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班長晴明

先ほどの戦闘以外は特に目立った敵対生物は現れず、無事に目的地に着くことができた。

「晴明隊士、先ほどは見事だったよ。あんな式神を連れているなんてすごいんだね。」

副隊長直々に声を掛けられて晴明としてはやや気恥ずかしい感じがする。その脇で怪狸かいりがやっぱり誇らしげにしているのであった。だがその分周囲からは嫉妬や妬みのような目で見てくるものもいる。船上でもあまり危機感を持たなかったリーゼントを決めた男もその一人であった。

「ここからはそれぞれ分かれて進むことになる。同じ船に乗っていたメンバーが調査隊だから、情報源であるキミが班長となって率いてほしい。」

(…率いる!?小学生のオレが!?誰もついて来ないんじゃないか?)

そう思っていても、上役から言われれば『ハイ』と言うしかない。まあそこまでパワハラ的に強要する感じでもないので、無理と言えば誰かが変わってくれるのだろうが、状況を考えれば適任だろう。そもそも穴が開いていると発言したのは怪狸かいりであり、誰も肉眼でその穴を見ていないのである。

「ちなみにひとつ確認ですが、あの着膨れした隊士もこちらで行動を共にするんですか?」

名前も聞いていないので容姿をそのまま伝えているが、悪口を言っている感じになってしまい申し訳なく思う。だが、名前も知らない人物で、顔も見えないため性別すら確認できないのである。晴明としては何かしらの説明が欲しいところだ。

(さっきの感じだと、本人からは自己紹介もしてもらえなさそうだったからなあ。)

するとチラリとその隊士の方を見て確認したあと、数秒悩んで出た返答がこちらである。

「ああ…彼女はほっといても大丈夫だから気にしなくていいよ。」

とりあえず女性らしい。


怪狸かいりのはじき出した穴予想地点まで徒歩で移動する。

索敵は常に展開し、見つけ次第遭遇する前に各個撃破していく。チームメンバーは敵対生物を目視で確認していないため、晴明と着膨れた女性以外はまるで観光地でピクニックのような状態である。

「…完全に周りが腑抜けてますが、外は地獄って忘れてますよね、あれ。」

怪狸かいりが危機感が感じられないメンバーをジト目で見て呆れている。もこもこガールは一番殿しんがりを担当し、晴明が式神や護符を用いて敵を倒していることを知っていて動いてくれているようだ。やはりかなりの実力者なのだろう。

とにかく敵が多くなっていると言うことは、目的地に近付いていると言うことである。

敵と言っているが、見たこともない動物と言った方が正解だろう。どうにも知能を持った生き物という感じではない。

怪狸かいり、結界の核となりそうなものの見当はついたのか?」

晴明の任務の最上位は結界の構築である。本当は穴まで行かずとも、結界で再封印できるならそれに越したことはない。

しかし怪狸かいりの首は申し訳なさそうに左右にふるふると振れるのであった。

「色々と見たのですが、もしかするとその辺に転がっている石のどれかなのかもしれません。その辺の石だとするなら晴さまのご期待するような再封印は叶わないかと。」

怪狸かいりのしょぼくれた頭をポンポンとしながら労っておく。どれだけ頑張ってくれたのか、近くで見ていた晴明が一番知っているのだ。


「晴さま、穴の予測地点まで100メートルほどです。」

そんなに大きい穴が開いているなら、もう確認できるほどの距離に来ていると思うのだが、ここからでは見えない。穴と言う認識で合っているのか疑問になってきたとき、先頭を索敵してくれている護符の気配が一気に消えたのだ。つまり最低でも100メートル先にこれまでよりも強大な敵対生物がいることになる。

「全員戦闘態勢!この先にかなり強力なモンスターがいると思われます。」

晴明がピクニック気分の隊士に注意を促す。しかし隊士たちはそれがどうした?と言った雰囲気である。終いには一人の女性隊士の一言である。

「でも晴明くんの龍が全部倒してくれるんでしょ?」


「…は!?」


自分よりも10個ほども上の人物からの他人任せな一言に、さすがの晴明もイラッとしてしまう。ここまで守られてきたことにも気が付かず、危険が迫っているかもしれないと警告してもこの言い草であれば、こいつらは一体ここに何をしにきたのだろうか?なんの役にも立たないお荷物をわざわざ敵の本拠地にキャリーしてきた意味はなんなのだろうか?…そう考えていたときには晴明の口が先に動いていた。

「あの龍は水の中でしか活動できない水龍すいりゅうです。もちろん宇曽利湖うそりこで今も現れたモンスターを狩ってくれています。オレはすでに上陸してからあなたたちの前に立ち、索敵をしながらあなた方が気づく前に多くのモンスターを狩ってきました。後ここから100メートルほどで目的地に着きます。そんな状態で今までモンスターを狩ってくれていた護符が一気にやられました。ここまで言っても分からないようならどうぞそのまま勝手に進んください。オレは観光地のガイドではないので。」

やや早口で捲し立てて話すと、状況がのめた先ほど発言した女性が青くなり始めた。だが小学生が何を言ってもやはり理解しようとしない奴は残念ながら一定数はいるのである。

「なるほどなるほど?つまりは今までぼくちゃんがザコ狩りを頑張ってたけど、強いのがいるから手伝ってってことでしょ?俺の力を借りたいならお願いしてくれなくちゃさ!逆ギレとか良くないんじゃない?」

見るからに悪ぶった感じで金髪リーゼントの男が噛み付くように前に出てきた。船に乗っている時からふざけた態度で小学生の晴明に対して舐めた態度を取り続けてきた相手である。しかも残りの女性隊士2人にちょっかいを出すちゃらけた態度で、怪狸かいりはブチ切れ寸前で式神に湖に引きずり込んでもらおうなどと本気で言っていたのだ。しかし、どんなにイキがったところで理解していないやつを晴明が相手をする時間はない。ではどうぞご勝手にと言わんばかりに華麗にスルーして一番後ろのもこもこガールのところに進む。

「キミにはお願いがある。結界の元になっている、またはなっていただろうものを探すのを手伝って欲しい。周辺の敵はある程度一掃する。協力してもらえないだろうか?」

隣で先ほどまでのやり取りを面白くなさそうな顔で見ていた雪菜が、晴明がイキリボーイを無視してこちらにきたことでニンマリしている。もこもこガールは相変わらず表情は見えないが、小さくコクリと頷いてくれた。

(よし!とりあえず少数ではあるけど戦力はゲットできたな。使えない奴らは自分らである程度戦ってもらって、とにかく結界の構築のヒントを集めなくちゃ。)

自分のやるべきことを把握して最適な行動をする。晴明はこの状態で使える人材を把握して指示を出し、使えない人材は未知のモンスターとの戦闘に当てようと考えていた。

(ザコ狩りとか言うならやってもらいましょう!)

晴明が元の位置に戻ろうとした時、先ほど無視されたリーゼントが突っかかってきた。

「なんだおめーは?無視するとか小学生のくせに随分と生意気じゃねーか?ああ?目上の人にはそれなりの態度で接しないといけないことも知らねーのか?」

完全にブチギレて胸ぐらを掴んでこようとしたのでサッといなしてやると、さらに逆上してきたのである。

流石の晴明も我慢の限界を迎える。

「…先に伝えておくが、この場で指揮系統を任されているのはオレだ。そしてそれを無視してあまつさえ邪魔立てをするのは隊律違反も甚しい。何か弁明はあるか?」

そんなことを言われて納得する頭脳を持っているなら最初から突っかかってなど来ないだろう。隣にいた女の子が止めようとしてくれているが、もはや制御不能のようだ。今にもこめかみに浮き出た血管がキレて血が出るんじゃ無いかというほどに頭に血が昇った状態になっている。

そして遂にはワナワナと震えながら刀を抜き、刀身に力を込めてから切り掛かってきたのである。こうなればもう晴明は容赦しない。だがこんなやつに抜くような剣は持ち合わせていない。自分の剣を抜くのももったいないと思ってしまう。

晴明は上段から振り下ろしてくる刀を半身で避けながら、リーゼントの鞘を掠め取り、そのまま脳天に一撃を入れたのである。一瞬の出来事で状況が理解できなかったようで、そのままの勢いで受け身もなく顔から地面に倒れ込んでいく。

リーゼントはなんで自分が倒れ込んだのか分からないが、周りを見渡すと刀の鞘を持った晴明が目に映る。再度振りかぶって向かっていくが、またしても気がつくと顔面を地面につけた状態で倒れ込んでいるのだ。そしてまるで動画を何度も再生しているように同じことを繰り返していく。周りはそれを見て怖くなってきた。

「もうやめて!なんでそんなになってるのに同じことを繰り返していくのよ!」

先ほど止めようとしてくれていた女の子が間に割って入るように止めに入ってくれた。「…何度も……?俺は何度も地面に顔をつけているのか?」

状況が追いつかないが、自分の顔から温かい液体が垂れてきていることに気が付いた。

「お、お前は…一体俺に何をしたんだ?」

ようやく状況が分かってきたようである。晴明はニヤリとしながら恐ろしい種明かしをしたのだった。

「オレがやったのはお前が向かってきた瞬間から地面に顔をぶつけた瞬間までの記憶を消したこと。そして軽くいなして顔から地面に落ちるように誘導しただけだよ。」

晴明は短期記憶をつかさどる大脳皮質の連合野から海馬に向けて一撃を入れていた。軽い脳震盪のうしんとうも起こしたことで、記憶の定着ができずに同じ行動をなん度も起こしていたと言うわけである。もはや能力を使う必要もないと言わんばかりの反撃を受けていたわけでる。

しかしリーゼントからすれば晴明の能力が記憶操作だと思ったことであろう。流石に恐怖を感じたようで一気にトーンダウンしたのである。

悔しそうにしていたが、忠告を聞くことを約束させて、晴明も矛先を下ろしたのだった。

サブタイトルをずっと考えていて良いのが思いつかずにここまできてしまいました。

(変なのはネタバレすぎるような気がしてしまって…。)

色々考えてとりあえず『〜最強である好きな娘を救うために最強を目指します!〜』辺りに落ち着きました笑

引き続きご愛読よろしくお願いします!あとできたらブックマークと評価もお願いします。

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