まほうつかい
天寿を全うした。
ボケることなく、病気も怪我もすることなく100歳で大往生。
家族に見守られて、幸せな最期だった。
気付くとワシは森の中にいた。
ここが極楽なのか?
生きている時と変わらない感覚。
若々しい身体。
気持ち良い風が吹いたと思った瞬間、目の前に半透明のボードが現れる。
「うおっ!」
心臓が止まるかと思った。
ボードにメッセージが流れる。
「おめでとうございます!
前世で天寿を全うされたので、
記憶を引き継いだまま異世界転生しました!」
なんだって?
ここは異世界なのか?
「ここはネオアースと呼ばれる星。
魔法が発達した世界です。」
ま、魔法…?
「ネオアースには危険な魔物が生息しています。
実力を磨いて、この世界でも精一杯生きてください。」
ま、魔物…?!
「チート能力を付けましたので
ステータスと言って確認してみてください☆」
チートか。
「ステータス」
音もなくステータス画面が現れる。
前世でやっていたゲームみたいなものだな。
名前 ーーー 15歳
レベル 1
スキル 氷魔法
名前がない。
それよりも15歳なのか!
レベルは1で、氷魔法というのがチートというやつか?
早速使ってみよう。
「氷魔法」
シーン
出ないし。
これはアレか。
イメージが大切なやつか?
丸い氷の塊を想像。
大きさはこれくらいで…
「氷魔法」
すると目の前にイメージ通りの氷の玉が。
これが魔法か。
感動していると、ガサガサッという音がする。
30センチほどのアメーバがこちらに寄ってくる。
きもっ!
これはスライムか?!
とりあえずこの氷の玉で攻撃だ!
凄い勢いで飛んでいくイメージ!!
するとイメージ通りに凄い勢いでスライムに命中。
弾けて動かなくなる。
ビックリした。
ホッとしていると、テッテレー!という効果音と共にレベルアップのメッセージ。
確認しようとすると、鴨の唸り声。
振り返ると、狼のような獣。
狼のようだが、二足歩行。
さらに手には剣と盾、革製の鎧まで着込んでいる。
コボルトというやつか。
先手必勝で先程のイメージで氷玉を発射。
が、盾に弾かれる。
多少は効いたか、コボルトは様子を伺っている。
氷玉じゃ無理か。
では氷の槍をイメージ!
発射!
が、今度は剣で弾かれる。
な、なんだと…?!
コボルトがニヤリと笑ったかと思うと正面から剣で切り付けてくる。
こ、氷の盾!!
ガキンッ!!
氷の盾越しにジリジリとコボルトと対峙。
何でいきなりこんな状況に…
冷静になれ、こんなところで死にたくない!
どうする?!
氷の玉も槍も効かない。
どうにかして相手を止めたい…
止める…
そうか!!
集中してイメージする。
コボルトの体内の血液を凍らせる…!
すると次第に力が抜けていくコボルト。
どうやらもう動けないようだ。
テッテレー!
メッセージボードを確認。
名前ーーー 15歳
レベル 4
スキル 氷の魔法
魔法の極意
レベルが上がって新しいスキルが。
イメージしていたのがよかったのか。
しかし、咄嗟に思いついたけど敵の体内の血液やら細胞を凍らせるって、対生物なら無敵なのでは。
氷の武器でチマチマ攻撃するよりも、相手の体内の裁判を凍らせる方が圧倒的に効率が良さそうだ。
ゴーレムみたいなのが出てきたら困るけど…