田舎の自称名探偵①
2013年5月24日13:05
1人の少女が電車に乗りながら外の景色を眺めていた、電車の窓からは地平線の彼方まで青く染まった海とそれを引き立てるように聳え立つ岸壁、それらはまるで窓という額縁に描かれた、1枚の絵のようである。
しかし、そんな美しい景色を見ている少女の表情はとても悲しげで、虚ろであった。
ここ最近、彼女の町では通り魔事件が数件起きており、偶然にも彼女の弟がそれに巻き込まれた。
弟と仲のよかった彼女は悲しみ、同時に犯人への怒りを覚えた。
だから、彼女はネットで見たある探偵を頼ってみることにした。
どうにも風変わりな探偵だが、4つ条件を守れば解けない謎はないらしい
彼女はスマホを取り出すと改めてその条件を確認してみる。
1.捜査費とその50%分の報酬
2.依頼人が捜査に同行し、こちらの支持に従うこと。
3.操作中に知った情報を誰にも話さないこと
4.解決したい事案が起きてから6日以内に依頼すること
1.2.3の内容はわかるが、彼女が違和感を抱いたのは4つ目の条件である。
なぜ、6日以内にという時間制限があるのか、彼女は一つの引っかかりを抱いていた。
そうこうしていると、電車は目的の駅へと到着する。
駅を出てすぐ目の前には海が見え塩辛い匂いの海風が私の鼻を刺激する。
海を横目に彼女は歩き出す。
彼女はしばらく歩き長い階段を登りこの町の高台にある住宅地へと着いた。
地図を頼りに歩くと目的地の目印である小さなラベンダーの花壇がある家にたどり着く、周りの民家に比べて比較的新しい作りのその家の玄関先には大きな板に「倒語探偵事務所」と書かれてある。
彼女は恐る恐る玄関のベルを鳴らす。
しばらくして玄関のドアが開くと、そこには二十歳ほどの青年がいた。
これが彼女、千葉香瑠と彼、倒語未来の初めての出会いとなる。