Eposode.11 欲望 モグラの引き算
これまでのパスワーキングの旅で、自分の内側はあちこち不調和を起こして課題が多いことはわかった。
「 結局この現状は、自分がどうなりたいのかを放置してきたってことよね。表面的にいい人ぶってこれなら、自分が整って流れが良くなった方が、もっと周りも幸せにできる気がしてきた。戦車のゴールももう少し具体的に設定できそうな気がする 」
「 運命の輪を廻すためにも、自分の望みは包み隠さずちゃんと把握しておきましょう 」
メーガスが先生のように言った瞬間、フールチャイルドと共に、この説得力の塊を見た。
獅子にまたがる女性。
左手で手綱を握り、右手で何かを掴み取ろうとしている。
なんだか新しいものを掴み取ろうとしているその風景を見ていると、純粋な欲望渦巻く金色の彼女たちの色の世界にどっぷりと染まり、自分の中で何か思考の整理のようなものが始まった。
----私はどうなりたいのかなんて、あまり深く考えたことがなかった。
正直を言うと、考えても答えが出なかった。ただ自分の心が楽なように、人の邪魔にならないように、そしてなるべく選択肢が残るかどうかで選んできた。
「 ......美しいものが好き。自分の居場所や持ち物を、自分の好きなもので囲みたい。なるべく自然を感じる物と空間で、選りすぐりのものだけでいい。なるべく物を増やさず、最小限の良い物と大切に付き合っていきたい。自分のことも、女性に生まれ持ったものを楽しみ、自分にあった美容やオシャレを楽しみたい。真理や法則など、物事の背景にあるストーリーを知りたい。
つまりは余計なもののない、それぞれのピュアな美しさを大事にしたい 」
無意識に声に出しながら整理していた。
「 おお、いいじゃない 」
フールチャイルドが言った。
「 ものが多いと、頭がゴチャゴチャしやすくて 」
「 そりゃあそうだ。視界に情報は少ない方が勘も働きやすくなりますよ。今すぐに少しずつ叶えられそうな欲望で良かったじゃない 」
メーガスに言われて、ここを去ったら早速取り組めることを考えて、ワクワクしてきた。
実は面倒臭いと言う人が多い掃除も、私自身はあまり苦に感じたことがなかった。こういった欲望に繋がっていたからなのだとわかると、工夫すれば小さな満足度は増える。
「 私の欲望は地味すぎる分、日常から幸せにできることが多いとわかってラッキーかも。改めて知ることができて良かった。ありがとう! 」
「 まあモグラのように地味に生きてきた人間の欲望だから、まだ本領発揮してないかもな。成長すれば欲も変わる。また来るといい 」
豪快なフールチャイルドからすると、私の欲望などなんと地味なことだろう。
まあいい。私は引き算が好きなのだ。そして引き算されても残っていくストーリーが、大好きなのだ。
「 うん、そうする 」
みんなの隠れた欲望を、聞き出して回ろうかしら。




