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人を呪わば穴二つ

作者: 葉沢敬一

https://tinyurl.com/2rcm9s2k

に収録。Kindle Unlimitedで発売中

 ざっと夕立があった後、夜になって止み、星が見えている。コロナ前だったら、それを見ながらコンビニ寄ってビールでも買って帰ったのにと思う。今はフルリモートの在宅勤務。私のようなインフラ系でもクラウドとなり、家のパソコンでもサーバー立てたり止めたりできるようになった。

 まあ、私は地方在住なので、東京の仕事目当てにクラウドの資格を取ったのだけれどね。それが疫病蔓延で外出自粛となり、リモートの波が押し寄せたので目論見通り在宅となったのだ。幸運なことに。

 在宅には良いところも多い。通勤時間が0になったので、ゆっくり寝てられるし、私は社会不安症の気があるので、気が楽だ。アメリカの会社では机毎にパーティションで切られ、昼寝を推奨し、適度な休憩がいいと言っているのに、なぜか日本の会社はそうしない。効率は20%以上上がるとか統計で出てるのになぜか頑なにしない。そして、無駄な会議と残業。

 まるで旧日本軍のような根性論が通用する日本式仕事論がここ30年であっさり欧米に抜かれてしまったのは当たり前の話と言えよう。

 ただ在宅にも欠点がある。孤独だと言うことだ。

 軽口を言える同僚もいなければ、ぼうっと見つめられる、可愛い異性もいない。コミュニケーション能力が低下して、ネット会議でも「あの、その、ええと」が多くなってしまう。キーボード使っていると漢字忘れるようなもんである。

 それは私だけでは無いようでチャットツールに無駄口書き込む奴や、マッチングアプリを始めたり、SNSを常時立ち上げっぱなしにしたりしている奴もいる。会社もSNSは見るのは構いませんとの姿勢で理解がある。

 人間は社会的動物だと言うことを忘れていた。

 結界という言葉をご存じの人も多いと思うが、インターネットは境界の穴である。その穴を通して遭遇した話をしようと思う。

 呪術は古い迷信だと思われているが、インターネットを使った呪いも最近は存在している。単に、手が長く伸びただけだ。ハッキングも広義の呪いの一つに数えられる。ランサムウェアと言って、ターゲットの会社のデーターを暗号化してしまい、人質に取ったり、個人的な物ではSNSで個人情報特定して公開するのもそうだ。

 それとは別に旧来の呪術とのハイブリッドな呪いもある。ターゲットは名前を隠していても、必ずシンボルを使う。ハンドルネームとかだ。それを対象に呪いを掛ける。

 ある日、SNSにどうみてもおかしいと思う発言を繰り返す人物が居て毎回炎上するのだが、私も堪忍袋の緒が切れてしまった。怒りが抑えられない。明らかに他人を傷つける発言を繰り返し、炎上を狙っている愉快犯。

 私は個人用パソコンでサブアカウントを作り、ある特殊な呪術的な仕掛けを作って返信を書いた。依り代を作り、パソコンの脇に置く。問題はこの返信を見るかどうかだ。毎回炎上するコメントなので、大量に来るはずの通知を切っている可能性が強い。普通の人は何事も無いような作りにしているので、うっかり見てもターゲット以外には無効になっている。

 旧来の呪術が手応えとかないように、インターネットの呪術も手応えがない。それでも、何回も炎上毎に繰り返し、ある日、脇に置いておいた依り代が倒れているのを見つけて「掛かった」と確信した。

 夕方のテレビでその人物が逮捕されたとの報道を見た。縁無き通行人をぶん殴った傷害罪。それを別の人がたまたま録画していて、SNSにアップ。逮捕されたとのこと。

 やったと、思った直後に私のSNSに知らない人からダイレクトメッセージで通知が来た。

「あなたがなにやったか気づいてますよ」

 呪いは気づかれると跳ね返ってくる。人を呪わば穴二つ……

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