邪神認定
無駄に経歴が長いというか、ざっくり五千年前くらいになるかな?そういうものだと認識されたのは。
根暗い奴が何を思ったのか自分の血を墨に混ぜて誰それが憎いだのどうして物事が上手く行かないだのびっしり紙に書いて燃やした。
たまたまそいつに運が向いてきて念願叶ってからそう言う遊びが流行ったんだ
今でも似たような後ろ暗いおまじないあるだろ、それの走りだな、キョンシー映画で鶏の血とか色々使うじゃない。
墨神様に血を捧げよとか言って格式張ったやり方も増えて妙に凝った奴が最初から人血入りの墨を作ったのよ。
罪人のがキテるとか臓物も混ぜようぜみたいなノリで赤黒いバトンくらいの握り墨に俺は宿った、中2というより黄帝病だな…違ったか?
呪いの概念に従って身をすり減らし罪人達の血肉の中でその予備軍の願望を聞いてやるうちにふと思う、俺は何をやってるのかと。
磨耗する本体を何とか増やそうと術者を最期に食べているうちに知恵がついた。
より高名な人物に寄生して黒く染まった血を使わせる内に単なる消耗品から血脈を残し代々受け継がれる存在へとシフトしていく。
墨の構成物資を人体と擦り合わせながら核として心臓に宿る事で自己の消失は防いだが、次第に複雑な人間感情の猥雑さに悩まされていく。
美味なるは罪人よりは無垢なる者を、口減らしより裕福に育った者を、絶望と恐怖で慟哭するより食われる直前まで安らかでいる者を。
縛られた幼子の前で道化を騙り、仲睦まじい夫妻がそれぞれ血まみれの寝室から消え、誰も嘆願書が火にくべられるのを認識しない。
そうするだけの力と餓えがあった、捕食で生じる辻褄を合わせるために人が作る書籍や記録書も流用した、物語も読んだ。
人の心がわかり始めると欺きながら人食いとして生きる心に齟齬が生まれる。
幸せそうだったり良いやつそうなのがたまに混じると、そいつが大概転落人生のうちに死ぬまで見守るのが何故か辛い。
必死に抗う中で身代わりになろうとしたり後追いする連中は大概俺の舌には旨かった。
俺の二番煎じみたいな奴をけしかけられたり、神だの仏だの言うよくわからないモノで陣地争いに巻き込まれてあっという間に千年たった。
とうとう人間側が俺らの封印方法を編み出したのは一番辛かった。
300年くらい暗闇に放置されたら餓えに人恋しさで手当たり次第に何かを食ってしまった。
まだまだ人恋しさ=好きっていう認識じゃなかったから当時助けてくれた子供が描いた絵姿でその国が歴史的に消えるまで貪ったかと思う。
今でこそあの子は美味しかったなって気に入って見た目そっくりにしてるけど、現在進行形で美化入ってるんだろうなきっと。
そこからは早かったな、より人に紛れるように努力してより人に好かれるように苦心して最期に美味しく頂く、書いて望みを表現しようとする行為の数だけで俺が拡張されていく。
合格祈願の絵馬とか七夕の短冊もアウトだったりする、いつでも閲覧可能だし叶うかどうかも俺次第。
内容が漠然としているだけ墨神の呼び名すらうやむやになった名無しの俺に思いが届く、取り零しを拾う間に人外の横の繋がりも出来たりした。
本当に何処に向かって祈り誰と繋がりが出来たかなんて最後の最期まで考えてない奴大杉。
時たま人間の体が無傷で入手出来たら人並みに暮らしてみたり。
身分がなければ知り得ない事を学べば書かれた事なら何でも吸収出来たり、料理も覚えてどれだけそいつが旨いのか再現して大量に振る舞ってみたり。
食べたらなくなっちゃうし、美味しいモノや楽しい思い出はみんなと共有したいよね!特にお前!!
もう人間名乗っても大丈夫なくらいの時間を過ごしていると思ったのに、人間の想像力って凄いの、2次元に行きたいとか2次元から嫁が出てきてくれないとかあるでしょ?
『だから自分は偽名だとか偽物じゃなくてあなたが求めた正真正銘その通りに生きる本物の創作物の現象です、勿論タダではないけれど。』
俺は書くという行為を人が止めない限り存在し続ける、誰かの願いや妄想が夢物語を綴るとき其処に潜み時に閲覧者を啜るモノ。
だからこの先はこれを読んで俺が認識されるときお前がどう思うかにかかってるんだ、ここまで『自分語り』をした後は。
お前は俺が何に見える?ずっと友達か、それともただお前を食い散らかす得体の知れない化け物か何かか?