法律
魔法使いたちは一枚岩ではない。
彼らは自らを「観測者協会」と呼ぶ。
星が落ち始めた時代、世界が崩壊しかけた後に生まれた組織だ。
目的はひとつ。
星を管理し、世界を安定させること。
だが、その「安定」の定義が違う。
第一派閥:規律派
星は必ず誰かに拾わせ、魔法に変換すべきだと考える。
魔法は危険だが、管理された危険なら制御できる
星片(光らない星)は不完全な失敗作
魔法を使えない人間は、星に近づくべきではない
彼らにとってレイは、
規律の外に存在するバグだ。
炎の男は、この派閥の下級執行官だった。
第二派閥:保存派
星は使うものではなく、記録し、眠らせるものだと主張する。
星は願いの化石
魔法は最終手段
星片も含め、すべて保存対象
彼らはレイに興味を示す。
「選ばれなかった人間が星を拒まれなかった」
――それは、記録に存在しない事象だから。
第三派閥:沈黙派
公式には存在しない。
星が「役割」を拒んだとき、
世界は一度、滅びかけた。
その原因を作ったのが、この派閥だと言われている。
星は世界を試している
魔法使いは使い捨て
真に危険なのは、星を選ぶ“意思”
彼らは理解している。
レイが危険なのは、
魔法を使えないからではない。
星に役割を与えず、保留できるからだ。
協会の中枢、円卓会議。
眠らない魔女の名前が、久しぶりに議題に上がる。
「まだ生きていたか」
「いや、あれはもう人ではない」
「星を見続けすぎた存在だ」
そして、少年の報告。
魔法を使わない
星片を保持
魔法干渉を拒否
沈黙が落ちる。
やがて、誰かが言う。
「……もし、あの少年が星を“役割にしない”選択を続けたら?」
答えは出ていた。
世界は、
魔法によって支えられている。
ならば、魔法を前提にしない存在は――
世界そのものを揺るがす。
その夜、観測者協会は決定を下す。
星の空白は
観測対象から、排除対象へ移行する
追手が動き出す。
眠らない魔女は、遠くでそれを感じ取り、
レイにだけ聞こえる声で呟いた。
「やっぱりね……
世界は、選ばれない存在に一番怯える」
そして彼女は、初めて“逃げる準備”を始めた。




