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第13話 軸の揺れに名前をつけるなら

遅くなりました。

昨日も帰りが遅くて、投稿する前に寝てしまいました笑

今日も駄文にお付き合いください

 昨夜のことを思い返す。

 突然、何かが胸の奥で破裂したように、パニック症状が襲ってきた。

 呼吸が浅くなり、心臓の鼓動が軋むように早くなり、吐き気と寒気が波のように押し寄せる。

 あの瞬間だけ、俺でも僕でもなく、ただ無防備に怯える“誰か”になっていた。


 その余韻が消えないまま迎えた朝。

 演習は12:30からだったはずなのに、気づけば12:00を過ぎていた。

 完全に油断していた。

 オンラインで良かった、と心から思った。


 目を擦りながらパソコンを開き、教授の声を聞く。

 しかし、半分以上は意識の外へ流れていった。

 ただそこに座っているだけの、空っぽな僕がいた。



 今日の演習には、例の友人――俺が片思いしていた相手――がいた。

 彼女が画面に映るだけで、俺はゆっくりと戻ってくる。

 僕の不安の影が、少しずつ薄まっていく。


 気づけば演習は15:00まで長引き、

 終わる頃には微妙な疲労と、どこかの期待が混ざった感覚が残っていた。


 演習後、彼女と連絡を取っていた。

 言葉を打つのがだるくなり、電話に切り替えた。

 声を聞くと、言葉は滑らかに流れていく。

 その流れで「ご飯行く?」と自然に誘いが決まった。


 三連休の初日。

 俺には予定がなかった。

 だからこそ、この誘いが心の中心を温めた。



 食事をしたあと、ドーナツを買って、彼女の家に向かった。

 他愛もない会話から、小さな冗談まで、ゆっくりと積み重なり、

 最終的には哲学の議論になった。


 話していて思った。

 まるで恋人のような時間だ、と。


 彼女は言った。

 「最近、あなたに好意を持ち始めてると思う」

 それだけで胸が熱くなった。


 でも彼女は続ける。

 「でも今、やらなきゃいけないことが多くて……終わったらちゃんと考えたい」


 理性と欲求の綱引きが、その一言に全部詰め込まれていた。


 22:00を過ぎた頃、帰ろうとした俺を、彼女は引き止めた。

 あれは、理性よりも欲求が勝った瞬間だったのだと思う。

 俺自身も同じだった。


 気づけば23:00をまわっていた。

 帰り際、彼女は少し寂しそうにドアを閉めた。



 一緒に作業をしようと提案した時、

 彼女は「一緒にいると、くっついていたくなるから無理」と言った。


 その言葉は妙に現実的で、妙に可愛らしかった。

 個人の部屋というプライベートの密度は、人間の欲求を増幅させる。


 思い返せば、大学で一緒に過ごしていた日は、お互い別のことをしながらでも作業が進んだ。

 だから、二人でいることと作業の両立は不可能ではない。


 ただ、場所が違う。

 関係の温度が違う。

 だから欲求が勝つ。

 彼女の言葉は、人間性の正直な部分をそのまま見せていた。



 ふと、二年前のことが頭をよぎった。


 あの頃、俺(いや、多分“僕”だった)は余裕がなくて、

 当時の彼女を半ば放置する形で研究に集中していた。

 怒らせたのは当然だった。

 自分は不器用で、ひとつのことにしか集中できなかった。


 今、同じ過ちを繰り返す気はない。

 俺は、かつてよりずっと成熟している。

 やるべきことはやる。

 余った時間で人のために動く。

 そのスタイルは崩さない。


 でも、今の自分の軸はどこにあるのだろう?


 卒論は終わった。

 院試の英語は研究とは関係がない。

 やりたい研究もあるのに、今はその状態にない。


 ――俺は、どこに重心を置いている?


 きっと、本当の軸は研究なのだと思う。

 だからこそ、彼女のような人なら、恋人と研究を両立できるのではないかと

 密かに期待しているのだろう。


 俺にはできなかったことを、

 彼女ならできるのだと。



 深夜、帰り道を歩きながら思った。


 俺は一度彼女に振られている。

 それなのに、今こうして隣にいられていいのだろうか。

 幸せを感じてもいいのだろうか。


 ――答えは、たぶん「いい」だ。


 人は過去の失敗を、未来の幸福の根拠にする必要はない。

不器用だった僕も、慎重な俺も、今日の彼女も、全部が“今”を作っている。


 そして今日の俺たちは確かに幸福だった。


 歩きながら、ふと気づく。

 軸は研究かもしれない。

 でも、支えているのは人だ。

 彼女との関係は、無意識に俺の中の重心を変えつつある。


 そんなことを考えながら、静かな夜を帰った。


 今日の俺は、たしかに生きていた。

 僕も俺も、どちらもほんの少しだけ

 幸福の方向へ傾いていた。


今日(昨日)は個人的にはとても充実した一日だったとおもいます。

今日は夜にも投稿する予定ですので、また駄文にお付き合いください。

今の自分には、やることも、やりたいこともあります。

人生を歩んでいる実感があります。

生きる希望がなかった頃なんてなかったかのように、希望に満ち溢れた人生だとおもいました。

今回も駄文にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

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