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星の正体

この世界では、空に浮かぶ星はただの天体ではない。

それらは「願いの抜け殻」だと、古い書には記されている。

人が強く何かを望み、叶わず、諦めきれなかったとき。

その感情は夜空へと昇り、やがて冷えて星になる。

星が落ちるのは、願いが再び地上へ戻ろうとするときだ。

拾った者の中で、

願いと心の形が噛み合った者だけが“魔法”を得る。

だから魔法使いは皆、

自分の魔法に似た後悔を抱えている。

炎を操る者は、守れなかった何かを。

治癒を使う者は、救えなかった誰かを。

未来を視る者は、選ばなかった過去を。

だが――

すべての星が、魔法になるわけではない。

光を失った星。

願いの形を保てなかった星。

そして、自ら人を拒んだ星。

それらは「星片」と呼ばれ、

魔法使いでは扱えない。

眠らない魔女は、それを知る数少ない存在だった。

「魔法はね、“できること”じゃない」

彼女は言う。

「“縛られること”なの」

魔法使いは星に選ばれ、

星に役割を与えられ、

その役割を終えるまで、星から逃げられない。

だから彼女は眠らない。

夢を見ると、星の声が入り込むから。

そして、魔法を使えない人間――

レイのような存在だけが、

星を“道具”としてではなく、

選択肢として見ることができる。

「君は壊せるし、守れる」

魔女はそう言った。

「星の運命ごとね」

森の奥で冷えた星片は、

まだ何者にもなっていない。

魔法でも、災厄でも、希望でもない。

それを決めるのは、

選ばれなかった人間の手だけだった。

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