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VS巧

今回はバスケばっかします。

想像力とノリをMAXで見てください!

――――――――3人称sidein――――――――

「セルフアリウープ(自らシュートし外した球をそのままダンクすること)か!?」

「えへへ・・・どうだい?」

「正直、見誤っていた。すまない。」


そう言うと更に眼光を強めた巧。ボールを受け取り3pラインの上に立ち獰猛な笑みを浮かべた。

それに応じるように満面の笑みを浮かべるアダム。しかしその眼は強い意志を持っていた。


「ではこちらも行かせてもらう。」

「勿論!」


そう言うと巧はドライブ(ドリブルで相手を抜くこと)をしようと体を前に出す。

それに応じて体を少し低めるアダム。

瞬間、バックステップをする巧。それに対応できないアダムは当然のごとく置いて行かれる。


「なに!?」(遠い!なんで!?)

「これもまた戦術だ。」


そう言うやいなや、シュートが放たれる。アダムは反応し手を伸ばすが、届かない。ニヤッとした顔を浮かべる巧と対照的にしまったという顔を浮かべるアダム。


「惜しい、あと30センチだ。」


パスっと言う音を立てて揺れるネット。そして巧の足は・・・3pラインより外だった。


「PGが点を取らないとでも?点を取るのはSGやフォワードだけの仕事じゃないんだよ。」


そう言われるアダムは悔しさよりも先に喜びを感じた。そして輝いた目を浮かべていた。


「そんなこと、出来るの、すごい!でも・・・俺も、負けない!」


ボールを回収し3pのラインから外に出ると、すぐに切り返しゴールへと向かう。

勿論巧もそれに応じる。右、左、右とアダムが揺さぶるも最小限の動きでドリブルを止める。

先程のようなアリウープは入らないとアダムは本能で感じているが故にドリブルで抜こうとしていた。


「これぐらい抜いてみろ!」

「隙、無い!なら!隙を作る!」


体を崩し四つん這いのような姿勢になると共にボールを右手で押しながら急加速し、そのまま高速で斜め45度に移動しボールを床に叩きつけて直角に方向転換し、再び急加速することで巧を抜く。


「なにぃ!?」(目の前から消えたと思ったら下にいた!?気づいたらすでにゴール下に!?速すぎる!)

「これで・・・どうだぁ!」


ゴール下に到達するや否やボールを一層強く床に叩きつける、それと同時に自身も体制を整え跳ね上がる。そしてボールを掴むと再びアリウープを決める。


「まだ!負けてない!」

「そう来なくてはな・・・」


一層楽しそうに笑う二人。そして巧はボールを受け取ると、先ほどと同じようにフェイントをかけた。勿論のことそれに対処するアダム。


「同じ手、通じない!」(なぜ?もしかして・・・)

「知っていたさ、それぐらい。」(だからこそ、ここは・・・)

「ロールターンか!」

「その通り!だがこれはどうかな?」


何が来るか分からなくても対処しようと一瞬深く守り、見事に看破したアダム。

それを見てから、ドリブルの種類を変える巧。


「ボールが消えた!?違う、音はする!」

「通るぞ?止めて見せろ!」


右手でボールをドリブルしながらのロールターンの途中で敢えて下にボールをつき、逆の手でそれをおす。そして瞬間で前を向き、アダムに相対する。その時、アダムから見ると、ボールの音はしてもボール自体は体で隠れていた。

そして右側に足を少し踏み込むと同時に素早く右手を後ろに回して、左側にボールを出す。

アダムは足で反応してしまい巧の右側に出る。普段なら正解だが、だからこそ遅れる。その間に右足で地を蹴り左に進む巧。


「なにぃ!」(ビハインドバックドリブルの合わせ技か!)

「言っただろう?通るぞ、となぁ!」

「まだだ!」


地を強く踏み込むアダム。瞬間で巧の前に割り込む。だが、体は少し崩れておりペイントエリア内に二人とも入っている。

それを見て巧は素早くシュートの姿勢へと変え跳躍する。アダムも辛うじて反応し跳び上がるがそのシュートはあまりにも遠かった。なぜならば・・・


「惜しいな。もう15センチだ。肩幅を抜いて、な。」

「フックシュートか!」


それと同時にブザーが鳴り響く。

それに気づいた時には、ネットは揺れていた。

巧は余裕を携えた笑みを浮かべ、アダムは悔しそうながらも嬉しそうにした。


「俺の1点勝ちだ。アダム君。いい勝負だったな。」

「ありがとう。巧!楽しかった!。これからアダムって呼んで。巧!」

「ああこちらこそよろしくな。アダム。」


そう言って握手を交わす二人に監督が近づいてきた。


「アダム君。君のランクを先に言い渡そう。個人ランクはAだ。即戦力レベルという意味だ。1軍の方に合流してもらう予定だが、いいな?まぁ、研一さんから話は聞いていたがな。」

「っっはい!」(父さんが言っていたのか)

「これでまたできるな。」

「うん!良かった!」


それを快く思わないものも多く居た。だが、多くはそのプレーを見ていた。だからこそ、納得は出来なかったが理解はした。本当に実力主義だからこそ。


「では次の対戦をしてくれ。」


そう監督が告げると、アダムらその前にやっていたメンバーがコート脇に移り、別のメンバーが入った。


――――――――3人称sideout――――――――アダムsidein――――――――

俺と同じく巧とやろうとしていた後輩が話しかけてきた。

「先輩。」

「ん?どうしたの?」

「凄かったッス!すいません!生意気な口聞いちゃって!」

「いや、そんなことない。普通、パっと出に、そんなに敬意、払えない。出来る人、ほとんど居ない、でしょ?。」

「すいません。気を付けるッス。それにしても、あの最後のダンク・・・いやアリウープですか?あれはいったい?」

「俺も、よく分からない。けど、まぁ、体が勝手に・・・違う。本能で動いた、感じ?どうしても巧を抜きたい、その思い、体を動かした。」

「それが、あの動きに?」


ああ、この喋りにくさ、もどかしい・・・言葉が多すぎるんだよ日本語!

でも、正直に言うと、あの動きは・・・いわば野生。本能的なもので行ったのだ。だからこそ、自然だった。

唯ゴールをもぎ取りたい。点を取りたい。その執念と、普段から行っていたダンク。そして人が進化する前は獣であったが故に、四つん這いとなったのであろう。


「まぁ、普段の練習、そのおかげ。多分?あと、父さんのおかげ!」

「そう言えば、若干舌ったらず?なんっスか?」

「2年前、アメリカ住み、ごめんね。言ってなかった。」

「え?それでそんだけ出来るっスか!?」

「えへへ・・・」

「す・・・すっげー!!!あ、名前。聞いてませんでしたね。俺、栗原正です!先輩、何て名前なんですか!?」

「俺の名前?俺、アダム。東出アダム、だよ。」

「東出ってもしかして2年前のノーベル賞の??」

「そう!あれ!俺の父さん!俺、白亜紀の化石から復元された。だから、アダム(原初の人間)。父さんくれた名前。聖書の一説から、取ったって。」

「なら、あの動きは、オリジンダンクッスね!!」

「オリジンダンク?」

「そッス、オリジン(原初の)ダンク。ピッタリじゃないですか?まんまダーウィンのなんちゃら論じゃないッスか!」

「それ、言うなら、進化論。でも、そうだね・・・それ貰ってもいい?」

「勿論ッス!」

「ありがとう!」

「あ。次、正君、じゃない?」


そう言って指さすとブザーの音が鳴り、ちょうど入れ替えの時になる。


「ホントだ!ありがとッス!ほんじゃ・・・巧先輩!胸を借り入れるッス!」

「それを言うなら胸を借りるだろ?」

「頑張れ!正君!」


そう精一杯声援を飛ばした。


「ウッス!」

「なんだ?そんなにアダムと仲良くなったのか。」

「あのプレー見て尊敬しない人は居ないッス。」

「ふっ。なるほどな。ではいくぞ?」

「お願いします!」


俺と巧のプレーに焚きつけられたのか、その正の眼には巧に引けを取らないぐらいの強さがあった。

そして二人は激しく火花を散らし、正VS巧が始まった。


――――――――アダムsideout――――――――3人称sidein――――――――


「先行はあげよう。」

「ありがたく頂くッス。」


正はボールを受け取ると、スッとドリブルの形に入った。

ブザーが鳴るのと同時に体を素早く左右に動かした。

しかし、それはフェイントと呼ぶにはあまりにも小さく、ドリブルと言うにはあまりにも大きい揺れだった。


「行くッス!」

「来い!」


瞬間正の姿は影しか見えなくなる。しかし、巧は見えない正に()()()()


「これは知っている!俺は見たぞ!」

「そうッス!ここまではアダム先輩のオマージュ、ここからがオリジナルッス!」


そう言うと正は急に巧の横に現れる。しかしそれは奇しくも巧のスティール圏内。手を伸ばす巧をよそに正はシュートフォームに入った。


「それは悪手だぞ!」

「それはこっちのセリフッス!秘技コピペシュート!」


巧の手が正に手が届くと思った瞬間、正は真横にそのままの体勢で移動した。言うなればコピー&ペーストしたかのように体が動いたのだ。しかし、ネーミングが悪かった。


「何ぃ!?」(これはサイドステップシュート!?それにしても体が動いてなさすぎる。この体幹は・・・!)


そのままシュートはゴールへと放たれ、リングへと吸い込まれた。


「俺だってだてに3年もバスケやってないッス!」

「なるほど・・・な。面白くなってきた・・・!」

「なっっ!?」


グッと拳を突き上げる正。巧はボールを拾いながらそれを見据えて獰猛に笑う。思わず正はひるんでしまう。3pラインをまたいだ瞬間に巧の気配が捕食者のそれになった。


「今度は俺の番だな。」

「どこからでも・・危なっ!?」(当たる!?)

「あたりに来るぐらいの度胸を見せろ!これで・・・お返しだ!」

「しまった!」


真正面から相手に向かってボールを突き出すように左腕を伸ばし、それを残したまま斜めに走る巧。ボールに反応してしまい、とっさにぶつけられると、顔を守る正。それを見て、巧はかくんと手首を内側に返すことで、床にボールを当て右手の先に飛ばす。

当然正の反応は遅れ、悠々とレイアップにて得点されてしまう。


「ちくしょう!そんなのってありッスか!ブラインドフェイクじゃないっすか!」

「なんだその名前は?いい名前だから貰っておくとしよう。だが、まぁこれはファウルじゃない、なによりうちの他のPGならスティールしに来てたぞ?」

「すぐに取り返してやるッス!」

「ふっ。その意気だ!」


一瞬呆然となるも、すぐに闘気を取り戻す正。ボールを投げ渡されたと同時にドリブルを始める。


「まだまだ、これからッス!」

「なら、見せてみろ!」

「おらああああ!」(俺は背が小さい。だが、パワーは負ける気はない!ここで強引に突破する!)

「力に集中しててもとがおろそかだぞ?ほらそこだ。」(惜しいな・・・もうすこしスピードもあれば・・・)

「なに!」


そう、奮起しレッグスルードリブルで抜こうとするも、一瞬の隙を突かれとられてしまう。


「足元から戻すときに、一拍手を差し込む隙が出来てる。もっと隙を無くせ。」

「くそ!まだ!ここで止めれば!」

「本物のレッグスルーを見せてやろう。高めてフロントチェンジと合わせるとこうなる。NBAではあまりの強さ故にこう言われたのだ。キラークロスオーバーとな!!!」

「あれを出来るんスか!?」(技さえ分ればまだいけるはず!)

「いくぞ?置いて行かれるなよ?」

「来い!・・っな!3回!?」

「キラークロスオーバーとは言ったが3回チェンジしないとは一言も言ってないぞ?」


巧はレッグスルーからフロントチェンジで2回持ち替えたボールをもう一度レッグスルーで反対に持ち替え相手を抜く。分かっていても止められない、いや後出しじゃんけんのごとく正を抜き去る。

正は抜かれた瞬間に後ろを振り向くが、時すでに遅く再びレイアップを決められてしまう。


「なんてでたらめな・・・!」

「でたらめ?これくらいレギュラーのPGならやるぞ?それが我ら千葉第一中学校のPGというものだ!」

「そんな!いや、目標はそれぐらい高い方がいい!」

「そう来なくては!」


より一層闘志を滾らせる正。それを正面から受け止める巧。

巧が実力では圧倒的に上であれども、必死に食らいつく正。その姿、は確かに強者だった。


「ナイスゲーム。次も負けんぞ?俺の代は

二人の勝負はその後、9対4と言う結果だったが、巧から4点取れる一年生と言うことで正は正当に評価されるであろうと容易に予測できた。


――――――――3人称sideout――――――――アダムsidein――――――――

「おつかれ~グッドゲーム!」

「ウッス!いやぁ~手も足も出なかったッス・・・」

「君1年生、それであれだけできる。すごい!」

「そっスね・・・そうッスよね!」

「うん!あ・・・監督から、睨まれた。今入部テスト中だね。試合、見よ!」

「ウッス!」


そうして他の試合に目を向けた。

監督に呼ばれて1年生の相手をしている選手は誰もが強く見え。癖も強そうだった。

否、強かった。圧倒的な差は感じないものの肉食獣のような強さは確実に持ち合わせていた。

誰も彼もが、力を求めそれを行使して戦っていた。

そして、1人の1年生が藤堂と呼ばれた選手と行う時だった。


「先輩~。すいませんね相手してもらって。そのポジション貰いますよ?」

「え・・・?すごくそれ嫌なんだけど・・・。それと誰?」

「嫌でもしょうがないですよ。なんせ、相手が俺、落合実が相手ですから。」


その一年生も相対する藤堂という選手も両方とも根暗な、ナード(オタクの蔑称)感があった。

いや、長い前髪のせいかもしれないと、かぶりをふって思考を試合に戻した。


――――――――アダムsideout――――――――3人称sidein――――――――

ブザーが鳴り響いた瞬間に普通にドリブルをする落合。それに嫌そうにしながら合わせる藤堂。

落合にやりとしながら口を開いた。


「抜かせてもらいますよ?」

「そういう自意識過剰。僕、嫌いなんだよね・・・」

「自意識過剰?これは自信って言うんですよ。」

「そういうのは抜いてから言えよ・・・」

「じゃあ遠慮なく。巧先輩のをコピーさせてもらいましたんで。ブラインドフェイク!」


そう言うと落合は、正に向かって巧が行ったブラインドフェイクを行った。

それを見ていたアダムと正がうろたえる。


「え!?ブラインドフェイクだって!?」

「そんな!?あれは巧先輩が俺にやったやつじゃ!」


しかし藤堂は当然のようにボールを奪い取る。


「それぐらいは何度も受けたさ。」

「ありゃりゃ・・・なら今度は別ので行きますよ。」

「気持ちが悪い…!」


険悪な雰囲気のまま二人の試合は進んでいくのだった・・・

やったぜ!癖が強い!

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