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狐火(放送事故)

作者: 山居中次
掲載日:2016/08/10

「ここです。ここが、雨の日になると、いや、雨の上がった日の夜になると、幽霊が出ると噂される農道ぞいの林の入り口です。あっ、今、青白い光が」


夏の心霊特集。

リポーターの解説に、そして、カメラが映し出した怪現象に、スタジオがざわつく。


「何だこれ?」


何気なしにテレビを付けるとやっていたその番組に、俺も思わず、テレビに顔を近付けて、見入ってしまった。


地方の農道沿いの林に、雨上がりの夜、幽霊がでる。

そんな、噂話を検証する為に、元ボクサーと、ムチムチボディの、名前の解らないグラビアアイドルが、リポーターとなって、現場の検証。そして、その瞬間、幽霊?とおぼしき、青白い光のような、煙のようなモノが、そこに、揺らめき出した。


「ああああ、うわーん」

元ボクサーが、情け無い声を上げて、うずくまり、その一方で、グラビアアイドルが、「凄い、凄すぎます」と、律儀に、絶叫しながらも、リポートを続けていた。


心霊なんて、インチキだ。でも、面白いから、好きだ。

そんな、理由で、この手の番組があれば、なんとなしに、チャンネルを回す俺も、これにはさすがに驚いた。幽霊なんてナマで見られるモノじゃ無いから。(リポートは、生の中継と言う触れ込み)


「先生。原因 は、何だと思います?」

スタジオから司会者が、先生と呼ばれる初老の男に話を振った。

男は、どこかの大学の、何かの教授であるらしい。一昔前は、霊能者がこの手のロケに同行したが、今は、こんな、科学者が、同行するらしい。

まあ、時代の変化か。


「まあ、雨上がりとの事で、多分だけど、地中のリンとか、カリウム何かが、雨の湿気に反応して、燃えてるのかも知れません。狐火という現象です」

「狐火?」


司会者が、聞き返す。


「はい、地面の中にですね、そういった物資があると、起こる現象でして、もしかすると、この辺一帯の土に、リンや、カリウムが含まれているのかも知れません。ただ・・・」

「ただ?」

「あそこの一部だけで、狐火が出るのは、不思議です。本来なら、もっと、広範囲で、起きるはずなんですが」

「それは、どう言う?」


司会者が、さらに、教授に聞く。

教授が答えた。


「これは、仮説ですが、動物の死骸なんかが埋まっていると、稀にこう言った現象が起こります。動物の体内のリンやカリウムが地中に溶け出すわけです」

「もう、なんでもいいから、帰ろうよ。僕怖いよ」


教授の仮説を聞いても、元ボクサーは、怖がり続けている。


「なら、掘ってみましょうよ。私、真相を知りたいです」


元ボクサーとは、対照的に、グラビアアイドルは、勇ましくそう言うと、青白い煙の根元に向かい、そこを、側にあった、太い木の枝でほじくりかえした。


その様子を、カメラが追い、彼女のほじくり返す地面を映し出した。


そして、“何かが顔を出した”。


「キャー」


グラビアアイドルが悲鳴を上げ、テレビの画面に、それが映ってしまった。


翌日。


『心霊特集で死体発見⁉️グラビアアイドルの悲鳴。身元は、地元の行方不明の少女か?』


心霊ロケで、一部白骨化した死体を発見したとのニュースが、 全国区で、センセーショナルに取り上げられたのは、言うまでもない。

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― 新着の感想 ―
[一言] この話なら、テレビを見ている「俺」はいらないと思いました。
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