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5話

 


 「「で、でけぇ.....」」

 俺達は、今、魔法少女育成学校《レクシオン学園》の前に立っていた。


 「何これ? 学園? 神殿とかそういうレベルだろ!」


 「ぼ、僕達、これからここに通うの? え?」


 「どうしたの? 王族達が通ってるのよ? これくらい当たり前でしょう?」

 ブレイズは、あっけらかんと答える。 そして、まだ口が開いたままの二人に声をかけた。


 「早く行きましょう? 初日から遅刻はしたく無いでしょう?」

そう言われ、二人は学園の中に入って行った。 しかし、周りからの物珍しそうな視線に二人は俯くしかなかった。 


 そして、二人は教室のドアの前にいた。 担任のセレシア先生に呼ぶまで待っているように言われ、セレシア先生が教室の中に入って行った途端、優希が結衣に話しかけた。

 「なぁ、結衣。」 


 「ど、どうしたの?」


 「多分な、俺達は一回皆の前で男に戻らされると思う。 その時の皆の反応を見てもあまりショックすんなよ。 それは当たり前の反応何だから」


 「え? それってどういう事?」

 だが、そこで先生から中に入るように言われたので二人は中へと入って行った。

教室の中は階段のように机が並んでおり、美少女に溢れかえっていた。


 「えぇ、皆さん、今日このクラスに編入することになった日渡結衣さんに優希さんです。 皆さんに先程伝えた通り、オーウェン家の子供であり、この二人は男の子です。 ここで見てもらいます。 結衣さん、優希さん、お願いします」

 結衣達は、ブレイズに教えて貰った【魔力操作】で魔力炉を止めるイメージをした。そうしたら、結衣達は男の姿に戻った。 だが、その途端、生徒達の視線がまるで化け物でも見るような視線になった。


 結衣は優希が先程言っていた言葉の意味を理解した。 だからこそ、その視線が胸に刺さった。 そして、優希が結衣に耳打ちをしてきた。


 「まぁ、これが俺達の現実って所だな」

 優希はまるでこのような扱いに慣れているかのような態度で結衣はとても驚いた。


 「結衣さん、優希さん、二人は奥の並んだ席についてください」

そして二人は指定された席に着いた。


 「皆さん、今日は特に何も無いので今日はこれで帰っていいですよ」

 セレシア先生の言葉に素早く帰りの準備を済ませ、教室から出て行った。そして、教室の中は二人とセレシア先生だけになった。


 「おい、結衣、お前はまださっきの視線を気にしてのか?」


 「そりゃぁ、気にするよ! 逆に優希くんがこんな態度を取ってられるのが不思議でしょうがないよ! どんな神経してんの? ねぇ?」

 結衣が一気に優希に詰め寄る。


 「お、おい! 胸が当たってる! 離れろって! 話すから!」

 そう言われて結衣は渋々、優希から離れる。


 「長くなるけどいいか?」


 「いいから、さっさと喋ってよ!」


 「分かったから! じゃぁ、話すぞ」

 優希は一息ついてから、話し出した。

  

 「俺は、10歳の時、家族に捨てられたんだよ」

それを聴いて結衣は言葉が出なくなった。だが、優希は話を続ける。


 「それだけじゃない。捨てられた日まで、物置に閉じ込められ、一日一回しか食事を与えられなかった。食事と言っても残飯だ。箸なんかは渡されず、犬食いさせられた。外に出ようとすると暴力をされ、まさに家畜同然の扱いだったよ。そしてこう言われるんだ『なんで男に生まれて来たんだ。 女だったらよかったのに』ってね。だからそれなんかと比べたら楽な方じゃないか」


 「す、捨てられた後はどうしたの?」


 「警察に預かって貰った。 15歳になってからバウンティハンターをやり始めて本とかで色んな知識を身につけて行って今に至るって感じだな」

 結衣は優希の壮絶な過去を聴いて絶句した。セレシア先生に居たっては、涙を流している。


 「ちょ、セレシア先生が泣いてどうするんですか? 全く」


 「優希くんは大丈夫なの?」


 「まさか、悲しみより恨みの方が強いに決まってんだろ? 何当たり前の事聞いてんだよ」

 

 「そ、そっかぁ.....ゴメン、なんて言えばいいのかわかんないよ」


 「そんなの、わかんなくていいんだよ。分かってしまう方が異常だ。 それより、セレシア先生、今日皆を早く帰らせたのって、自分が思ってたより皆の反応がすごかったから、ということですね?」


 「えぇ、ごめんなさい。みんなの反応が想像してたのと比べものにならなかったから、一日落ち着かせようと思ったのよ」


 「いえ、それではそろそろ俺達に【魔力操作】を教えてくれませんか?」

 優希が話題を変えた。


 「えぇ、そうね。 でも私より適任な先生がいるわ。 職員室にルクス先生がいると思うから、その先生に教えて貰うといいわ」


 「職員室、ですね? 分かりました。 ありがとうございます」

 そう言うと、優希は教室から出て行った。 それを慌てて結衣が追いかける。

 「待って! 優希くん!」

 

 「分かってるって」

 そう言うと、優希は足を止める。

 「どうしたの? さっさと出てきちゃって」


 「まぁ、歩きながら話そう」

 そう言って、教室から相当離れた場所まで来ると、突然、優希が壁を叩いて怒鳴る。


 「クッソ!! アノヤロウ、自分より適任がいるって言いやがって!!」


 「ゆ、優希くん!? どういう事!?」


 「俺達、教室で男に戻る前にあいつに男の時の姿を見せてたか?」


 「え? い、いや、見せてないはず.....あ!!」


 「そうだよ。 俺達が男に戻った時に先生の顔を見てみたんだよ。 そしたら、何だあの顔は!? ふざけんなよ.....」

 そしたら、優希は俯いてしまった。 しかし、結衣もとてもショックを受けていた。 


 「まぁ、ルクス先生に会ってみよう。 俺の記憶が正しければ、彼女はダークエルフだ。 お前の相談相手になってくれるかも知れない」

 優希の話に結衣は涙が出てきた。 優希はそれを見て、ハンカチで涙を拭いてあげる。


 「おいおい、男が泣くんじゃないぞ。 女じゃないんだから」


 「うるさい!! 今は女の子だもん!!」


 「おい、それを人間は屁理屈と言うんだぞ」


 「わかったよ!! ....でもありがとう」

 そして優希達はお互い笑いながら職員室に歩いて行った。

 まだ短いですかね?

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