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第0話
俺は、祈るような気持ちで、仲良さそうに歩く二人の後を追っていた。
そして、見てしまった。
――柚希が、他の男とホテルへと入るところを。
時間が止まった。俺の知っている柚希じゃない。そう信じたかった。ずっと信じていたかった。
だけど、目の前の光景が、全てを否定する。
胸の奥に、冷たい刃が刺さったような痛みが走った。肺に空気が入らない。膝から下の感覚が、じわじわと遠のく。
(……終わったんだな。)
何かを叫ぶ気力も、問い詰める気力もなかった。ただ、絶望だけが、そこにあった。
――けれど。
「……このままじゃ終われない。」
誰に向けた言葉なのか、自分でも分からない。
だけど、それを口した瞬間、胸の奥で何かが弾けた。このまま沈むなんて、冗談じゃない……!
もう、信じるものなんてないのなら、俺は俺自身のために生きる。
裏切られたなら、這い上がってやる。絶望の底から、自分の力で。
俺は、一歩前へ足を踏み出した。
すべてを塗り替えるために。
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