【phase7】わたしのせいで
@アポロの部屋
アポロ「ユリウスの負傷は、君が原因だ」
ミーリャ「わたしが……原因?」
アポロ「ユリウスは本日、隣国の大使との面談に出向いていたわけだが――帰路で悪漢の襲撃を受けたという。黒幕は司教だ」
ミーリャ「――司教さまが?」
アポロ「2ケ月前にユリウスが強引に君を奪ったせいで、王家と教会との関係に亀裂が入っている。もはや修復は不可能だ――君を、教会に返す以外の方法では、な」
ミーリャ(わたしが毎日、ここで楽しく暮らしているせいで……王家と教会に争いが?)
青ざめる私を憐れむような眼で見下ろしながら、アポロ殿下は静かに言った。
アポロ「すべての責任は、勝手気ままにふるまい続けるユリウスにある。……だが、身勝手を承知で君に頼もう。どうか、司教のもとに戻ってもらいたい」
目の前が。真っ白になってしまった。
ミーリャ「わたしが戻れば…………すべて、元通りになりますか?」
アポロ「最善を尽くそう」
ミーリャ「ユーリさまを、責めないでくれますか?」
アポロ「誓おう。君のような幼い子どもに苦痛を強いるのだから……その程度の約束はしてやる」
あぁ。
良かった。
――わたしが前の生活に戻れば。全部解決するんだ。
ミーリャ「わかりました。それならわたしが、…………」
廊下に、あわただしい靴音が響いた。
宰相「なりません、ユリウス殿下――!」
ばん、という荒々しい音とともに、ユーリさまがドアを開けて部屋に入ってきた。
ユリウス「兄上! 僕のミーリャに、何を吹き込んでいたのですか!?」
頭と腕に包帯を巻いたユーリさまは、アポロ殿下に掴みかかった。
ミーリャ「ユーリさま!?」
宰相「ユリウス殿下、おやめください!」
ユリウス「兄上、勝手に事を進めないでください! 僕はようやく、すべての準備を整えたんだ。 兄上と言えど、邪魔をするなら容赦しません!」
アポロ「ユリウス……いつもの余裕ぶった態度とは、ずいぶんと違うじゃあないか。『準備』とは? 何を企んでいる?」
ユリウス「兄上にはすべて説明します」
アポロ「聞かせてもらおう」
少し冷静さを取り戻した様子で、ユーリさまとアポロ殿下は向き合った。
宰相「……はぁ。仕方ありませんね。それでは、ミーリャさまはお部屋にお戻りください」
ミーリャ「え?」
宰相「お部屋まで付き添いますので、さぁ」
わたしは宰相のダリオさまに導かれて、自分の部屋まで戻された。








