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転生したら最強すぎた件について   作者: ミリア
プロローグ〜第一章
13/37

秩序は、揺れない

◆ 王国アステル・朝


(ミリア視点)


「今日もええ天気やなぁ」


宿の窓を開けて、ミリアは耳を揺らした。

冷たい空気が頬を撫でる。


街は、いつも通り。

人も、音も、匂いも。


「ほんま、何も起きへんな」


それは不満ではなく、安堵だった。



◆ 王都アステル・通り


(市民)


露店の準備をしていた男は、手を止めた。


(……あれ?)


瓶が倒れそうになった気がした。

だが、倒れていない。


「……気のせいやな」


そう呟いて、作業に戻る。


秩序は、

揺れていない。



◆ 冒険者ギルド


(受付嬢)


猫耳族の少女が、依頼板を眺めている。


「この依頼、簡単そうやね」


声は軽い。

魔力測定も、平凡。


(初心者さんやな)


受付嬢は、そう判断する。


強さは、感じない。

危険も、感じない。


秩序の中にいる者は、

疑われない。



◆ 教会・王都大聖堂


(司祭)


朝の祈祷は、滞りなく終わった。


聖具は沈黙。

結界も安定。


「秩序は、神の領分」


司祭は、いつも通りそう締めくくる。


世界が正常であるなら、

神は正しく機能している。


それ以上、考える必要はない。



◆ 精霊界・中位層


(精霊たち)


「人界、落ち着いてるね」


「女王も何も言ってないし」


精霊たちは頷き合う。


秩序を判断するのは、神。

精霊は、流れに従うだけ。


それが、役割。



◆ 精霊界・最上位層


(精霊女王)


女王は、玉座に座ったまま動かない。


報告は、受け取らない。


必要がないから。


秩序は、揺れていない。

だから、女王も動かない。


(……そう、揺れていない)


その判断に、

私情は混ざらない。



◆ 神界外縁


(反逆神)


「秩序は、神の領分」


反逆神は、そう呟く。


世界は安定している。

創造神の介入は見えない。


「ならば、神は動いていない」


それは、

論理的に正しい結論。


彼は、疑わない。



◆ 帝国アルス・情報局


(調査官)


報告は一致していた。

•王国:平穏

•教会:異常なし

•精霊界:沈黙


「秩序が安定している以上、

 神は機能している」


調査官は、そう記録する。


監視は継続。

だが、行動は不要。



◆ 王都アステル・夕方


(ミリア)


石畳で、足を取られかける。


「っと……」


転ばない。


理由は分からない。

考える必要もない。


「ほんま、平和やわ」


そう言って、歩き続ける。



◆ 夜


(ミリア)


ベッドに寝転び、天井を見る。


「なんも起きへん一日やったな」


それでいい。

それが、ええ。


目を閉じる。



秩序は、揺れていない。

神は、正しく在る。


誰もが、そう理解している。


だからこそ、

誰も気づかない。


秩序が保たれているのではない。

秩序が“前提”になっていることに。

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