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当日になりました

 あれよあれよと話は進んで、舞踏会当日。ここ1週間は気合いを入れて舞踏会に必要なものを揃えた。


「綺麗なんですがね」


 ラークは私を見て言った。含まれた内容を何となく察しつつも


「どういう意味よ」


 と、ムスッと返す。私は淡い空色のドレスを着ている。ラークは顔色を変えることなく


「外見は綺麗なんですが中身はああですからね」


 つまりは容姿は良いが性格がイマイチだと言いたいのだろう、この男は。確かに自分でも面倒な性格をしているとは思う。快楽主義者だし。だが、ラークに言われる筋合いはない。


「あのねぇ」


 文句を言おうとしたとき、ドアを叩く音が聞こえた。すぐにリリーモードに切り替えた私はどうぞ、と声をかける。


「あら~!やっぱり良く似合ってるわ!お母さんの若い頃そっくりよ!」


 母が入ってきた瞬間に駆け寄ってきた。母は上品なラベンダーのドレスを着て、帽子を被っていた。その姿は貴婦人と言われ、絵画にされてもおかしくないだろう。しかし母は黙っていれば麗しい貴婦人だが話せば人懐っこい子供のような人だ。使用人たちからも愛されている。


「それじゃあ、エスコート頼んだわよ。ラークくん!」


「ええ。承知致しました。」


 抜群の外面を発揮しているラークは、タキシードを着ていてとても使用人には見えない。隠しキャラのはずだが何も隠れていない気がする。


「私はお父さんと一緒に行くから少し遅れるわね。本当に独りでも大丈夫なの?」


 母が心配そうにこちらを見つめる。色素の薄い髪が心模様をあらわすかのように不安げに揺れた。


「大丈夫です。もう10才ですもの。これくらいどうってことないですわ。」


 満面の笑みを浮かべて安心させるように言った。正直に言えばずっとリリーでいるのが辛いから先に行くだけなので、心配されると心が痛い。


「そうね・・・。少し前に生まれたと思っていたけど子供の成長って言うものは早いわね・・・。」


 しみじみ泣きそうになりながら母が言う。早いというか、中身が少し年上になってしまっているので早いのかもしれないし、元々リリーは可愛いげのない落ち着いた子だったことからそういう性格だったのかもしれないし。今となってはどちらか分からない。


「奥様。旦那様がお呼びです。」


「今行くわ。二人とも、頑張ってね」


 母は少したまった涙をぬぐい、ニコッと笑って部屋を出た。


「随分な嘘つきさんですね」


「貴方に言われたくないわよ」


 ニコニコと母に手を振った状態のまま互いに毒づいた。


「それでは行きますかね。」


 やれやれ、という様子でラークが手を振るのをやめた。


「そうね」


 私も手を振るのをやめ、舞踏会への気合いをいれる。対策は結局何も浮かばなかったが、とにかくリリーであり続ければ良い。それだけを胸に思って、私は屋敷を出た。

お母さんとお父さんはラブラブです。

ちなみに入れ替わりが激しかったお屋敷ですが、

“私”になってからは1度も人がやめてません。

その事に“私”はまだ気付いていません。

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