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お礼

「もう感染者はいないはずだけど、なにが起こるかわからない。シロ、気を抜かないでクリアリングしよう。」


シロはニコッとして頷いた。


いや、気を引き締めなきゃいけないのは私のほうか…

クロはそう心でつぶやき、テイザーガンを構えた。

先ほどと同じく、シロが前、クロが後ろの陣営でクリアしていく。クリアリングが順調に進み、わずか10分ほどでキッチン、ダイニング等を終えた。

最後のウォークインクロゼットの扉の前で二人はしゃがみ込み、ハンドサインでドアを開けるタイミングを合わせた。


ゆっくりと開け、シロが少しずつ中に入っていくと、左手をこちらに向けてクリアのハンドサインを送ってきた。


「この部屋で全部だね。」


「そうだね。とりあえずキッチンの方で必要なもの集めよっか。」


「まってたぜ!合成肉でもいいからあるかな?」


シロは大股でキッチンへと向かい出す。


「シロ、いつも言ってるけどナイフは直さずに手に持ったままにしてて。それと何か変な音とか匂いがしたらすぐ知らせて。」


クロが言い終わるのと同時にオッケーオッケーと手をヒラヒラさせながらシロがまたキッチンへと向かい出す。


キッチンはあまり荒らされた形跡はなく、生活していた状態そのまま残されている。おそらく食料はセーフティルームに備蓄してあって、その食料が尽きる前に感染したのだろう。


備蓄が尽きたらキッチンのものをルームに入れるはずだ。


この家族には悪いが、ラッキーである。


30分ほど経ち、大体の探索も終わった。

シロが階段を降りたとこにあるテーブルに今回の景品を並べている。

本人は鼻歌交じりでとてもご機嫌のようだ。


「えーと野菜シートに洗剤各位、それに油と紙類…あ、合成肉あったんだね。」


クロはメモしながら数をあたっている。


「そーなのよ!しかもねクロ、これを見て!」


そういうとシロはポケットの中からDVDを取り出した。


「じゃーーん!なんのDVDかはわからないけど、見つけてきた!他にもたくさんあったんだけど、綺麗なのはこれしかなかったんだ!」


「へーめずらしいね。この家主はDVDを持ってたんだ。古いものが好きなのかな。なになに、"ミイとカナの宇宙旅行"か…確かアニメ映画かな。映画カタログにのってたよ。」


「え!どんなのどんなの!」


「日本がアニメの先進国だった時代のものだよ。15歳の女の子二人組が、宇宙船でいろんな星を旅するんだ」


「女の子二人で旅…なんだかクロと私みたいだね!」


シロはニコッと笑う。


クロもふふっと笑い


「そうだね。今日帰って見てみようか。」


「賛成!あ、今日肉あるからハンバーガーしようよ!こないだのコーコーラも冷えてるし!」


「いいね。じゃあちゃんとお礼して早く帰ろっか。」




クロとシロは手押し車に荷物を詰め終わると、早足で民家を去っていった。



少女たちが先程までいた民家では、テーブルの上の新しい花が、小さな明かりに照らされていた。



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