見つかりました
翌朝起きると、私はベッドの上にいた。どうやってベッドの中に入ったのかが分からず、記憶を辿っていると、
「お目覚めですか。」
そう言ってラークが部屋に入ってきた。私は目を向けるだけで返事はしない。ラークは黙ったままこちらを見据えてくる。数秒の間が長く感じられた。嫌な予感がする。目線を外したいが外してはいけないと思う自分もいる。
「貴女は誰ですか。」
ラークははっきりと言った。語尾が上がっていなかった。断定的だった。つまりは確信しているということだ。
「わたしは・・・わたしよ」
ラークの眼光が更に強まった。やらかした。“わたし”と言ってしまった。リリーは“わたくし”なのに。いけない。動揺が出ている。そう思えばそう思うほど、私は焦っていく。
「なぜ貴女が私の情報を知っているのですか。」
ラークは紙を差し出してきた。私がこの世界についてまとめた紙だ。ああ、なんて自分はバカなんだ。心からそう思った。日本語で書けば良かったのに。そうすれば、ラークは読めなかったかもしれないのに。いや、そもそも寝落ちしなければ・・・
「答えて下さい。いや、答えろ。なぜ知っている。貴女は誰だ。」
ラークはもう私をリリーとして認識していない。こんな序盤で・・・しかも攻略対象相手に・・・私の心はリリー失格という烙印を押された気分で支配された。
「なんとか言ったらどうだ。」
ラークはまだ話し続けている。きっと、この完璧人間相手ではもう誤魔化せないだろう。
「私は・・・私は転生者です・・・」
心が折れてしまった私の口は勝手に語りだした。
めっちゃ短くてすみません!
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