第16話 胸の底で軋むもの
今日は思った以上にやることがたくさんあったように思いました。
パーっと解放されてみたいなって感じでした。
今日も駄文にお付き合いください。
今日は寝坊をした。
正確には、目は覚めていたのに布団から動けなかった。
身体の重さではなく、意思の輪郭が曖昧なまま、
時間だけが自分を置いて進んでいくような朝だった。
10:45から授業がある。
この授業は定期的に休講になるので、今日も休みだろうと思っていた。
しかし10:00に「実施します」と通知が来た。
――飛び起きる。
あんなに素早く動いたのは久しぶりだ。
なんとか間に合ったが、授業自体はつまらなかった。
頭に何も入ってこない。
ただ座っていた。
時の流れに同乗しているだけのような、そんな45分だった。
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3限。
例のあの吐き気が、僕を突然襲った。
波のように来るのではなく、胸の奥に不吉な塊が「そこにいる」と主張するように重く鎮座する。
しんどい。
つらい。
息が浅くなる。
集中などできるはずもなく、ただ耐えるだけの時間だった。
そんな中で、彼女に会えた。
その瞬間だけ、不快感が薄らいだ気がした。
彼女と交わした短い言葉の数秒が、今日唯一の救いだった。
けれど、胸に巣食う不吉な塊は消えず、ただ奥へ潜り込んだだけだった。
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3限が終わり、15:00からバイト。
いつも通りに振る舞えたと思う。
「大丈夫そうだね」と言われる程度には。
仕事は淡々とこなした。
機械のように正確で迅速に。
17:00定時。
急いで喫煙スペースに向かいタバコを吸う。
しかし、煙を肺に入れても、この胸に突き刺さるような不快感は取れなかった。
俺は死にたいわけではない。
でも、「死にたくなる感覚」は確かにあった。
これは僕が感じている。
僕の声だ。
俺ではない。
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夜は友人と会う約束があった。
気分は重かったが、会えば何か変わる気がしていた。
最初は、お互いの体調の話をした。
その後、卒論のこと、大学院のことを語り合う。
相変わらず俺の胸の奥には不吉な塊がいたが、
話すうちに表情が緩む瞬間もあった。
心が少しだけ温まったところで、
つい口に出してしまった。
「俺、例の彼女に告白して振られたんだよね。でも今は仲良くできてる。」
友人は驚きつつも、静かに聞いてくれた。
そこから俺は惚気を話し続けた。
一緒に彼女の家で長く話したこと。
よくご飯を食べること。
考えが噛み合う時の幸福感。
話している間は、不吉な塊が少し薄くなった。
人に話すことで、胸の重さが少し移動するのだろうか。
気づけば21:00になり、大学が閉まる時間になった。
その帰り道、はっきりと気づいた。
――彼女は、俺にとって、生きる希望なのだと。
その瞬間、心が明るくなるはずだった。
しかし同時に、恐怖が影を作った。
希望が特定の一点に集中するほど、そこが消えた時のことを考えてしまう。
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22:00を過ぎ、寝る体制に入る。
すると再び、胸の奥が軋み始めた。
不安が芯にある。
吐き気が喉を押し上げる。
胸が苦しい。
呼吸が浅くなる。
ストレスなのだろうか。
だが、何がストレスなのかわからない。
わからないことが、さらに不安を煽る。
自分が何を気にしているのか、
僕は正確に把握できていない。
俺なら冷静に分解するだろうが、俺はもう表にいない。
「嘘も方便」という言葉がよぎる。
方便とは、相手のための嘘だ。
だが今の僕は、自分自身に嘘をついているような感覚がある。
自分に嘘をつくから、本当がわからなくなる。
本当がわからないから、胸がさらに苦しくなる。
胸の不安は、やがて心臓の痛みに変わっていった。
身体がボロボロになっていくような気さえした。
今日もまた、俺と僕のバランスは不安定で、
世界は少しだけ傾いて見えた。
夜になると心細い僕が現れるようになりました。
せっかく俺がいて、やっと自分に統合されたように思えたのに、結局のところ、僕はこうやって、辛い思いを抱えているんだなって思いました。
明日もまた駄文にお付き合いください。
今日も最後までありがとうございました。




