表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/17

◇2 原因

 ダンテ・ブルフォード。


 今回乗り移ったこの身体の持ち主、そしてブルフォード公爵家当主の名だ。


 この国、モルガスティ帝国の中にある4つの公爵家の一つである。と言っても、皇族の血が入っているのはそのブルフォード公爵家のみである為大きな権力を持っている。


 そして何より、彼は容姿端麗だ。


 権力を持ち、財力も溢れんばかりに所持し、しかも見た目も驚くほどいい。


 それだけ聞けば、何とも素晴らしい人物ではないかと思うだろう。だがしかし、それで騙されてはいけない。


 こいつの性格は本当にクソ。


 仕事はちゃんとやるやつだが、他に興味は全く無し。屋敷内も全く目もくれず使用人に適当にやっておけと言うだけだった。


 彼には婚約者、セピア・ルアニスト侯爵令嬢がいた。だが、これは親同士が決めた結婚。と言ってもこいつの親はもういないが。


 だがこいつは、ルアニスト嬢の事はガン無視。何かしらのパーティーにも行かず、どうしても行かなければならない皇室主催のパーティーであれば婚約者と行くのだが、挨拶してすぐ帰ってしまう。しかもそのルアニスト嬢を置いてだ。



「好きにしろ」


「ッ……」



 その一言を残して帰ってしまうのだ。


 さすがにさぁ、それはあまりにも酷すぎないか? 人間としてどうかしてるって。可哀想に、令嬢。……とは言えない。令嬢の方にもだいぶ問題があるからだ。


 まぁ、そんなクズの身体に入り込んでしまったわけだが、もうこうなっちまったもんはしょうがない。この身体で生活しなきゃいけなくなったわけだが、一つ難点がある。


 それは、昨日の事だ。


 実は昨日、皇室主催のパーティーがあった。当然公爵であるこいつも出席したわけだが、婚約者であるルアニスト嬢とは一緒に行かなかった。彼女本人がそう言ったのだ。いつもなら無理やりにでも一緒に行こうとしていた彼女がだ。


 こいつはそんな令嬢の不可解な行動に怪しむ事はしなかった。まぁ面倒だったのだろうな。


 でも、その答えはすぐに分かった。


 会場入りした公爵を、この国の第二皇子と一緒にいるルアニスト嬢が待ち受けていたのだ。



「私達の婚約、破棄させて頂きたいのですが」



 ざわつく民衆の中、彼女はそう言った。そして、第二皇子と婚約をすることにしたと言い出した。その言葉に公爵は、理由すら聞かずに……



「いいだろう」



 と、あっさり了承してしまったのだ。少しだけでも何かリアクションをしてやればいいものを。それか理由聞くとかさ。


 そんな公爵の態度にカチンときたルアニスト嬢はこう言い放ってしまった。


 そう、言ってしまったのだ。



「ッ~~~~この不能男ッッ!!」



 ……と。


 とても大きな声で。


 きっとあの会場にいた全員に聞こえてしまった事だろう。


 だがこの男は何の興味もなさそうな様子で、いつも通り主催者である皇帝と皇后に挨拶をし、帰っていってしまったのだ。


 何事もなかったかのように振る舞っているのでは? という訳ではない。本当に、何も思っていないのだ。むしろ婚約者という面倒な存在がいなくなり清々している。……マジでクソだな。どうしようもないろくでなしだわ。


 そんな事があり晴れて社交界で不能男認定をされてしまったわけだが、面倒臭いことこの上ない。誰かに会うたびこの人が不能男ねと思われてしまう訳だ。まぁ、今までこいつはあまり表に出なかったのが幸いだが。



「……まぁ、何とかなるだろ」



 としか言いようがない。


 とりあえず、もう一眠りしよう。さっきので頭疲れたし身体もだるい。これは最初から身体が疲れている事もあるのだろう。今後の事はあとで考えればいいか。じゃあ、おやすみ。



 もしよろしければブクマ、評価、ご感想などなどよろしくお願いします。特にご感想やレビューなどがあればとても嬉しいです。励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ