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トートの精霊とパスワーキングで始める魂の錬金術探訪  作者: ごぼう星人のまさか


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Episode. 02 女神官 余白と信じる強さ



3人は大きな神殿の中を、奥へと進んでいた。


蟻にでもなったように感じるほど、大きな柱と真っ白な空間。


写真でしか見たことのなかったパルテノン神殿も、こんなに巨大なのだろうか。


「 女神イシスって、この世界ではどういう方ですか? 」


「 まあわかりやすく言えば、人間によりわかりやすく情報やインスピレーションを与える存在だ。

私は先ほど情報を送っても受け取れる人間が少ないと言ったが、彼女は私やフールチャイルドよりも、もっと直接的に個人の意識に語りかけることができる。直感という形でな。


『 何となくこうしたい 』、そんなふうに感じることの多くが女神イシスのおかげさ。最適な状況へと導いてくれている。自分を満たして安心感に包まれている人間ほど、彼女の言葉をまっすぐに受け取り、意味のある形に変換することができる。」


頭のいい人の話は難しいことが多いが、叡智そのもののようなメーガスの説明は、具体的でわかりやすい。


「 フクチーぬが暇とか余白とか言われていたのも関係ありますか? 」


「 そうだね。暇でも怒りや不安、考え事でいっぱいだと、彼女の声は正しく受け取れなくなる。余白、余裕、隙間というのが正解だろう。」


フールチャイルドが言うには暇とはただの時間的意味で、余白というのは心のゆとりがある状態のことを指すらしい。


「 君の住んでいる国ではそういう文化があるだろう?派手な飾りが一切ない狭い部屋で、ささやかな花を飾り、静かに丁寧に、茶でもてなし余白を楽しむ習わしが 」


「 茶の湯のことですね 」


「 私たちのよく知る西の地域では、そういった「余白」とは良くない物、無駄なものとしか認識されていなかった。君のいる国特有の素晴らしい文化だ 」


話しを聞いているうちに、開けた光の差す空間へとたどり着いた。


交差する光の中よく見ると、前方に椅子に座った大きな存在がいるのだが、うすいヴェールがかかっていて誰なのかよく見えない。


何かを受け取ろうとしているのか、発しているのか、両手を天へと掲げ、膝の上に弓か弦のようなものを抱えている。


空間いっぱいに植物や果物、ラクダ、結晶……さらにはよく分からない渦巻きまで。さまざまな大地の実りが豊かに混在している。渦巻きは小さな銀河系のように見えた。


「 さあ、女神イシスだ。質問してごらん。 」


「 え!えっと……。直感力を鍛えるにはどうしたらいいですか?」


ヴェールの向こうから、さざ波のように優しく脳裏に直接語りかけてくる。


...... 食べ物を見直しなさい 、私にはそう聞こえた。どきり。

甘いものが大好きな私。実はもう10年近く、そのアドバイスを受け取っている。


メーガスがクスッと笑いながらそれに付け加えた。

「 私とおんなじ事を言っているよ。

ちなみにもう随分前から、君がそれを知っていて直そうとしないのもずっと見てきた。


わかってはいるだろうが、これ以上の先延ばしはお勧めしない。

地球と言うステージは、行動ありきだからね 」




わざわざトートタロットの世界に来て、メーガスからも、女神イシスからも得られたアドバイスも、食べるという生活習慣について。


「 恥ずかしい。だらしなさがバレバレですね 」


「天啓というか、何か高尚な言葉が降りてくると期待していたんだろう。

本当に「お告げ」を受け取る人もいるのはいるが、

多くの人の人生において、雷が落ちるようなお告げなどはほぼないだろう。


日常のささやかな感覚の違いに気づけるか。

だから高次元の存在の声ほど、小さくて繊細だから余白や「間」が大切なんだ。


そのささやかな気づきの積み重ねで変えていく人の人生の土台は、とっても盤石だと想像がつくだろう。

何が起きても最後まで自分を信じてやり抜く強さは、女神イシスから学ぶといい 」


メーガスのアドバイスに、イシスの古代エジプトの神話を思い出した。


夫であるエジプトの王オシリスが弟セトに殺されバラバラにされた遺体を、イシスは諦めることなく探し拾い集めて復活させた。その際男根だけは見つからなかったが、息子ホルスを身ごもり陰に日向に力を尽くし、弟王から王権を奪還する話だ。

イシスがホルスを抱く姿は、のちに西洋世界で幼いキリストを抱く聖母マリアの姿として転用されていく。



「 はい、そうします。『 自分を信じ続ける 』の内容が乱れた食生活の改善なんて、あまりにお恥ずかしい話ですけどね。それにしても私には、意思の強さが足りないようです。何年経っても食生活を変えられていないなんて...... 」


あぁ、情けない。


「 これから女帝に会いにいく。君の行動の癖について、納得のいく答えが得られるはずだよ 」


「 女帝 」という響きに緊張感を覚えつつ、女神イシスにお礼を伝えて、女帝の元へと向かうことにした。


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