表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら最強すぎた件について   作者: ミリア
プロローグ〜第一章
15/37

秩序の中に、異常はない

◆ 王国アステル・朝


(ミリア)


「んー……今日も静かやなぁ」


カーテンを開けると、王都は穏やかだった。

人の気配、空の色、魔力の流れ。

昨日と何一つ変わらない。


「ほんま、ええ国やわ」


それは、心からの感想だった。



◆ 王都アステル・日常


(市民たち)


・転びそうになった子どもが、転ばない

・崩れかけた荷物が、崩れない

・小競り合いが、なぜか起きない


誰も気にしない。


「運が良かったな」

「今日はツイてる」


それで済む話だから。



◆ 冒険者ギルド


(ベテラン冒険者)


依頼の成功率は高い。

負傷者は減っている。


「最近、楽やな」


世界が安定している証拠。

そう解釈される。


危険がない場所に、疑念は向かない。



◆ 教会・王都大聖堂


(大司祭)


定例祈祷の後、静かに告げる。


「秩序は神の領分。

 本日も、揺らぎはありません」


聖具は沈黙。

神託もなし。


「神々は正しく在られる」


それが、結論。



◆ 精霊界・中位層


(精霊)


「人界、安定してるね」


「女王が何も言わないなら、完璧」


精霊は、世界を“感じる”存在。

感じないなら、異常はない。


それ以上の判断は、不要。



◆ 精霊界・最上位層


(精霊女王)


女王は、境界を見渡す。


揺れなし。

歪みなし。

侵食なし。


(……創造主は、関与していない)


そう判断する。


“関与の痕跡がない”ことを、

関与していない証拠だと信じて。



◆ 帝国アルス・情報局


(上級調査官)


王国アステルの統計を確認する。


犯罪率低下。

事故率低下。

魔力変動なし。


「異常ではない。むしろ理想的だ」


報告書には、こう記される。


神的秩序、安定

脅威評価:低


帝国は、動かない。



◆ 神界外縁


(反逆神)


世界を観測し、反逆神は確信する。


「秩序は完全だ」


創造神の干渉痕跡はゼロ。

精霊女王は沈黙。

人界は平穏。


「創造神は、眠っている」


そう結論づける。


「ならば――

 壊すのは、今だ」


彼は笑う。


最大の誤解だとも知らずに。



◆ 王都アステル・夕方


(ミリア)


市場で買い物を終え、帰り道。


石畳で、足が滑る。


「っと……」


倒れない。


理由は分からないし、

考えもしない。


「今日はほんま、ツイてるわ」


それで終わり。



◆ 夜


(同時進行)

•教会:異常なしの記録を残す

•精霊界:報告なし

•帝国:監視のみ継続

•反逆神:行動準備を完了



◆ ミリア


(眠る直前)


「……なんやろ」


一瞬だけ、胸の奥がざわつく。


「誰かに、見られてる気ぃする」


でも、首を振る。


「気のせいやな」


目を閉じる。



秩序は、揺れていない。

神は、正しく在る。


世界は、そう結論づけた。


だが真実は、

秩序が“守られている”のではない。


秩序が、

観測されない力を前提に

最初から成立しているだけ。


誰も、それを疑わない。


疑う理由が、

どこにも存在しないから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ