったカップルになるのかなぁ 」


「 そうだね。それと何をするにも自分がどう「反応」しているのかを、きちんと観察することさ。頭で「こうあるべき」を考えるのではなく、本心を身体に訊くってことさ 」

メーガスが言った。


「 うん、政略結婚みたいじゃ可哀想だし、あの青年も頼りないから、幾つになっても自分に経験をプレゼントして、1日でも若いうちに、ベストカップルにする 」


「 あとは、旦那にわかりやすく伝えることだな。

なんだか世話焼くのも下手そうなあの男を見ていると、チビが何言ってるのかわかんねーって顔するか、おばさんシンデレラの男バージョンみたくなりそうだ。くたびれた顔のな 」


「 え、、そっか、そのまま私の男性性は、パートナーに反映されるのか。今すでに、そんな感じかも...... 」


「 ようやく旦那も報われるな 」


当たり前で気づけてないことは、他にもたくさんありそうだ。

目の前の、自分の鏡となって教えてくれている存在の全てに感謝。


現実と意識は、本当にどこまでも繋がっている。


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