【phase9】やっと会えた
死んだような血色になったユーリさまが、ベッドに倒れ伏している。
ミーリャ「これは……昨日の、毒?」
サイドテーブルには、昨日の『毒の小瓶』が置かれている。小瓶を満たしていた赤い液体は、ほとんど空っぽになっていた。
ミーリャ「……なんで、」
なんでユーリさまが、毒を飲んだの?
なんでユーリさまの部屋に、アポロさまがいるの?
なんで。なんで……なんでなんで……………
アポロ「落ち着け、ミーリャ。これは――」
わたしの肩に触れてきたアポロ殿下の手を払い、わたしは彼に掴みかかった。
ミーリャ「どういうことですか!! まさか、あなたがユーリさまに毒を飲ませたの!?」
アポロ「いや、それは……」
わたしはアポロ殿下を突き飛ばし、ユーリさまのベッドに縋りついた。
ミーリャ「ユーリさま、ユーリさま!」
ユーリさまは、とても血色が悪いけど――生きていた。呼吸に合わせて胸がかすかに上下している。
ミーリャ「生きてる!! お医者様を呼ばなきゃ!」
アポロ「ダメだ。余計なことをするな、ミーリャ」
ミーリャ「じゃましないで! 弟を殺すつもりなの!? あなたはやっぱり人殺し――」
わたしの声は、阻まれた。
ベッドから身を起こしたユーリさまが、後ろから抱きしめてきたから。
ユリウス「――違うよ……ミーリャ。兄上は、僕を……見守っていただけだ」
弱々しい力で、ユーリさまはわたしを抱きしめていた。
ミーリャ「どういうことですか!? どうして毒をユーリさまが……!?」
ふり返ったわたしに、ユーリさまはいきなり唇を重ねてきた。
ミーリャ「――――?」
体が熱い。
血が、骨が熱い。何が起きているの?
…………ユーリさまとアポロ殿下が、そろって私を見つめている。
驚いた顔のアポロ殿下と。とても嬉しそうなユーリさま。
ユリウス「ほらね。やっぱり君が、僕のミーリャだったんだ」
―――どういうこと?
アポロ「……ほら、ミーリャ。鏡で自分を見るといい」
アポロ殿下が、渡してくれた手鏡で、自分を写してみた。
ミーリャ(成人)「え? 私……?」
私の姿は、18歳くらいの大人になっていた。
ミーリャ(成人)「……どういうこと?」
ユリウス「君の呪いを解いたんだ。君に憑依していた悪魔を選択的に殺す『毒』を、口移しで君に与えた。この毒は、こういう投与法でなければ効かないそうだ」
ユリウス「今の姿が、君の本当の姿だよ」
ミーリャ(成人)「……え?」
ユリウス「やっと会えた。白葉月の森の魔女――ミーリャ。僕の愛しい人」








