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ただいま

ビル群の中にある小さなガレージ。

真四角の小さな建物で、コンクリート打ちっぱなしの見た目である。

正面にはシャッターがあり、側面に窓が2つずつ付いている。


ビル群の中に似たような建物がポツポツとあり、倉庫やガレージ、地下への出入り口として利用されていたようだ。


この小さなガレージの正面に四輪駆動車だ。とても古いデザインの車だが、よく手入れされており、よく見ると中身は新しめなようだ。


綺麗に細かく手入れされており、細かい傷などはあるが大事になられているのが一目でわかる。


ガレージの側面にある窓の側では、二人の少女がしゃがみ込み、窓から中の様子を伺っていた。


そのうちの一人の黒髪の少女が言った。


「…よし、以上はなさそうだね。一応シャッターに仕掛けてあるトラップを確認して先に入って、五分したら私も入る。いい、シロ?」


シロと呼ばれた純白の髪をした少女が答える。


「おっけー。いつも通りだねクロ。まずはシャッターに取り付けてある糸を見て、切れてなければいいんだよね」


「そうだよ。糸が切れてたら中に何か入ってる可能性が高いから、その時はハンドサインで知らせて。そしたらその場から音を立てずに退避、車で離れるよ。」


ラジャー、と敬礼をしてシロはしゃがんだ状態でシャッターへと近づいていく。シャッターにつけた糸を確認し、こちらに(異常なし)のハンドサインを送ってきた。


そのままシロは糸を外しなるべく静かにシャッターを開け出した。


カラカラカラキィィィ……


シャッターを半分開けるとシロは中へ入っていくのを確認し、クロはまた側面の窓から中を伺った。

そのまま五分ほど経過すると、シロが窓のブラインドを降ろし始めた。これがいつもの合図だ。

クロは「よしっ」と立ち上がり、中へと入っていった。


中へ入ると真っ先にシャッターを全開にし、


「車入れるから、見張ってて」


とシロにお願いした。


四輪駆動車に乗り込みエンジンをかけ、バックでガレージへと駐車すると、シロがシャッターを閉めた。


シロはそのままシャッターから離れようとしたが、クロに呼び止められる。


「シロ、鍵ちゃんとして。」


クロが車から降りながらそう言って右手でシャッターの鍵を指差している。


「わすれてた、へへ」


と言いながらシロがシャッターの鍵をかけ、さらにその上から錠前を二重にかけている。


「さて、ただいま」


クロは誰に言うでもなく、ポツリと言葉を出した。


「へへ、おかえり、ただいま!」


シロがクロに向かって微笑みかけ、車の後部座席から荷物を降ろし始めた。



狭いガレージに入れた四輪駆動車はその半分の面積を占め、残りの半分にはバケツやホースなどが綺麗に整頓されている。

テーブルが壁際に置いてあり、そのテーブルと車の間が2メートルほどある。この間が通路となっている。


車の調子が悪い時は壁際のテーブルに工具をならべ、一日中クロがガレージで車をいじっている。


ガレージの奥側には小さなカーペットが引かれ、その上には一人用の小さなテーブルと椅子がワンセットで置いてあった。


シロはおもむろにそのテーブルと椅子をどけだすと、カーペットをめくりあげた。


するとカーペットの下から、取っ手のようなものが現れた。

取っ手をシロが掴み、ぐいっと引っ張ると1メートルほどの床がパカっと口を開け、地下への階段が姿を現した。


「ただいま、我が家」


クロがまた呟いた。

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