表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら最強すぎた件について   作者: ミリア
プロローグ〜第一章
11/37

気づいてはいけないもの

◆ 人界/王国アステル・昼


(ミリア視点)


今日は街の空気が、やけに軽い。


「ええ天気やなぁ」


猫耳が風に揺れる。

特に用事もなく、王都をぶらぶら。


露店の果物。

子どもたちの笑い声。


――ほんま、平和そのもの。


「何も起きへんのが一番や」


そう思ってた。



◆ 人界/王都アステル


(通行人・元冒険者視点)


すれ違った瞬間、足が止まった。


(……今の、なんや?)


少女だった。

猫耳族らしい。


それだけなら珍しくない。


なのに、胸の奥が冷えた。


(見てはいけないもんを、見た気がする)


振り返ると、もういない。


理由は分からない。

ただ――


「……今日は、もう帰るか」


直感が、そう告げていた。



◆ 精霊界・上位層


(精霊女王視点)


報告は、届いていた。


だが、まだ“正式な形”ではない。


「境界の静止……か」


氷のように澄んだ声。


精霊女王は、静かに目を閉じる。


それは、父であり、兄であり、

そして――創造主の“癖”だった。


「……違う」


同じで、違う。


精霊王が、控えめに問う。


「報告を、上げますか?」


精霊女王は首を振った。


「まだ。

 “彼女”は、何もしていない」


“していない”のに、影響が出る。


それが何を意味するか――

精霊女王は理解していた。


「見守る。

 それ以上は、しない」


精霊界は、沈黙を選んだ。



◆ 帝国アルス・王都


(調査官視点)


「接触は?」


「していません。

 ただ、確認しました」


報告を受け、調査官は頷く。


「対象は、通常行動のみ」


「異常行動は?」


「……ありません」


それが、異常だった。


「周囲の人間の反応は?」


部下は、一拍置いて答える。


「説明できない不安、

 理由なき回避、

 記憶の曖昧化」


調査官は、ゆっくり息を吐いた。


「本人は?」


「無自覚です」


――それが、一番厄介だ。


「引き続き、非干渉で監視」


命令は、それだけ。


帝国は、まだ手を出さない。



◆ 人界/夕方


(ミリア)


宿に戻る途中、ふと立ち止まる。


「……またや」


何かに、

ほんの一瞬だけ“触れられた”気がした。


視線とも、気配とも違う。


「……まぁ、ええか」


肩をすくめて、歩き出す。


今日も、何も起きてない。


少なくとも、

ミリアにとっては。



◆ 精霊界・記録層


(無名精霊)


記録は、残された。


「観測対象:ミリア

 神力行使:なし

 権能発動:なし

 秩序干渉:なし」


だが最後に、こう付記される。


「――存在影響、継続」


精霊は、それ以上書けなかった。



◆ 夜


(ミリア)


ベッドに横になり、天井を見る。


「……なんやろな」


理由のない違和感。


でも、怖くはない。


「明日も、普通でええわ」


そう呟いて、目を閉じる。


世界は、

確かに“気づき始めている”。


けれど、

まだ誰も――踏み込まない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ