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【ボイコネ専用シナリオ】呪われ聖女は気まぐれ王子に教育される  作者: 越智屋ノマ@夜逃げ聖女【重版】1巻2巻


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10/11

【phase10】ほんとうのこと

ユリウス「ミーリャ。君は、ルカールサという名の悪魔に取り憑かれていたんだ」


ミーリャ(成人)「ルカールサ? あの、カルカト地方の伝承にある『水の悪魔』……?」


ユリウス「そう。あの悪魔に取り憑かれると子供の姿になってしまう代わりに、悪魔の体液に由来する、強力なポーションを作り出せるようになるそうだ。古来の伝承だったが……真実らしい」


ユリウス「司教は過去何十年の間、女性に悪魔を憑依させて人為的に『呪われ聖女』を作り続けていたんだ。『呪われ聖女』を塔に閉じ込め、ポーションを生成させていた――呪われ聖女が作ったポーションは、高値で取引されるからね」


ユリウス「幽閉した呪われ聖女が死んだら、悪魔を回収して次の女性に憑依させる。……そんなことを、繰り返していたらしい。そして現在の呪われ聖女がミーリャ……君だったんだ」


痛ましい表情で、ユーリさまは私の頬に触れながら語った。


ユリウス「僕は何年もの間、失踪したミーリャの行方を探し続けていた。……そして君が『呪われ聖女』にされて幽閉されているのだと知ったのは――ほんの数ヶ月前。居ても立っても居られなくなり、奪うような形で連れてきてしまった」


疲れ切った様子で、ユーリさまはベッドに横たわった。

悪魔にしか効かない毒らしいけれど……やはり、人間の体にも負担になってしまうらしい。


アポロ「呪われ聖女を作り出すために、人為的に悪魔を憑依させていたとはな。ユリウスの働きがなければ、司教の悪事を暴くことはできなかっただろう」


アポロ殿下は腕を組み、険しい表情をしていた。


アポロ「昨日、ユリウスにすべてを打ち明けられて……驚いたよ。司教の卑しい行いにも、幼い『呪われ聖女』が本当は成人女性だったことにも。私はユリウスとともに、中央教会の教皇猊下にこの件を直訴する。だからもう、心配はいらない」


アポロ殿下が私に笑いかけてきた。


ミーリャ(成人)「……アポロ殿下はどうしてさっき、ユーリさまのふりをして、私を足止めしようとしたんですか?」


アポロ「時間稼ぎのつもりだった。毒を飲んだユーリが倒れている姿なんて、君に見せたら面倒だろう?」


アポロ殿下がくすくすと笑っている。柔らかい表情になると、この人はユーリさまに少し似ている。


アポロ「とっさに三文芝居をしてしまったが……、一瞬で見抜かれてしまったな」

ミーリャ(成人)「少し、意外です。おふたりは仲が悪いんだと思っていたので……」


アポロ「弟の真意が聞けたので、わだかまりが溶けた。いつも無責任で気まぐれだったユリウスのすべての振る舞いは、君を救うことが目的だったのだと知って……嬉しかったんだ。兄として、支援したいと思うのは当然だろう?」


アポロ「それで、どうなんだ? 弟のことを、君はどう思う?」


ミーリャ(成人)「私……私は、」


いきなり起こった自分の変化に戸惑うばかりで。

何をどう受け止めたら良いのか、わからない。


ミーリャ(成人)「私、昔の記憶が……曖昧なんです」

アポロ「ゆっくり思い出せばいい。弟は、何年でも君を待つだろうからな」


私は頭痛に耐えながら、昔のことを必死に思い出そうとした。

ユーリさまのことを、たくさん思い出したかったから。



ミーリャ(成人) (――そうだ)

ミーリャ(成人) (何年も前、)

ミーリャ(成人) (私が暮らしていた白葉月の森に。1人の男の子が迷い込んできた……)


ミーリャ(成人) (オオカミに襲われていたその子を、私が助けた。とても可愛らしくて、心のきれいな男の子。心に孤独を抱えながら、一生懸命耐えていた子……)


その子は深青色の、まっすぐな目で私を見つめていた。そう……


ミーリャ(成人) (目の前のユーリさまと、同じまっすぐな目をしていたわ)


私は震える手で、ユーリさまの頬に触れてみた。

ユーリさまの目が、私だけを見つめている。


ミーリャ(成人)「……大きくなりましたね、ユーリ。わたしのこと、覚えていてくれたんですか?」


ユリウス「一日だって忘れたことはなかったよ、ミーリャ。僕の妻になってくれる?」

ミーリャ(成人)「――喜んで」


私たちは、もう一度口づけを交わした。


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