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転生したら最強すぎた件について   作者: ミリア
プロローグ〜第一章
14/37

秩序は、疑われない

◆ 王国アステル・朝


(ミリア視点)


「朝から静かやなぁ」


窓を開けると、街は穏やかだった。

人の気配も、空気も、昨日と同じ。


「ほんま、平和やわ」


ミリアはそう呟いて、身支度を整える。


違和感はない。

あるとすれば――

何も起きなさすぎることくらい。



◆ 冒険者ギルド


(ギルドマスター)


受付の奥で、報告書を読む。


依頼成功率。

負傷者数。

事故件数。


「……減ってるな」


原因は不明。

だが、悪い数字ではない。


「治安が良くなったんやろ」


そう結論づける。


良い結果に、疑問は向けられない。



◆ 王都アステル・教会


(大司祭)


定例会議。


「秩序は安定しています」


誰も異議を唱えない。


「秩序は神の領分。

 神々は正しく在られる」


それで、話は終わる。



◆ 精霊界・中位層


(精霊)


「最近、人界おとなしくない?」


「女王が黙ってるなら問題ないでしょ」


精霊たちは、流れに戻る。


考えないことが、

最も安全な選択。



◆ 精霊界・最上位層


(精霊女王)


女王は、境界を見下ろす。


揺れはない。

歪みもない。


(……当然ね)


それ以上、考えない。


考えれば、

“理由”が必要になるから。



◆ 帝国アルス・情報局


(上級調査官)


王国アステルの報告を確認する。


「事故率低下、犯罪率低下……?」


異常とも取れる。

だが、害はない。


「神の加護が強まったのか」


記録は、そうまとめられる。



◆ 神界外縁


(反逆神)


世界を観測し、反逆神は微笑む。


「秩序は盤石」


創造神の干渉は見えない。

精霊女王も動かない。


「ならば、神は油断している」


少女の姿を思い浮かべる。


「力はあれど、意思は弱い」


確信する。



◆ 王都アステル・夕刻


(ミリア)


市場を歩いていると、

子どもが転びそうになる。


「危ないで」


自然に手が伸びる。


子どもは、転ばない。


「ありがとう!」


ミリアは笑って手を振る。


何も、起きていない。



◆ 夜


(教会・記録文書)


本日、異常事象なし

秩序、安定


その一文が、正式に残される。



◆ 同時刻


(精霊女王・独白)


(……本当に、そうかしら)


だが、疑問は声にしない。



◆ 同時刻


(反逆神・独白)


「今なら、勝てる」



◆ 同時刻


(ミリア)


「今日も平和でよかったわ」


眠りにつく。



秩序は、守られている。

神は、正しく在る。


全員が、そう信じている。


だからこそ、

誰も気づかない。


秩序が守られているのではない。

秩序が“疑われない状態”が、

すでに作られていることに。

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