目覚め
強い光があった。
眩し過ぎて何もみえない。
椅子に座っているのか背中の柔らかみが気持ちいい。
「ーーー」
近くで誰かが何かを語りかけてきた。
「せいれーーゅくーー、こーー」
その声は喜びに満ちているようだった。
どうやら、その声以外にたくさんの声ー歓声ーが聞こえる。あまりにも盛大で声と認識できなかったようだ。
「精霊のーー、この、我々ーー」
喜びに満ちた声はその歓声に訴えかけているようだ、それに応じて歓声はますます大きくなる。
「精霊の祝福があった、この方が我々を未来へ導いてくださるのだ!」
光に目が馴染んできた。
眼下にたくさんの人影が見える。野外コンサートのステージ上って感じだ。
見渡す。
小さいの、大きいの、剣をかかげている者、泣いている者、笑っている者。飛んでいるもの。
そのどれもが喜びに満ちているのだと、感じる。
「ーーー」
何?と言う声は響かず、掠れた呼吸となる。
「おお、お目覚めになられたぞ!」
横から覗きこんできた老人が歓喜の声を上げる。
その後ろで起立していた兵隊に何やらささやくと、兵隊はどこからともなく大きな皿を出してきた。
老人はそれを受けとると
「どうか、お飲みください。」
どうやら飲み物が入っているようだ。甘い香りがする。両手を広げなくては持てない容器での一気飲みは難儀だったか、喉の渇きに従い飲み干す。
「同士達にお言葉を。」
老人は歓喜のあまり泣き出している。
「えーと、、ここはどこです?」
途端、老人が口を半開きにして呆然とする。周りは相変わらず騒がしい。
「さ、さぁ目覚めたばかりでお疲れであろう。こ、こちらへ!」
目覚めたばかり疲れているって矛盾してないか?と思ったが、促されるままステージの裏手へと降りていく。
何かしら?