汝、欲しがり義妹を欲せよ
「殿下ぁ~、一緒にランチをしましょう!あ~、エリザベータ様、ネックレス古い~」
男爵令嬢が我らのランチに乱入した。あろうことか公爵令嬢のネックレスにまで文句を言っている。
業腹物だ。
だが・・・・
「スヒン男爵令嬢、これから政治の話もあるからつまらないと思うぞ」
「え~、マリアって呼んで下さい。ネックレスも政治ですよ~」
今は学生の身だ。学園では皆平等だ。
しかし、父上の時代は男爵家の者は学園でも恐縮していたと云う。
明らかに王の権威が下がっている。
理由は商業で成功した男爵家が台頭し無碍に扱うことも出来なくなった。
時代の流れかも知れない。
結局、この男爵令嬢はランチの1時間中、ネックレスとドレスの話ばかりしていた。
恫喝して退席させてもいいが、それでは新興勢力を敵に回す。
策とは如何に目に見えないで施すのが最良なのだ。
側近候補達と相談した。
「殿下、広く人材を集めるべきでございます」
「そうです。税金を取る方策を募集しましょう」
「うむ・・・」
原因は国税である売上税が誤魔化され続けていることだ。
ある一定の売上げがあったら、領収書に印紙を貼る法律だが、皆、守らない。
客も領収書に頓着しない。
これでは税金のかける売上げは商会の言いなりになっていた。
人材を求めた。
だが、皆、似たり寄ったりの意見だ。
「法律を厳しくしましょう」
「役所を新設して商会を監視するのです」
「うむ・・・・」
広く同じ意見を集めることになった。
「なら、試験だ。アカデミークラスの試験を出し。賢者殿に二重三重の面接を行ってもらい。残った者を取り立てるのだ」
「「「はい、殿下」」」
そして、残った者が・・・
「ほお、気難しい賢者殿たちが推薦状を書いたとな?」
「はい・・・そうですが・・」
「会おう。学園生か?」
「いえ、平民です」
「男か?」
「いえ、女です」
「して、年齢は?」
「五歳です」
「ビクター、疲れてないか?二十五歳の間違いだろう」
「では、殿下、ご自分の目で確かめて下さい」
面会室のドアを開けたら・・・・
「はじめましてなの~、メアリーちゃんなの~」
「ミャア!」
何か、猫を抱えた幼女がいた。
孤児メアリー、それが初めての出会いだった。
「ビクター、これはない。飴玉でもあげて、後はお前が対処せよ」
「はい、畏まりました」
「はにゃ?殿下、メアリーの政策を聞くの~、皆、喜んで税金を払うの~」
ドアを閉めた。
このことをすっかり忘れていた。
数ヶ月後くらいから、男爵令嬢がランチに乱入しなくなった。
抗議されるようになった。
「ヒィ、殿下、ヒドいです。今まで見逃していたのに、税金をきっちり取るなんて」
「スヒン男爵令嬢、何を言っているのか?」
「嫌ですよ。とぼけて、ウワ~ン」
泣いて逃げて行った・・・・
父上から呼び出しを受けた。
「ダグラスよ。でかした。商業税が今期1.5倍になったぞ」
「えっ、私は何もしておりませんが・・・」
「とぼけるな。才媛を召し抱えたと聞いたぞ。ビクターが中心になって動いている。広く人材を求めるなど、出来そうで出来る事ではない」
「はあ・・・」
その時、急報がもたらされた。
「陛下、暴動でございます」
「今度は何か?」
「今度も税金払え暴動です」
民衆が税金払えと商会を襲っている?
「スヒン商会が襲われています。騎士団を派遣いたします」
「くれぐれも民衆を傷をつけるな」
「御意」
私も騎士団についていき暴動のあらましをみた。
民衆は口々に不満を言う。
「この商会でネックレスを買ったけど、領収書をくれなかったわ!」
「ヒディ、俺たちの暮らしを守っている税金だぜ!」
「商会長釈明せよ!」
・・・本当だ。税金払え暴動だ。こんなの他国に例を見ない。
「おお~い、抽選会が行われるぞ!」
「行こうぜ!」
民衆が移動した。
まるで暴動を抑えるためのようだ。
それは市場の一角で行われていた。あの時の幼女とビクター達がいた。
「ビクター、何をしている?」
「はい、殿下、『後はお前に任せる』と言われたのでメアリー嬢の策を実行しました」
「・・・うむ」
連絡ミスか・・・
幼女と猫が壇上に上がる。
「皆しゃま、これから抽選会を行うの~、良い子の皆は暴動を起さないの~」
「ミュア!」
「「「「はーい」」」」
四つの風車をクルクル回し弓でいる。風車には0から9番目での数字が書かれている。
そして、四桁の番号が出る。
「下四桁が1240のお友達が当選でしゅ。金貨をお受け取り下さいなの~」
「ニャアアアアーー!」
「「「はい!」」」
「この抽選が出来るのは税金をきっちり払ってくれている商会があるおかげなの~」
「「「「はい!」」」」
「でも、まだ払わない商会があったらこっそりメアリーかビクターしゃんに教えて欲しいの~」
「ニャア!」
「「「任せろ!」」」
何だ。収入印紙に番号が書かれている。
毎年1月1日でリセットされる。
その番号を富くじみたいにしたのか?
「殿下、成功したの~、メアリーちゃんにご褒美欲しいの~」
「ニャア!」
「そうか、何を望む?」
「エリザベータ様の義妹になりたいの~」
「公爵令嬢になりたいのか?」
エリザベータのアレクサンドラ公爵家と協議して義妹にした。
「メアリー嬢、何故、身分を欲する?」
「品格は金で買えないの~、幼少の頃からエリザベータ様に欲しがりして叱られて躾けてもらいたの~」
「ニャア!」
「それは意味が分からない」
だが、成功しても品のない者はこれから先もないか。この幼女は分かっているのか?
こうして、メアリー嬢はエリザベータに欲しがりして。
「欲しーの。欲しーの。欲しーの」
「ダメですわ。これは公爵家総領娘の証の扇ですわ」
「なら、廉価版が欲し~の。エリザベータ様の真似をしたいの~」
「まあ・・・それなら」
義姉妹仲良くやっている。
「殿下、次は貯まったお金の使い方なの~、お金をグルグル回す方策なの~」
「ああ・・・・」
義妹メアリーはペロペロキャンディーを手に会議に出席し幼女らしからぬ策を述べている。
「お金は天下の回り物なの~、公共事業を興して民にお金を還元して税金を取るの~」
もう、私は諾と言うしかなかった。
最後までお読み頂き有難うございました。




