【phase6】非常事態
@真夜中の城
1か月。2か月。穏やかな日々が過ぎていった。
だけれど、その夜は。
宰相「すぐに侍医を呼べ!」
真夜中。
自室でひとり眠っていた私は、部屋の外が騒々しくなったのに気づいて目を覚ました。
宰相「回復魔術士も召集しろ! ユリウス殿下が手傷を負っておられる!」
ミーリャ(……ユーリさまが!?)
部屋から飛び出したわたしが見たのは、従者たちに運ばれるユーリさまの姿だった。遠目ではっきりしないけれど、頭や腕から血を流しているようだった。
ミーリャ(どうしてユーリさまがお怪我を!?)
ミーリャ(そうだ……ポーションを、ポーションを作らなきゃ!)
混乱しながらも、私は自分のすべきことを見失わなかった。
汲み置きの飲み水を前に、心を鎮めて涙を流した。
目の前の水が変異して、青く輝くポーションになる。
ミーリャ(呪われ聖女が作ったポーションは、ふつうの聖職者の作ったものより数十倍の効果があるといわれているもの……きっとお役に立てるはずだわ!)
わたしは作りたてのポーションを抱えて、ユーリさまの部屋に押しかけた。
@ユリウスの寝室
ユリウス「ミーリャ。悪いが、そのポーションは受けとれない」
部屋で治療を受けていたユーリさまは、わたしを拒んだ。傷は浅かったようで、命に別状はなさそうだけれど……
ミーリャ「どうして受け取ってくれないんですか!?」
ユリウス「いらない。君を犠牲にして生成されたポーションなんて、絶対に頼りたくない」
ミーリャ「そんな……わたし、犠牲になんかなってません。なぜいらないんですか!?」
いくら聞いても、ユーリさまは答えてくれなかった。ベッドに身を鎮め、気だるそうな顔で治療を受けている。
宰相「ミーリャさま、治療に差し支えます。どうか外へ」
宰相のダリオさまに、部屋から追い出されてしまった。
ミーリャ(……せっかく役に立てると思ったのに、どうしてわたしを拒むの? そもそも、どうしてユーリさまが怪我を?)
分からないことだらけで、涙がこぼれてきた。
そのとき――
アポロ「そのポーション、私が貰い受けようか」
ミーリャ「……アポロ殿下?」
わたしの前にはユーリさまの双子の兄、アポロ殿下が立っていた。
アポロ「ミーリャと言ったな。君に話がある、私の部屋に来い」








