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43話 義妹のツンデレは悪化傾向?

 放課後の部活、今日も体育館には人集りが出来て、ざわついていた。

 きっと今回も俺と莉緒が目当てで集まったのだろう。

 自意識過剰とか決してそういうわけではないことだけは理解して貰いたい。

 考えられる理由がそれしかないのだから。


「今度はあの二人、アパートで暮らし始めたらしいよ?」


「まじかよ!そこまでして二人で生活したいのかよ」


「仲良いのはいいけど、それってほんとどうなんだろうね」


 話題に関しては分かっていたが、俺達がアパート生活を始めたことについてだ。

 相変わらず盗み聞きの上手いやつがこの学校には多いのか、あっという間に広まってしまうものだな。


「気になるならお前聞いてこいよ」


「な、なんで私が!」


「さっきからずっと知りたそうな感じで話してんじゃねぇかよ」


 お前らがいくら俺に話しかけても全力で拒否するからな。答える義務なんかないし。聞きたいなら莉緒に聞けよ。

 でも、だめだ。莉緒だと余計なことも話してしまう。


「でもそんなこと聞けるわけないでしょ!あんたが聞いてきなさいよ!」


「俺は別にそんなこと興味ねぇよ!」


 そろそろ聞こえないふりをしているのも飽きてきた。


「おい、そこの二人。聞こえないと思ってるなら別に構わないけどさ。俺は何も答える気はないからな?分かったか?」


 俺が言うとさっきまで威勢はどこに行ってしまったのか、二人は黙り込んでしまった。


「お兄ちゃん〜!そろそろ練習再開しないと〜!」


 水分補給をするために部室に行っていた莉緒が戻っていた。


「ああ、そうだな。集まっている他の連中もいいな!俺達のことをどうこう言うのは構わないが、それに関して一切答えないからな!分かったらさっさと体育館から出て行ってくれ!」


 俺が再び大声で怒鳴る。

 どうしてこうも毎回のように俺達が何か新しいことをすると周りの注目を集めてしまうのか不思議でしょうがない。

 

「……このあとの練習だけど、どうする?」


 莉緒が怒っている俺に対して優しく声を掛ける。


「お前に任せるよ。何したい?」


「お兄ちゃんと普通に試合がしたい」


「試合?俺とお前で?」


「うん!お願い!」


 莉緒が勝てる要素などこれっぽちもないのだが、俺は申し入れを受けることにした。

 しかしながら、手加減をするつもりはない。


「じゃあ、時間もないし始めるぞ。一試合だけだからな?」


「もちろん!かかってきなさい!」


 四十分後、先程までの莉緒の元気は見る影もなくなっていた。


「おい、莉緒。いつまで寝転がってんだ」


「……」


「おい、敗北者」


「誰が敗北者じゃ!」


 莉緒が涙目になりながら勢いよく起き上がった。


「なんだ、起きてたのか」


「起きてるに決まってるじゃん!」


「相変わらず弱いな、お前。それでよくもまあ俺に試合を挑もうと思うよな。逆に凄いと思うよ」


「別に弱いとか関係ないし!ただお兄ちゃんと試合がしたいだけなんだから!」

 

 赤くなった頬を膨らませた莉緒は横髪を指に絡ませる。


「そこでツンデレになる必要はあるのか?」


 試合がしたいだけなら別に前みたいに普通に言えばいいと思うし、


「私だって意識して言ってるわけじゃないし!なんか勝手にこういう口調になっちゃうだけなんだからね、勘違いしないでよ!」


 莉緒は体育館からそそくさと出て行こうとする。


「あっ、莉緒!着替え終わったら校門前にいろよ!一緒に帰るんだからな!」


「そんなの言われなくても分かってるよ!」


 莉緒は一瞬だけ振り返ったが、そのまま行ってしまった。

 そして俺も莉緒の後を追って体育館から出て行く。


「なんか今日の莉緒ちゃん、変じゃなかったか?」


「そうか?」


 部室での着替え中、詩音が俺に聞いてきた。


「いつもよりもお前に対して当たりが強いというかなんというか……そんな感じ……?」


「気のせいだろ?莉緒待ってるから俺は先に帰るぞ。じゃあな」


 俺が校門へ着くと莉緒が待っていた。

 着いて早々だが、何やらご立腹のご様子だ。


「お兄ちゃん遅い!十分も待ってたんだけど!?」


「すまんすまん」


 お前の方が十分近く前に体育館を出て行ったのだから遅いのは当たり前のはずだと思ったが、俺は口に出さなかった。

 俺は怒っている莉緒の頭を軽く撫でる。


「撫でたくらいで許してもらえるわけないでしょ!罰として帰り道にアイス奢ってね!」


「ご飯前だぞ?いいのか?」


「買って帰るに決まってるじゃん!風呂上がりに食べるんだよ!それくらい分かるでしょ?」


 ムッとした表情を見せる莉緒。


「分かったから。そんな顔しないでくれよ」


「じゃあアイス二つ追加ね!」


「なんで増えてんだよ!」


「お兄ちゃんが悪いから!」


「俺何も悪いことしてなくない!?」


 気のせいだろうか。なんだか俺に対して理不尽すぎないか。


「ほら!早くコンビニ行くよ!」


「いやいや!その前に俺が何悪いことしたのか教えろよ!」


「そんなの教えてあげるわけないじゃーん!自分で考えなよ!」


 俺の先を行く金髪ツインテールの妹は振り向き様に笑顔を見せた。

 その笑顔はここ最近見た中でも一番の可愛さだったと思う。 

 しかし、今日の莉緒の様子がいつもと違うのは明らかだったのかもしれない。

43話、読んで下さりありがとうございます。続きを読みたいと思って頂けましたらブックマーク登録、評価よろしくお願いします。

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