森の魔物と少女の覚醒
朝の光が柔らかく森の木々を照らし始めた。ミリアとリナは依頼を受けて、深い森の入り口に立っていた。空気はひんやりと冷たく、緊張感が漂っている。
「ここが依頼の場所か……」ミリアは静かに呟き、杖をしっかりと握った。
「魔物の痕跡があるっていうから、気を抜かないでね」とリナも身構える。
森の奥からは時折、奇妙な鳴き声が聞こえ、足元の落ち葉がかすかに揺れた。まるで何者かがこちらを見ているかのような錯覚に陥る。
「ねぇ、ミリア……なんだか胸がざわざわするよ。気のせいかな?」
「そうかもしれないけど、用心は怠らないで」
二人は慎重に進んでいった。
突然、茂みが激しく揺れ、黒い影が飛び出してきた。鋭い牙をむき出しにした狼のような魔物だった。
「アイスショット!」ミリアが魔法を唱えると、冷気が一気に魔物を包み込んだ。凍りついた魔物は動きが鈍り、続けざまにスノウダンスの優雅な氷の舞が周囲を飾った。
「すごい!さすがミリア!」
リナの声にミリアは微笑みながらも、冷静に魔物を倒した。
だが、その時、どこからか「こっちに来ないで!」と少女の声が聞こえた。声の方向に駆け寄ると、一人の少女がナイフを振り回して必死に身を守っていた。
「大丈夫?誰かに襲われているの?」ミリアは優しく声をかける。
少女は警戒しながらも、「わたし、ミミリ…じゃなくて、ミリィっていうの!」と自己紹介した。
「ミリィちゃん、よくここまで一人で来たね。どうしてこんなところに?」
「ギルドの依頼を受けたんだけど、魔物に襲われて……怖くて逃げてたの」
ミリアは少女を安心させるように微笑んだ。「もう大丈夫。私が守るよ」
少女の瞳が一瞬輝きを増した。
「ありがとう、ミリアさん!」
その言葉には、ただの感謝以上の何かが込められていた。
ミリアはふと感じた。何かがこの少女の中に眠っている——ただの普通の子供ではない何かが。
その瞬間、森の奥から重厚な足音が響き、巨大な影が二人の前に現れた。暗黒の魔物、それは魔界の高位種と呼ばれる強敵だった。
「リナ、気をつけて!これは普通の依頼じゃないわ」
ミリアはすぐに魔法陣を描き、力を集中させた。だが、今日は慎重に、抑えめに魔法を行使しながらも、強敵を迎え撃つ覚悟を決めた。
アイスショットが魔物の動きを封じ、スノウダンスの氷の舞が場を彩る。だが、魔物は容易に倒れなかった。
「これじゃ、いつまでも決着がつかない……」
ミリアは魔法の力を少しずつ解放し始めた。
一方、少女ミリィも杖を取り出し、小さな魔法陣を描いた。微かに光る魔法陣が彼女の中で覚醒の兆しを示していた。
「私も、戦う!」
ミリアはその決意に驚きながらも、微笑んだ。
「その意気よ。でも無理はしないで」
魔物との戦いは激しさを増し、二人は互いに助け合いながら、息を合わせて戦った。
やがて、魔物は力尽き、森は再び静けさを取り戻した。
「ありがとう、ミリアさん。助かったわ」
少女の声には、以前とは違う強さと自信が宿っていた。
ミリアはそんな少女を見つめ、心の中で決めた。
「この子と一緒に歩んでいこう。きっと大きな力になる——私たちの未来のために」
夜が深まる中、二人は静かに宿屋へと戻っていった。
その背後で、神界の闇が再び動き出す気配を感じながら——。




