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深淵の囁きと新たな決意

冷たい風が吹き抜ける遺跡の奥深く、ミリアはゆっくりと息を整えた。周囲に漂う魔力の濃さは今まで感じたことのないほど強烈で、胸の鼓動が高鳴る。隣で警戒を怠らないリナの視線が鋭く光る。


「ここ、普通じゃないね……何かがいる気がする」


リナの声は緊張で震えていたが、ミリアは落ち着いた口調で頷いた。


「感じてる。何か、囁いてるみたい……でも、言葉にならないんだ」


ミリアは杖を軽く握り直す。杖は単なる魔法の安定装置だけではない。まだ本体とのリンクは50%ほどでしかなく、魔法の全力を出せるわけではないが、頼れる相棒だ。


「アイスショットを用意して……スノウダンスは温存。控えめにね」


ミリアは念じると、氷の矢が指先から飛び出し、闇に潜む魔物を一瞬で凍らせた。次の瞬間、薄く淡い光が周囲に広がり、スノウダンスの優しい氷の舞いが微かに空気を震わせる。


「強いだけじゃない。優しさもある……それが私の魔法」


「かっこいいよ、ミリア!」


リナの笑顔に勇気をもらいながら、二人は奥へと歩を進めた。やがて、遺跡の最深部に差し掛かると、そこには神秘的な光の渦が渦巻いていた。


「これが……封印されていたもの?」


ミリアは呟いた。そこから放たれる魔力は底知れず、彼女の心を揺さぶる。


「何かが目覚めようとしている。私たちの知らない力……」


リナが不安そうに訊ねた。


「怖い?」


ミリアは少しだけ笑みを浮かべて答えた。


「ううん。怖いより、ワクワクするよ。だって、これから何かが始まるんだから」


そう言い切ると、彼女は心の奥でまだ知らぬ“本体”との繋がりを感じ取った。だが、その存在は遠く霞んでおり、答えは霧の中だった。


その瞬間、眩い光が爆発的に広がり、現れたのは巨大な精霊。その姿はミリアの影を映すかのようで、まるで彼女の双子のように見えた。


「……お前は誰だ?」


低く響く声が遺跡に轟く。


ミリアは少し戸惑いながらも答える。


「私はミリア、ただの冒険者……でも、私にはまだ分からないことが多いの」


精霊は一瞬、微笑んだように見えた。


「真実は遠い。しかし、それを知ることこそが、お前の使命だ」


そして、精霊は光となって消え去った。


「……これが、私の始まりなのかな?」


リナが微笑みながらミリアの手を取った。


「どんな困難でも、私はあなたのそばにいる」


ミリアはその手を強く握り返す。


「ありがとう。これからも一緒に進もう」


遺跡を後にして、二人は新たな未来へと歩き出した。

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