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転生したゲーム世界で脇役キャラなのにヒロインに好かれた俺は、なぜか現実世界でもモテまくる  作者: 波瀾 紡


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【第40話:ユイカにバレた】

 次の休みの日に、レナとハルルと三人でケーキを食べに行くことになった。


 学園でも評判の美少女二人とデート?

 誰もが羨むシチュエーション?


 普通ならばそうだろう。だけど二人の間で板挟みになっている俺にとっては、どうなるか不安でしかない。


「うーむ……」


 帰宅後。居間で難しい顔をして唸っていたら、妹のユイカが声をかけてきた。


「どうしたのお兄ちゃん」

「べ、別になんでもない」


 美女二人の板挟みになって悩んでいるなんて、ユイカに言えるはずもない。

 そんなこと言ったら頭がおかしくなって妄想が暴走してると思われる。


「レナさんのことでしょ」

「ふぁわっ……つつ」

「ほらやっぱり」


 バレた。なんでわかるのか。


「なんでわかるのかって顔してるね」


 言い返す言葉もない。

 だけどそれでも、ユイカには何も言わないでおく。


「どうしたのお兄ちゃん。レナさんにフラれちゃったんでしょ」

「違う」


 しまった。真逆のことを言われて、つい反論してしまった。


「じゃあなによ」


 妹は覗きこむようにして、間近で俺の目を見つめる。

 何もかも見透かされるような気がする。


「いやいいよ。言ってもどうせユイカは信用しないだろうし」

「そんな気になる言い方されたら、余計聞きたい。信じるから言ってよ!」

「わかったよ言うよ。次の休みの日にレナと、もう一人ハルル・シャッテンっていう女の子と三人でケーキを食べ行くことになった」

「ハルル・シャッテンって聞いたことある。高等部で一番可愛いって評判の人だよね?」

「まあ、そうだな」

「ふぅーん……お兄ちゃんが無理やり誘ったの?」

「いや、最初はハルルが俺を誘ってきた。そして俺が行くよって言ったら、レナが『じゃあ私も行きたい』って言いだした」

「はい、お兄ちゃんの嘘つきっ!」

「ほら、やっぱ信頼しないじゃないか。ユイカこそ嘘つきだろ!」


 ユイカじゃなくても、こんな話は誰も信用しないだろう。それはわかる。

 だけどついさっき信じるからって熱心に言うから教えたのに、妹の手のひら返しにムカついた。


「ふぅーむ……その怒り方だと、どうやらマジバナみたいだね。お兄ちゃんすごいじゃん!」

「え? 信じてくれるのか?」

「この前レナさんの実物と合わせてくれたからね。実はあたし、お兄ちゃんをちょっと見直してるんだよね」

「おお……」


 あの毒舌家がこんなことを言ってくれるなんて。

 お兄ちゃんは嬉しくて涙が出そうだぞ妹よ。


「それに……」

「それに、なに?」

「あ、いや。なんでもない。そんなラッキーなシチュで、なんでそんなに難しい顔して悩んでるのさ?」


 これは……彼女たちとどう接したらいいか、何かヒントが得られるかもしれない。


「実は……二人とも俺に好意を持ってくれてるみたいなんだ。だから一緒に出かけたりしたら、二人の嫉妬で板挟みになりそうで怖い」

「ふぅーん……学園で評判の美女二人がお兄ちゃんに好意ねぇ……」


 やはり、さすがにこれは信じてもらえないか。


「まあさすがにここまでは、ユイカも信じれないかもしれないけど、本当のことなんだ」

「信じるよ」

「へ? なんで?」


 あまりに予想外の返答に、間抜けな声が出てしまった。


「だって最近のお兄ちゃん、以前と違ってとても魅力的だと思うんだ……」


 目を伏せ、恥ずかしげに呟く妹ユイカ。

 俺の……いや、ユーマ・ツアイトの人生の中で、妹からこんなことを言われたのは初めてだ。たぶん。


 もしかして『魅力チャーム』のステイタスがカンストしたおかげか。


「ありがとう……」

「あ……いやいやいや。つい言っちゃったけど、今のは忘れて!」

「言い間違えたってこと?」

「そうじゃなくて、ホントにそう思ってるけど、恥ずかしいじゃん」


 わちゃわちゃと両手を顔の前で振るユイカ。

 今まで生意気で兄をディスることばかり言っていたヤツだから、ギャップが──可愛いぞ妹よ。


「……で、何かアドバイスないかな?」

「コホん。そうだね」


 妹は自分を落ち着けるように、咳ばらいを一つしてから話し始めた。


「レナさんって生真面目な性格のせいで、思い込んだらのめり込んじゃうタイプだと思うんだよね」

「なるほど。納得できる」

「だから目の前で好きな人が他の女の子と仲良くなんかしてたら、嫉妬の嵐が吹き荒れるかもね」


 そうなのか……ちょっと怖い。


「ハルルさんは噂によると、自分に自信があって積極的。なかなか諦めない性格でグイグイ来る人らしいよ」


 なるほど……それもちょっと怖い。


「だから三人でお出かけなんかしたら、ハルルさんがグイグイ寄ってきて、それを見たレナさんが嫉妬して、下手したらヤンデレ化する。お兄ちゃんは大変な目に合う──なんてことが起こり得るのであーる」


 ──あーるじゃないだろ。

 おどけた言い方してるが、話の中身は俺にとって恐怖しかない。


「じゃあ俺はどうしたらいいんだ?」

「お兄ちゃんは二人のどっちが好きなの?」

「え?」

「自分の気持ちをはっきり伝えるのがいいと思う」

「どっちが好きかと言われても……」


 そう言えば、俺はレナとハルルのどっちが好きなんだろう?

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