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フランケンシュタイン

 それは不気味だった。モルタルの壁に囲まれているような無機質な恐怖を見せた。かと思えば、大木を抱いているような有機的な安心感をもたらした。俺は長い間それを見上げていて首が疲れてしまった。3歩後ろに下がってそれを見てみる。大体15ヤードくらいはあった。そして人型だった。いや、人型というにはいささかバランスが悪かった。まず肩幅が異様に広い。そのくせ蹴っ飛ばして折ってやりたいくらい四肢が細かった。

「危ないからウロウロするんじゃねえ」と野次がどこからか聞こえた。俺はさらに後ろに下がってシャッターを背にしてそれを眺めることにした。視野が広くなって今気づいたが、その不気味さは倉庫に充満していた。

 それの最大の不気味さは用途がわからないところだ。おそらくは兵器である。頭部にあたる部分に薬莢を装填しているところを前に見た。しかし仮想敵がわからない。これが大変な恐怖だ。いつ俺に牙を向けるかわかったもんじゃない。しかし人は人を殺すのに15ヤードも手足を拡張する必要はないだろう。そう考えているとボスから「少しこっちに来い」という司令が飛んで俺はシャッターから背を離した。

 俺はコックピットに乗せられた。席がフカフカだった。意外と座り心地が良い。ボスはそれを動かせといった。俺はマイクテストを兼ねて、コックピットから思いっきり罵倒してやった。動かせと言われても動かし方を知らないのだ。戦車や戦闘機のように人が乗って戦うものらしいが、二足歩行でそれらの兵器の機動性を上回ることは不可能だろう。ますますわからなくなった。

 俺はこう結論付けた。これはこれと似たような兵器との白兵戦を想定して作られたものなのだ。ヒトは他のサルとの戦いに勝つためにヒトガタになったのだ。これも他のサルに勝つための最適な形であるのかもしれない。ではここでいう他のサルとは何なのだろうか。そんなのは皆目わからない。結局ただ問題を先延ばしにしただけだ。

 最後に1つ不気味な点がある。これは個人的なことだ。倉庫のやつらはそれをフランケンシュタインと呼んでいた。なるほどフランケンシュタインとは俺の名だ。偶然にせよあまり気分は良くないよね。

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