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遥か虚空に浮く救世主
−−−私は、間違っていたのだろうか。
誰もいない部屋。何もない空間。一人呟いたその言葉もまた、私を置いて行った者達と同じく、目の前で消えて行く。
−−−ならば、正しさとはなんだろうか。
自問自答。既に何度同じ問いを繰り返したのだろう。いつになれば答は見つかるのだろう。
その問いの答すら、見当もつかない。
−−−私は…どうすれば良いの?
今はもう存在しない人の名は、それだけで愛おしく。
その記憶は、それだけで胸の鼓動を早め。
その痛みは、忘れることを拒絶するかのように、増していく。
−−−………アレス。
悲しみを抱えたまま生きる気高く醜い守護者は、今日もまた審判の日を待ち続ける。