表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ランデレ彼女

看護系彼女

作者: 狂風師

ヤンデレ成分なし。

後はタイトル通りだと思います。


前編は下記URLよりどうぞ。

http://ncode.syosetu.com/n2143bi/

ルコ「大丈夫?」


 1年ぶりのクリスマスだ。


 望まなくても毎年やって来るのだから、全くもって律儀な行事(やつ)である。


 現在時刻は朝の8時過ぎ。


 ルコにしては珍しく「今日は何の日でしょー?」なんて展開はなかった。


 去年は疲れるくらいにやっていたというのに。



 さて。


 今ルコは俺を優しくも切なげな表情で見つめている。


 別に、ホワイトクリスマスにしてくれないから、とかそういう事ではない。


 雪を降らせる能力なんて、そんな人外のような事は出来ないし、ルコも知っている。


 ではなぜ、この真冬に裸ネクタイをしている彼女が俺を見つめているのか。


 なぜ俺は布団の中で、ゆっくりと横になっていることが出来るのか。



ルコ「お粥作ってくる? 何か食べないと薬飲めないよ?」


 薬っていうのは、ヤバい方の薬ではない。


 むしろ、ヤバい時に飲む薬だ。


俺「悪いな…せっかくのクリスマスなのに…」


ルコ「ううん、平気だよ。また治ってからやろうね?」


 俺が熱を出して、つまり風邪をひいてクリスマスが中止というわけだ。


 ルコは俺から離れるのが惜しいような表情をしていたが、やがて台所に向かっていった。


 さっき、「今日は何の日でしょー?」をやってないといったが、半分嘘だ。


 正確には、やったが止めた、だ。


 深夜2時くらいにルコに起こされ、決めゼリフを聞いた。


 が、前日から調子の出なかった俺は、その時すでにダウン寸前。


 いつもと様子が違う事を察してくれたまな板の彼女は、静かに眠らせてくれた。


 そんな心温まるエピソードが6時間前にあったわけだ。


 …あったらしいが、あまり覚えていない。


 熱のせいなのか何なのか、今のは全部ルコに聞いた話。


 いつもは怪しげな事を考えてそうだが、こういう時には誰よりも優しい。


 もう怖いくらいに。


 こんなに優しいルコを見ていられるのなら、俺は何回だって風邪をひく。


 しかし、普段から健康に気を使ってくれる人が隣にいるので、そんな機会は滅多にない。


 今回は偶然にもクリスマスと被ってしまったが。



 結露した窓ガラスは、外の風景を見せてはくれなかった。




俺「待って…まだ熱いから…」


 こんな時にもツッコミを忘れてはならない。


 なぜならば、それが任務であり生きるという事だからだ。


 プラスチック製のレンゲに乗せられた一口分のお粥は、張り切り過ぎなほど湯気を立てている。


 そんな状態のまま口の中に入れられたら、火傷は(まぬが)れない。


 作りたての手料理を食べられるというのは嬉しい事なのだが…。


ルコ「冷ましてあげるね」


 息に吹かれた湯気は、匂いと共にこちらにやって来る。


 ある程度冷まされたそれは、ルコの口の中へと収められた。


 まさかとは思うが…、いや、それ以外に考えられない。


俺「分かってるか…? 風邪引いて…」


 躊躇なく口内に飛び込んできた半液体状のモノを、嫌がることなく受け入れた。


 風邪のせいなのか、頭では分かっていたが実際にやられると止められない。


 離れた2人の唇の間には、白銀の糸が一本垂れ下がった。


ルコ「もう一口」


 が、この「もう一口」が終わらず、一食分のお粥を全て「もう一口」で食べ終えてしまった。


 もう口の周りは涎なのかお粥なのか分からない状況に。


 確実にルコも風邪引くだろうな…。


 いやでもルコの事だから…どうなるか…。


俺「最後に…拭いてくれると嬉しい」


ルコ「わかった」


 拭いてと頼んだはずが、再びルコの顔が近づいてくる。


 何をしようとしているのか、まるで手に取るように考えが分かる。


 …まぁ、綺麗にはならないだろう。




 終わってからタオルを持って来てもらい、きちんと拭いてから眠りについた。


 普段より疲れた気がするのは、きっと気のせいだ。


 身体的だけでなく、心まで痩せた気がするのも、たぶん気のせいだ。


 寝ようとしたはずなのに、こうして起きているのは、気のせいではない。


俺「…なんで、隣に?」


ルコ「あったかいよ」


俺「…」


 風邪がうつるという概念がないのだろうか?


 それに、ほぼ全裸の彼女が隣にいるというのは、かなりアレなわけでして。


 いくら体調が悪いとはいえども、少しはそういう事も考えてしまう。


 だが、明らかに反応は悪い。


 いつもの状態なら、とっくに襲っているころだろう。


 風邪の恐ろしさか…。


俺「うつるぞ…?」


ルコ「全部ルコが貰ってあげる。体液も、ウイルスも」


 言う割には、これといった行動も起こさない。


 ただじっと、俺の隣で一緒に寝てくれている。


 ルコなりの気遣いなのか、何なのか。


 俺がすっかり眠って、空が夕日で染められようとしていた時も、ずっと隣にいた。






 起きたのは夕闇色の空が見えた時間だった。


ルコ「おはよ」


 いつから起きていたのか。


 俺が目を開けるのとほぼ同時に聞こえてきた。


 隣に寝ている彼女は静かにほほ笑む。


 この後の展開が分かっているかのように。


ルコ「汗かいたでしょ? 拭いてあげるね」


 布団を強制的に剥ぎ取り、ちょうど俺の下腹部の上に馬乗りになっているルコ。


 怪しく笑いながら、ゆっくりと俺の服のボタンを外していく。


 右手、左手、どちらにもタオルは握られていない。


 一番下のボタンまで外し終わると、自分を体を倒し、一つに重なった。


 そのまま前後左右に擦れ合う。


 自らの体をタオルのように使いながら。


俺「…なぁ」


ルコ「なぁに?」


俺「治ったら、な…」


 正直、まだ辛い。


 朝の時よりマシにはなったが、それでも本調子ではない。


 誘惑していることは分かっているのだが、どうにも感度が悪い。


ルコ「お腹空いた? 何か食べたいものある?」


 上から降りて、服も布団も元通りにしてくれた。


 優しさに泣きそうになりつつ、構ってやれない事を悔やんでもいた。


俺「あんまり…食欲ないわ…」


ルコ「ちゃんと食べないとダメだよ」






 翌日には、完全とは言えないが治ってしまった。


 一方ルコは、なんともないようで、俺の上に跨って上下に動いている。


 一日遅れのクリスマスプレゼントといったところだろうか。


 いつもルコに与えられてばかりだから、たまには俺からも優しさを与えてあげようか。


 看病と日頃の感謝を込めて。

やりたかったこと

・口移し

・自分の体を使って相手の体を擦る

・ルコが看病


もうちょっとハードな看病にしても良かったかな…?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ